夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『お名前はアドルフ?』

2020年07月27日 | 映画(あ行)
『お名前はアドルフ?』(原題:Der Vorname)
監督:ゼーンケ・ヴォルトマン
出演:クリストフ・マリア・ヘルプスト,フロリアン・ダーヴィト・フィッツ,カロリーネ・ピータース,
   ユストゥス・フォン・ドナーニー,ヤニナ・ウーゼ,イリス・ベルベン他
 
緊急事態宣言発令前も解除後も、この劇場がいちばん客が入っている気がします。
上映時間と上映時間の間には、スタッフがひとつずつ座席を拭いていらっしゃいます。
京都シネマで3本ハシゴの1本目。
 
こんな内容だからてっきりもともとドイツで生まれた話だと思っていたら、
オリジナルは2010年にパリで初演された人気舞台劇
それをゼーンケ・ヴォルトマン監督が映画化してドイツで大ヒット。
 
哲学者文学教授のシュテファンと国語教師の妻エリザベトは、
エリザベトの弟夫婦のトーマスとアンナ、
エリザベトとトーマスの幼なじみで姉兄弟のように育ったレネを招き、
ホームパーティーを始めるところ。
 
まずレネとトーマスがやってきて、妊娠中のアンナのお腹の中にいる子どもの話に。
男の子だということで、トーマスはすでに名前を決めているらしい。
それをみんなで当てようと、口々に名前を挙げはじめるが全部ハズレ。
トーマスから正解を聞いて唖然、「アドルフ」だと言うのだ。
 
アドルフ? あのアドルフ?
ヒトラーの忌まわしき名前を息子に付けるなんてどうかしている。
ありえないことだと全員が非難するのだったが……。
 
もとが舞台劇なので、夫妻の家の中だけで事は進み、
登場人物も彼ら以外は電話で話すエリザベトの母親のみ。
この雰囲気は『おとなの事情』(2016)に似ています。
 
最初はアドルフという名前について議論していたのに、
次第に彼らのあれやこれやが明らかになる。
母親の恋人って、え、そうだったの!?とか、
良き妻のはずのエリザベトが実はそんなに鬱屈した思いを抱えていたのかとか。
 
日本人とはちょっと笑いのツボが違うのでしょう、大笑いにはならない。
まぁ、妻の不満というものは全世界共通なのかなと思うぐらいで。
 
「アドルフ」という名前について、法律で語られているところが面白かった。
禁止されているだろうそんな名前はとシュテファンがスマホで調べたら、
基本的には禁止ではない、その名前を付ける理由が納得できるものであれば、なんですって。
「アディダス」の創始者の名前がアドルフだということも初めて知りました。
アディダスのアドルフはまさか後にヒトラーが出てくるなんて思いもしなかったでしょうけれど。(--;
そんなこんなで、いろいろと物知りになれます。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『今宵、212号室で』 | トップ | 『マルモイ ことばあつめ』 »

映画(あ行)」カテゴリの最新記事