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『ボストン1947』

2024年09月13日 | 映画(は行)
『ボストン1947』(英題:Road to Boston)
監督:カン・ジェギュ
出演:ハ・ジョンウ,イム・シワン,ペ・ソンウ,パク・ウンビン,キム・サンホ他
 
仕事帰りに車を走らせ、テアトル梅田へ。2本ハシゴの1本目。
 
監督は『シュリ』(1999)や『チャンス商会 初恋を探して』(2015)のカン・ジェギュ。
 
1936年、ベルリンオリンピックが開催され、マラソン金メダルと銅メダルに輝いたのは朝鮮人の2選手。
しかし、当時の朝鮮は日本の統治下にあったため、彼らは日本代表として記録される。
金メダルを受賞したソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)は、おおっぴらには不満を唱えなかったものの、
表彰台で日章旗を隠す仕草をしていたことを非難され、引退を余儀なくされる。
 
それから10年以上が経過し、いまだ破られぬ世界記録を持つギジョンを称え、
彼の名前を冠したマラソン大会が開かれるが、当のギジョンはまるでやる気なし。
 
困窮する生活のために仕事を掛け持ちする青年ソ・ユンボク(イム・シワン)は、
優勝すれば賞金が出るというガセネタに釣られて出場、見事1位となるが、
賞金は出ないわ、ギジョンは酒の匂いをさせて会場に来るわで憮然。
 
一方、銅メダル受賞者のナム・スンニョン(ペ・ソンウ)は若手選手を育てるべく、
マラソンの指導者として現場に出続けているばかりか、自らもまだ走っていた。
ギジョンを監督とするチームでボストンマラソンに参加しようと熱意を持って誘ってくる。
 
気乗りせずも、太極旗を胸に出場したい想いがこみ上げてきて、
ギジョンはスンニョンと共にユンボクをボストンへ連れて行こうと考える。
しかしボストンで受け入れてくれる人間や出場のための保証金の工面に困り……。
 
反日感情あらわな作品ならばちょっとツライとも思っていましたが、そこまでではありません。
朝鮮人としてオリンピックに出ることが叶わなかった事実が述べられているだけ。
 
戦争が終わり、ようやく自分たちは自分たちとして走れると思ったのに、
ボストンに渡ってみれば、用意されていたユニフォームの胸には星条旗
朝鮮は独立国ではなくて難民国だから、朝鮮としての出場は認められないと言われるんですね。
 
それを翻させるためにギジョンとスンニョンは打って出ます。
無事太極旗を胸に走れることになり、ユンボクが素晴らしい走りを見せる。
もともと彼のマラソンは独学。
走力がついたのは、母親のために祠の供え物を盗みに行っていたおかげというのは嘘か誠か。
神様は怒らない、見捨てない。
 
よその国の人間を無理やり自分の国の人間にするなんてとんでもないことだと改めて思う。
それを望んでいるのならまだしも、決してそうではないのだから。
 
同監督の『シュリ』のデジタルリマスター版も今日から公開です。

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