夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『虹蛇と眠る女』

2016年03月07日 | 映画(な行)
『虹蛇と眠る女』(原題:Strangerland)
監督:キム・ファラント
出演:ニコール・キッドマン,ジョセフ・ファインズ,ヒューゴ・ウィーヴィング,
   リサ・フラナガン,メイン・ワイアット,マディソン・ブラウン,ニコラス・ハミルトン他

前述の『サウルの息子』とハシゴ。
オーストラリア出身のニコール・キッドマンが25年ぶりにオーストラリア映画に主演。
今年49歳の彼女、信じられないぐらい綺麗です。羨ましいことこのうえなし。

オーストラリアの砂漠地帯に位置する小さな町ナスガリ。
パーカー家の4人はまだ引っ越してきてまがない。
夫マシューは薬局を営み、妻キャサリンは専業主婦。
娘リリーは15歳で思春期まっただ中。早熟で着る服はいつも露出過多。
まだあどけなさの残る息子トミーは、毎晩夢遊病のように近所を徘徊している。
訳あって都会からこの町に引っ越してきた一家だが、
雰囲気にも気候にもどうもなじめず、特に子どもたちは気持ちを整理できないまま。

そんなある日、マシューとリリーが派手に親子喧嘩。
夜更けにいつものように出て行ったトミーと、その後を追うように出て行くリリー。
マシューはそれに気がついていたが、腹立たしくて放置する。

翌朝、寝坊したキャサリンは、子どもたちが夜間に出て行ったことを知らない。
てっきり登校したと思い込むキャサリンだったが、
猛烈な砂嵐が町を直撃しそうだというのに、子どもたちが帰って来ない。
登校していないことがわかり、マシューと共に血眼になって探すが、
リリーとトミーはどこにもいない。まるで神隠しに遭ったかのよう。

熱砂の中を数日間さまよえば、命が危険にさらされる。
地元のベテラン警官レイが中心となって懸命の捜索が続けられるが、
ふたりを見かけたという目撃証言がないばかりか、
リリーのよからぬ素行ばかりが明らかになって……。

パーカー一家が引っ越してこざるを得なかった理由は
一応秘密にしておかなければならないようです。
が、ネタバレしてしまうことがさして鑑賞の妨げになるとも思えません。

ということでネタバレ。

リリーは15歳にしてとんでもないヤリマン
それが理由で引っ越してきたというのに、すでに新しい町でも威力を発揮。
彼女がそうなったのはもしや父親のマシューから性的虐待を受けていたせいでは……などとも噂され、
キャサリンまでもが夫に疑いの目を向けます。
マシューはマシューで、娘は自分にはちっとも似ていない、
あんな娘に育ったのは妻のせいだと思っているから、もう大変。

真相はどうなのかということに重きは置かれず、
それよりもこんな状況下で神経をむしばまれてゆくキャサリンを演じるキッドマンが凄い。
キレると止まらないマシュー役にジョセフ・ファインズ。これもピッタリ。
レイ役のヒューゴ・ウィーヴィングは、冒頭では良からぬ人物と思いきや、
キャサリンの誘惑にも耐える真面目な警官。
彼もまた離婚によって子どもと会えなくなり、心に傷を負っています。

自分たちの子どもが、目の前から急に消えてしまうということ。
『白い沈黙』(2014)のときに聞こえた親の悲痛な叫びとはまた違う、哀しさを感じます。
大人はわかってくれない。だけどまた、親の心も子は知らず。

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