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『M/村西とおる狂熱の日々 完全版』

2019年12月18日 | 映画(あ行)
『M/村西とおる狂熱の日々 完全版』
監督:片嶋一貴
 
テアトル梅田にて、前述の『ラフィキ:ふたりの夢』とハシゴ。
こちらが本命、これを観るのが目的で梅田まで行きました。
 
上映は1日1回、20時過ぎからの回のみ。
客は20人ぐらいで、私を除いて全員男性ひとり客でした。
ちょっと気まずい。すみません、こんなのを女ひとりで観に来て(笑)。
 
村西とおるさんをご存じですか。
Netflixで配信中の山田孝之主演『全裸監督』のモデルになったAV監督です。
彼のAV撮影に密着した1996年のドキュメンタリーの完全版。
 
1970年代後半、ビニ本との出会いに触発され、裏本の制作・販売を始めた村西さん。
過激な内容がウケて北大神田書店グループの会長に君臨するも、
1980年代初めにグループが摘発されます。
彼自身も猥褻図画販売容疑で指名手配され、逃亡したのち逮捕の憂き目に。
 
執行猶予付きの有罪判決を受けてグループ解体、路頭に迷いそうに。
自分が生きていく道はエロしかないんだからとAV監督に。
彼が起用したAV女優は瞬く間に超売れっ子に。
黒木香、松坂季実子、桜樹ルイ、乃木真梨子などなど。
AVを観る機会のない人であっても、名前を知っている人がそこそこいるのでは。
 
しかし、バブル崩壊とともに50億円の負債を抱えて倒産。
1996年、再起をかけて夏の北海道へと乗り込んだ監督は、
当時はまだ新たなメディアだったDVD向けに4時間超の長編AVを制作。
同時にヘアヌードビデオの撮影もするという一大プロジェクトを敢行。
本作はその様子を収めているというわけです。
 
AVにお世話になっているくせに軽んじたり嘲ったりする。
それは駄目でしょと言う村西監督。そのとおりです。
監督もスタッフも真剣、モデルたちに真剣味が足りないこと多々。
 
目の部分にモザイクは入っているのですが、
目以外の部分から想像して綺麗なモデルがひとりもいないことに笑った。
あんたら、ブスやのに文句ばっかり言うなと監督に代わって言いたくなった。(^^;
 
AV監督のドキュメンタリーを女がひとりで観に来てすみませんと思ったけれど、
観に行って本当によかった。めちゃめちゃ面白かったです。
思わずふきだしてしまうシーンも多々あり、劇場の雰囲気も凄く良い。
この手の作品は劇場で観るに限ると思ってしまったほど。
 
エンドロールが回りきった後の言葉にしんみり。
「死にたくなったら下を見ろ。おれがいる」。

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