夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈か行〉

2017年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『神様の思し召し』(原題:Se Dio Vuole)
2015年のイタリア作品。
外科医のトンマーゾは腕は確かだが傲慢このうえない性格の持ち主。
困難な手術を成功させて、患者の家族から「奇跡だ」と感謝の意を表されると、
「奇跡などではない。私のおかげだ」と言い放つような人物。
そのトンマーゾの息子で医大生のアンドレアが突然神父になると言い出す。
アンドレアが崇めるカリスマ神父ピエトロには裏があるにちがいないと、
自分の身分を偽ってピエトロに近づくトンマーゾだったが……。
調べてみればピエトロはムショ帰りの前科者。
なんとかアンドレアに翻意させようとドタバタする様子が可笑しい。
ちょい悪オヤジ風のピエトロがカッコイイ。
トンマーゾにいらついて家を飛び出す妻のカルラ、
娘のビアンカ、その夫ジャンニとみんな個性豊かで笑わせてくれます。
これはぜひとも劇場で観たかった。

《き》
『禁じられた歌声』(原題:Timbuktu)
2014年のフランス/モーリタニア作品。
原題の“Timbuktu(ティンブクトゥ)”はマリ共和国の都市名。
世界遺産にも登録された西アフリカの美しい古都です。
ティンブクトゥ近郊のテントで暮らす12歳の少女トヤ。
辺り一帯をイスラム過激派が歩き回るようになり、
怯える近所の住民はみんな引っ越して行ってしまった。
今はトヤの家族と孤児の少年イサンが暮らすのみ。
音楽を奏でることで日々の活力を得てきたのに、
イスラム過激派は服装を厳しく取り締まるだけでなく、歌やサッカーまでも禁じ……。
内容的には緊張感があるはずなのに、対照的に美しい情景に睡魔も。
反抗心を見せる人々はたくましくも報われないのが悲しい。

《く》
『クレイジー・ナイン』(原題:老笠)
2016年の香港作品。“未体験ゾーンの映画たち 2017”にて上映。
冴えない人生を送る男ラウが通りすがりのコンビニで求人チラシを目にし、
その場にいた店長に「働きたい」と言ったところ即採用。
ところが店長も変ならば、同僚には泣きじゃくる女。
深夜の客はサイコな警官、キレっぱなしの老人、
チアリーダーの衣装を着た美女、闇社会のボス、爆弾魔。
途中、フィギュアの景品交換に訪れるちびっこも。
ひとりずつ殺されていって、最後に残るラウと老人。
と思いきや、まさかのラウ以外幽霊でしたのオチに呆然。
シュールで結構おもしろかったですけれど、残虐性も高いです。

《け》
『CAVE ケイブ』(原題:Cave)
2016年のノルウェー作品。日本では未公開。
共にアフガニスタン戦線部隊だったヴィクトル(♂)、アドリアン(♂)、チャーリー(♀)。
今はカップルとなったアドリアンとチャーリーは、ヴィクトルから洞窟探検に誘われる。
実はチャーリーに想いを寄せるヴィクトルがアドリアンを殺害するために仕組んだ計画で、
ヴィクトルは隙を突いてアドリアンを殺す。
それを知ったチャーリーが逃げ出し、なんとかヴィクトルを奇襲してぶっ殺す。
洞窟からよれよれ出てきたチャーリーを通りかかった車が助けて走り出す。
というところで終わるのですが、一瞬映った車のトランクには人の手足。
どうやら車の運転手はヴィクトルの親父で、親子で殺人を犯していた模様。
地図にも載っていない未開の洞窟のはずが、何者かのテントと血の付いた衣服があり、
これは親父の持ち物だったのでしょうね。
「“Cave2”へ続く」と出て愕然。こんなショボい映画の続編、つくっちゃったの?

《こ》
『コンカッション』(原題:Concussion)
2015年のアメリカ作品。
実話に基づくアメフトの映画だと聞き、感動ドラマを想像していたら、
アメフトが脳に与えるダメージをあきらかにした医師の話でした。
監督は『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013)のピーター・ランデズマン。
ナイジェリアのイボ族出身の医師ベネット・オマルは、
ピッツバーグで監察医として働く、誠実で温かい心を持つ秀才。
たまたま彼は“スティーラーズ”のスター選手だったマイク・ウェブスターの解剖を担当。
マイクの死に不審を抱いたベネットは、遺体の脳の詳しい検査を実行。
その結果、タックルが脳に激しいダメージをもたらしていたことを突き止める。
数多くのアメフト選手が引退後に体調不良を訴えても、
検査結果は脳に異常なし、鬱病かアルツハイマーの兆候ありと診断されてきた。
そのせいで自殺した元選手も何名もいたのに、NFLは事を明らかにしようとせず……。
国民的スポーツの悪影響を発表すると、FBIまで出てきて発表者を潰そうとする。
ベネットは別にアメフトに恨みがあるわけではありません。
少しでも安全にスポーツができるようにと考えているだけなのに。
ベネット役のウィル・スミス、彼に協力するNFLの元顧問トレーナーにアレック・ボールドウィン
真面目すぎるベネットにうんざりしつつもきっちり支える上司役にアルバート・ブルックス
みんなとてもよかったです。知っておくべき事実。

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