夜な夜なシネマ

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『わすれな草』

2017年07月15日 | 映画(わ行)
『わすれな草』(原題:Vergiss Mein Nicht)
監督:ダーヴィット・ジーヴェキンク

ダンナが国内出張の2日目。
1日目だった水曜日、西宮でのハシゴから帰宅後に洗濯したり飲酒したりで
寝る時間がかなり遅くなってしまったものだから、だいぶへろへろ。
木曜日はまっすぐ帰るべきかとも思ったけれど、惰性で新梅田シティまで。
よれよれのままシネ・リーブル梅田で2本ハシゴ。
それはそうと、新梅田シティのタイムズは、平日18時すぎは激安のはずが、
いつのまにか料金が上がっていました。ショック。

2013年のドイツ作品。
これが長編2作目となる新鋭監督によるドキュメンタリーです。

1977年生まれのダーヴィット・ジーヴェキンク監督。
お母様のグレーテルさんは73歳。
アルツハイマーと診断されたとお父様のマルテさんから連絡があります。
あまり頻繁には帰郷していなかった監督ですが、その連絡を受けて実家へ。

若い頃はテレビの司会を務めるなど、才色兼備だったグレーテルさん。
あるときから家の中が付箋だらけになり、認知症の気配が出始めます。
昔は監督が帰れば好物をつくってくれたのに、
いまやそれが自分の息子であることすらわかりません。

マルテさんはフランクフルト大学で数学の教鞭を執っていました。
定年退官後の余生を楽しみにしていたのに、
まさか妻の介護に追われることになるとは。
旅行にも行けず、数学にいそしむ時間も取れず、家事ばかり。
症状がどんどん進行する妻は、すでにトイレにもひとりで行けません。

自宅での介護にこだわってきたけれど、施設に預けるほうが双方にとって良いかもしれない。
そう考えたマルテさんは、妻をついに老人介護施設に入れます。
結果、具合はよくなったように見えたものの、
グレーテルさんはまったく他人になってしまいました。

やがてふたたび妻を家に連れ戻すマルテさん。
良きヘルパーさんに恵まれて、グレーテルさんの口から初めて、
マルテさんに向けて「愛している」という言葉が発せられたそうです。

不思議な夫婦です。
知的な美人で政治活動に傾倒していたこともあったグレーテルさんは、
時代の最先端を行く女性に見えました。
数学者のモテ男マルテさんのアプローチで結婚しましたが、
結婚の条件が、お互いの浮気を認めて口出ししないこと。
思い出のアルバムには双方の愛人も写っているのです。
これに納得しているように思えたグレーテルさんの本心を、
彼女が綴った日記を読んで知ったマルテさん。

一旦彼女を施設に預けたマルテさんを娘が責めるのはなんだかなぁ。
だって面倒を見ているのはマルテさん。
すべてをなげうって介護している人を責めたらあかんやろと思うのです。

息子である監督は、父親に息抜きをさせようと旅行に送り出します。
その間、自分が母親の面倒を見るわけですが、数日で音(ね)を上げそうに。
こんなことを父親は何年もひとりでこなしていたんだと驚きます。

ふたたび自宅介護を決意したマルテさんからは、いい具合に力が抜けていました。
私の従姉が言っていた、「介護のコツは深刻になりすぎんことやで」
まさにそれを見せてもらったような気がします。

グレーテルさんは2012年にお亡くなりになったそうです。
家族の姿がこの作品に記されています。

へろへろよれよれの惰性で観に行った映画だけれど、
行けばやっぱり幸せな映画館。
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