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『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』

2021年06月07日 | 映画(ら行)
『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)
監督:ユーゴ・ジェラン
出演:フランソワ・シヴィル,ジョセフィーヌ・ジャピ,バンジャマン・ラヴェルネ,
   カミーユ・ルルーシュ,アモリ・ドゥ・クレヤンクール,エディット・スコブ他
 
TOHOシネマズ西宮で2本観てから梅田へ移動。
大阪ステーションシティシネマにて本作を鑑賞しました。
 
フランス/ベルギー作品。
原題の“Mon inconnue”は「私の未知」、つまり「私の知らない人」の意。
英語のタイトルは“Love at Second Sight”で、
こちらのほうが映画の内容をよく表している気がします。
 
同じ高校に通いながら面識のなかったラファエルとオリヴィア。
ある晩、校舎の隅から聞こえてくる曲に誘われたラファエルは、
そこでピアノを弾いていたオリヴィアと出逢い、恋に落ちる。
 
小説家を目指すラファエル。ピアニスト志望のオリヴィア。
ふたりはラブラブのまま卒業。夢は夢のままだったが、結婚して幸せに暮らしていた。
 
ところが、ラファエルが高校時代から書き続けていたSF小説を
オリヴィアがこっそり出版社に送ったところ、すぐに出版が決定する。
小説はシリーズ化され、ラファエルは大人気作家に。
一方のオリヴィアがピアニストになる夢は叶わなかった。
 
メディアにもひっぱりだこのラファエルは、帰宅しても忙しそうで、
夫婦の時間は激減し、会話もほとんどない。
それについてオリヴィアが不満を口にすると、ラファエルは激怒。
家を飛び出して酔い潰れて帰宅する。
 
翌朝、目覚めると、オリヴィアがいない。
今日は中学校で子ども相手に講演をするイベントがある。
マネージャーを務める親友フェリックスが迎えに来て、
着いた先は確かに中学校だったが、どうも様子がおかしい。
 
なんとラファエルは人気作家などではなく、国語教師
しかもオリヴィアは大活躍中のピアニストで、ラファエルの妻ではないどころか、
ラファエルのことをまったく知らない。
一夜にして人生が変わってしまい、ラファエルは気が動転。
 
なんとかフェリックスにはこの状況を信じてもらうことに成功し、
人気作家の自分、オリヴィアと結婚している自分に戻ろうとするのだが……。
 
ここにもまたアインシュタインの『相対性理論』の話が出てきます。
私には相変わらずまったく理解できない仕組みですが、
本作は『インターステラー』(2014)のように科学的ではないし、
『パーム・スプリングス』(2020)よりも「科学している度」は低いです、たぶん。
 
ま、でも、そんなの全然わからなくても魅力的な物語。
フェリックスが実にいいキャラで憎めません。
ラファエルから事情を聞いたとき、「そういえば、いつもならパンをくれるのにくれなくなった」という理由で
ラファエルの話を信じることにしちゃうんですから。ええ奴。
「こっちの世界の俺はどんな奴だったか」というラファエルの質問に答えるときも可笑しい。
あっちの世界のラファエルはオリヴィア一筋だったのに、
こっちの世界のラファエルはとんだ遊び人。
そりゃまぁこのルックスだもの、モテるでしょう。
 
ラファエル役のフランソワ・シヴィルは私の最近のお気に入り。
色気のあるイケメンです。そしていい体つき(笑)。
オリヴィア役のジョセフィーヌ・ジャピもチャーミング。
 
どうしても元の世界に戻りたいラファエルに、フェリックスは言います。
戻れなくても、もう一度、彼女と恋をすればいいじゃないか。
想い続けている元カノに声をかけることすら許されずにいるフェリックスは、
たとえオリヴィアがラファエルの妻だったオリヴィアでなくても、
今の世界で恋をやり直せるならいいじゃないかと言うのです。
 
ずっと自分のことだけを考えていたラファエルが、
ようやく戻れそうになって初めて考える彼女のこと。
素敵なエンディングでした。

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