夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『歌声にのった少年』

2016年10月06日 | 映画(あ行)
『歌声にのった少年』(英題:The Idol)
監督:ハニ・アブ・アサド
出演:カイス・アタッラー,ヒバ・アタッラー,アハマド・カセィーム,アブダルカリーム・アブバラカ,
   タウフィーク・バルホーム,ディーマ・アワウダ,アハマド・ロッホ他

先週の金曜日、晩に宴会。よってまたまた午後休を計画。
週明けに監査だというので、伝票が足らんなどという電話があったら嫌だなと思い、
「私、午後から帰りますけど、大丈夫ですよね?」と関係部署に確認。
「大丈夫」のお墨付きをいただいて退散しました。

あっちにもこっちにも観たい映画があり、かなり悩む。
土曜日は甲子園に行く予定だけれども、もし雨天中止になったら日曜日に甲子園。
そうしたら日曜日に映画が観られなくなるし、どうしたもんだか。
土曜日の試合は中止にならないものと信じて、金曜日と日曜日に映画を振り分け、
金曜日は鑑賞料金が1,000円になるテアトル梅田で宴会前に2本。

イスラエル人監督ハニ・アブ・アサドによるパレスチナ作品で実話が基。
こんな作品を引っ張ってくるとは、アルバトロス・フィルム健在。

2005年、パレスチナのガザ地区。
紛争が絶えず、危険に満ちたこの地区で暮らす少年ムハマンドと姉ヌール。
音楽が大好きな姉弟は、友だちのアハマド、ウマルと共にバンドを結成
ガラクタでつくった楽器で演奏し、町ではなかなかの人気を博している。
本物の楽器を手に入れたいとあの手この手で金を貯め、
闇商人のもとへ楽器を買いに行くが、どうやら騙された模様。
闇商人一団と対決して負傷し、悔し涙を流すムハンマドにヌールが声をかける。
「あんたの歌声は世界一。スターになって世界を変えよう」と。

ところが突然、ヌールが腎不全を起こして倒れる。
医者は腎臓を買うしか生き延びる方法はないと言い、
その費用を稼ぐためにムハンマドは奔走、ウェディングシンガーなども請け負う。
しかしその甲斐むなしくヌールは還らぬ人に。

2012年、ガザでタクシー運転手として働いていたムハンマドは、
ヌールの入院中に知り合ったアマルと再会し、
あなたの歌を聴くと癒やされるから歌ってほしいと懇願される。
ヌールの死後、夢も希望も失いかけていたが、
スターになって世界を変えるという約束を果たしたいと、
大人気オーディション番組“アラブ・アイドル”への出場を決意するのだが……。

治安最悪の地区にあって少年少女がはしゃぐ前半。
感動を煽るお涙頂戴ものかと思いきや、後半は一転。
ガザ地区の現状をまざまざと見せつけられ、
そこから出たくても出られない人々の姿に胸が痛みます。

私たちには想像もできない特殊な環境下。
エジプトでおこなわれるオーディション番組に出場するなんて普通は到底無理。
偽造ビザを手に入れ、検問の目をかいくぐり、見つかれば死をも覚悟。
やっとの思いで会場に着けば、チケットを持つ人しか出場できないと知ります。
それでもムハンマドはあきらめない。そして良心も失わない。
恥ずべきことをしなかったからこそ、彼はチャンスに恵まれます。

彼の歌声がガザの人々に与えた勇気。音楽の力は凄い。

オーディション当時の本物映像も流れます。
ムハンマド役の俳優タウフィーク・バルホームよりも
本物の彼のほうがアイドル顔だったことにウケました。
普通は役者のほうが男前なものでしょうが。(^^;

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