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『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』

2016年04月15日 | 映画(は行)
『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(原題:Banksy Does New York)
監督:クリス・モーカーベル

甲子園でデーゲーム観戦の前に1本だけ、梅田ブルク7にて。

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(2010)を観て以来、
気になって仕方がない覆面アーティスト、バンクシー。
世界各地にゲリラ的に現れ、グラフィティアートやストリートアートを残す手法を取り、
有名な美術館や博物館の展示品の間に自作を勝手に展示したり、
動物園の囲いにペイントしてみたり、パレスチナの分離壁に絵を描いたり。

いつのまにそんなところに潜り込んで作品を仕上げたのか誰にもわかりません。
活動を始めてからすでに15年以上が経過するというのに、
正体を暴こうと躍起になる人たちを見事にかわしつづけ、いまだ正体不明。

金儲けにはまったく興味がないと見えて、
世界のトップ企業や有名人からのコラボ等のオファーはすべて断る潔さ。
しかし、彼の作品は人気沸騰、オークションでは高額で落札されています。
出品者はもちろん彼本人ではなく、彼の作品をたまたま手にした人や、
金に物を言わせて彼の作品をどうにかして入手した人とか。

そんなふうに話題に事欠かないバンクシーが、2013年10月の1カ月間、
毎日1点ずつ、ニューヨークの街のどこかで作品を発表すると宣言。
毎朝インスタグラムで発表されると、
街のどこかに「展示」されている彼の作品を一目見ようと、
バンクシーの追っかけや、転売を目論む者がニューヨーク中を走り回ります。
一応「違法な落書き」だから、見つかるやいなや消されてしまうことも。
わずか数時間しか展示されない作品を見ることができた人は大興奮。

彼の活動は人を食った行為にも見え、よく思わない人もいっぱい。
しかし、もともとの看板や標識に何かを加えて風刺画にしたり、
トラックの荷台に滝をつくったり、単純に非常に面白いです。

慈善団体のロビーに掲げられていた数千円の価値の絵画を拝借、
そこに絵を描き足してこっそり返却。
慈善団体がオークションに出品すると、ものすごい価格で落札されたそうですが、
それに絡んでハンナ・アーレントの話が出てきたことにも興味を惹かれました。

これからも注目せざるを得ないアーティストです。

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