夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ふしぎな岬の物語』

2014年10月23日 | 映画(は行)
『ふしぎな岬の物語』
監督:成島出
出演:吉永小百合,阿部寛,竹内結子,笑福亭鶴瓶,笹野高史,
   井浦新,片岡亀蔵,中原丈雄,石橋蓮司,米倉斉加年他

わが家からいちばん近い劇場、109シネマズ箕面。
もっぱら、晩ごはんの支度をしなくてよい場合の平日の仕事帰りに車で行きますが、
この間の日曜日は19日だったため、109シネマズの鑑賞料金が1,100円。
ダンナが車を使っているので、私はバスでみのおキューズモールへ。

第38回モントリオール世界映画祭で、審査員特別賞グランプリと
エキュメニカル審査員賞(キリスト教団体が人道的作品に贈る賞)を受賞、話題に。
そんな賞を取らずとも吉永小百合ですから、観客動員は見込めたでしょうけれど。
彼女自身が初めて企画から手がけた作品なのだそうです。

岬村の先端にたたずむ“岬カフェ”の店主・柏木悦子(吉永小百合)。
彼女が「美味しくなぁれ」と念じて淹れるコーヒーが本当に美味しいと評判。
また、彼女の人柄に惹かれて何十年とかよう常連客もいる。

そのうちのひとりが不動産屋のタニさん(笑福亭鶴瓶)。
悦子への淡い恋心をひた隠しにして30年。
それから、漁師の徳さん(笹野高史)、教師の行吉先生(吉幾三)。

行吉先生が担任を務めたのが悦子の甥・柏木浩司(阿部寛)。
浩司は、亡き悦子の夫から彼女を守る役目を引き受けたのだと言い、
岬カフェが見えていつでも駆けつけられる場所に住んでいる。

村の祭りの日、徳さんの娘・みどり(竹内結子)が突然帰ってくる。
彼女は徳さんの反対を押し切って結婚、村を出て行ったのだが、離婚したらしい。
浩司をはじめ、みどりの帰郷をみんなが歓迎するが、
徳さんだけは素直になれず、みどりのほうもどうすればよいのかわからず……。

かなり退屈。すみません、ちょっと寝ました。
109シネマズのエグゼクティブシートに座ったら、心地よくて。
成島出監督の作品はわかりやすいのがいいところ。けれどもこれはわかりやす過ぎ。
心情を全部言葉に出して言われると、もう少し表情を見てみたくなります。

まぁこれは吉永小百合を見る映画で、サユリストならばぞっこんでしょう。
だって、ほんとに綺麗だし。どうやったらあんな口角の自然な上がり方を保てるの。
でも、コーヒーに「美味しくなぁれ」はドン引き、彼女じゃなければ張り倒したい。
それを伝授される竹内結子の心情こそ言葉に出してほしかったりして。(^^;

「とにかく吉永小百合」という世代でないならば、ちとツライのでは。
『蜩ノ記』の直木賞選考時の林真理子の評、「主人公らが清廉すぎる」というのは、
本作のほうがピッタシ来る言葉だと私は思いました。
吉永小百合は決して汚してはいけない存在で、
まさに本作の浩司やタニさんのように憧憬の想いを抱く相手なのでしょうね。

前述の『まほろ駅前狂騒曲』で男子中学生の共感能力で笑わされたなら、
こちらではやはり熟年者の共感能力の高さを再確認。
笑いやすすり泣きがたくさん聞こえてくるのはもちろんのこと、
鍋にかけていたふきんに火が燃え移る瞬間に劇場で「うわっ」。
これは劇場で観る醍醐味です。

ということで、同回のモントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品、
『そこのみにて光輝く』の圧勝なり。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『まほろ駅前狂騒曲』 | トップ | 『グレース・オブ・モナコ 公... »

映画(は行)」カテゴリの最新記事