夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『題名のない子守唄』

2008年11月25日 | 映画(た行)
『題名のない子守唄』(原題:La Sconosciuta)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:クセニア・ラパポルト,ミケーレ・プラチド,
   クラウディア・ジェリーニ,ピエラ・デッリ・エスポスティ他

思い違いではないはずなのですが、
学生時代、竹中直人の著書を読んでいたら、
嫌いな映画の1本に『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)を挙げていました。
あの映画を嫌いだと言い切ることは、
なんとなく冷酷無情な人間だと思われそうで、
言い切れる竹中直人ってスゴイなぁと笑ってしまったものです。

その『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督の作品。
すでにレンタル旧作となっていますが、
TSUTAYA DISCASでは当初4本の在庫しかなく、
そこに数百人のレンタル希望者が。
待てど暮らせど借りられそうにないので実店舗へ。
早く借りればよかったと大後悔。
これは竹中直人も気に入るんじゃないかと思うんですけど。

北イタリアの町。
ウクライナ出身のイレーナと名乗る女性が部屋を借りる。
彼女は、近くのアパートの管理人を訪ね、
仕事を紹介してほしいと頼む。
このアパートの住人はよそ者を雇いたがらないからと管理人は断るが、
一見不憫なだけの彼女が意外にしたたかであると知り、
給料の何割かを受け取ることにして、彼女をメイドとしてねじ込む。

アパートの最上階に住むのは貴金属商のアダケル夫妻。
イレーナは、アパートのフロアや階段の掃除をこなすうち、
アダケル家で長年メイドを務めているジーナと親しくなる。

と、書き始めましたが、書けませんねぇ、この先。
ネタバレになることが多すぎて。

イレーナがいったい何者なのか、
何のためにこの町にやって来たのか、
まったく明かされないまま淡々と話は進み、
やがて、R-15も納得の衝撃的な映像が
フラッシュバックで挟まれるようになります。
あとはもう、どうにもこうにも目を離すことができません。

冒頭で不動産屋の薦めを無視して部屋を即決したイレーナ。
真っ先に訪れた向かいのアパート。
どうしてもメイドとして潜り込む必要があったアダケル家。
そこにいた幼い娘。
イレーナの過去に触れるにつれて、彼女を理解し、
ぐいぐいと話に引き込まれます。
魂を絞られるような素晴らしいミステリー映画。

ひたすら陰鬱で凄惨なのに、最後にひと筋映る希望の光。
竹中直人もきっと気に入る、だけど、
『ニュー・シネマ・パラダイス』を好きな人もやはり気に入る。
そんな気がします。

切なさは映画に必須。

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