夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『甘いお酒でうがい』

2020年10月21日 | 映画(あ行)
『甘いお酒でうがい』
監督:大九明子
出演:松雪泰子,黒木華,清水尋也,古舘寛治,前野朋哉,渡辺大知他
 
MOVIX京都で3本ハシゴの2本目。『無職の大卒』の次に。
 
吉本興業と各テレビ局のコラボで映画を製作する沖縄国際映画祭恒例企画、
“TV DIRECTOR'S MOVIE”の1本としてテレビ朝日との共同で製作されたもの。
お笑い芸人のシソンヌじろうがコントで演じている、
OLの日記として書籍化された同名小説の映画化なのだそうです。
 
なんばパークスシネマで幾度となく予告編を観て、
ちょっといい感じだなと思っていた作品。
私は大九明子監督のこと、もしかするとわりとお気に入りかもしれません。
 
川嶋佳子(松雪泰子)は40代の独身OL。
「これは私の日記」という言葉から始まります。
その言葉どおり、日付が表示されて、日々の出来事が淡々と綴られるだけ。
でも退屈ではありません。睡魔にも襲われず(笑)。
日常って、綴ってみればそれだけでドラマなのかも。
 
サドルを撫でたくなるほど愛してやまない自転車なのに、
駐輪場ではないところに置いて出社、帰ってきたら、ない。
放置自転車の管理場所へ取りに行ったらベルがなかったり。
 
職場の同僚である若林ちゃん(黒木華)とお昼ごはんによく食べるのはお蕎麦。
たまたまそこで出会った若林ちゃんの後輩、岡本くん(清水尋也)は二回り近く年下。
だけどいとも簡単に好きになってしまう佳子さん。
 
主な登場人物は上記の3名で、あとはみんなちょっとだけ出演。
独り言をまくし立てる怪しいおじさんが古舘寛治とか、
不動産屋の前で「高い」とぼやく青年が前野朋哉とか、
ちょっと来てすぐ来なくなる新入社員が渡辺大知とか。
 
コメディという触れ込みですが、私にはコメディに思えませんでした。
佳子さんには若林ちゃん以外に友だちがいなくて、
でもひとりでいることを好んでいるふうでもない。
すごく寂しそうだから、まるでひとりが好きな私も駄目出しされている気になる。
だけど終盤、彼女がとてつもない悲しみを抱えていることがわかる。
最後までそれについて明言されることはないけれど、たぶん、大事な誰かを失ったひと。
 
この辺り、原作がどうなっているのか知りませんが、
これも気持ちの整理のつけ方を描いた作品だと思いました。
 
ところで佳子さんが流し台の前でいつも最後に飲むのはグラッパ
甘い? それよりもキューッときつい気がする。

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