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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『サイレントナイト』

2025年05月04日 | 映画(さ行)
『サイレントナイト』(原題:Silent Night)
監督:ジョン・ウー
出演:ジョエル・キナマン,スコット・メスカディ,ハロルド・トレス,カタリーナ・サンディノ・モレノ,
   ヴァレリア・サンタエラ,ヴィニー・オブライエン,他
 
『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』が公開されてからというもの、どの劇場もコナンだらけ。
あり得ないほどの上映回数だと思うのに、そのほとんどが満席に近いのですから驚きます。
新しく公開したってコナンのせいで上映できるスクリーンがないから、封切り作品もめっきり減る。
未見の作品はもうこれしかないよねということで、109シネマズ大阪エキスポシティへ。
 
ジョン・ウー監督を世界的に有名にしたのは、なんといっても“男たちの挽歌”シリーズでしょう。
香港からハリウッドへと活動拠点を移し、“ミッション:インポッシブル”シリーズの第2作を監督。
最近では福山雅治を主演に起用した『マンハント』(2017)なんてのもありました。
そろそろ80歳だから、昔の勢いはないにせよ、まだこんなアクションものを撮る元気はおありなのですね。
 
電気技師のブライアンは、妻サヤと幼い息子テイラーと3人、幸せに暮らしていたある日、
自宅前を爆走するギャングの車2台が撃ち合い、流れ弾を受けたテイラーが死んでしまう。
車を追いかけてギャングらを一網打尽にしようとするも失敗。喉を撃たれる。
 
奇跡的に一命は取り留めたが、声を発することができなくなったブライアン。
ただただ暗い表情で酒を煽る日々を送る彼にどう接すればよいのかサヤは困惑する。
ところが、ブライアンは自身の入院中に名刺を置いていったギャング取締班の刑事に会いに行ったかと思うと、
そこに掲示されていたギャングたちの写真を見て俄然復讐心に燃える。
 
ブライアンの喉を撃ったギャングがリーダー・プラヤであると知り、徹底的に周囲を調べはじめると同時に、
攻撃やカードライビングのテクニックを学び、復讐に備えるのだが……。
 
悲劇が起こったのはクリスマスイブの日だから『サイレントナイト』なのかと思ったら、
ひと言も発しないから『サイレント』なのですね。(^^;
ジョエル・キナマン演じるブライアンはいっさいセリフなし。ほかの登場人物もしゃべらない。
全編セリフなしというのが売りらしいです。
 
冒頭、真っ赤なお鼻のトナカイさんが付いたセーターを着たブライアンが走る。
ってことは、息子を殺された後すぐに走り出したってことですよね。
そんなんでギャングに立ち向かえるわけがないじゃあないですか。
 
さらには、鍛えまくったブライアンはさぞかし強くなったろうと思うのに、
ギャングのうちスーツを着たいちばんショボそうな奴に結構な反撃を喰らいます。
えーっ、もうちょっと強くないと。
 
単身でギャングの巣窟に乗り込んだブライアンを追いかけて刑事デニスが臨場するけど、彼もイマイチ強くない。
ヤク中の女ヴィーナスに撃たれまくりますからね。
それに、ふたりしてそんなにヨレヨレでプラヤに勝負を臨んでも無理やろという気すらする。
そこは負けないけど、ふたりとも死ぬし。あ、ネタバレだ。(^^;
ちなみにデニス役はラッパーのキッド・カディで、俳優として仕事するときにスコット・メスカディを名乗っているんだそうな。
 
はい、つまらなくはないです。でも話として月並み。わざわざジョン・ウーが撮る必要なし。

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『シンシン/SING SING』

2025年05月03日 | 映画(さ行)
『シンシン/SING SING』(原題:Sing Sing)
監督:グレッグ・クウェダー
出演:コールマン・ドミンゴ,クラレンス・マクリン,ショーン・サン・ホセ,ポール・レイシー他
 
前述の『鬼滅の刃 鼓屋敷編』をTOHOシネマズなんば本館で鑑賞後、別館に移動して。
 
ニューヨーク、ハドソン川に面して建つシンシン刑務所。
重罪を働いた囚人たちを収監する刑務所らしく、有名な囚人としては“サムの息子事件”を起こしたデヴィッド・バーコウィッツや、
“ブルックリンの吸血鬼”と呼ばれたアルバート・フィッシュ、電気椅子で処刑された最初の女性死刑囚マーサ・プレイス、
 
この刑務所では更生プログラムとして1930年代からさまざまなレクレーションがさかんにおこなわれているのだそうです。
そんなプログラムの中で、特に意識改善と再犯率の低下にめざましい効果を見せているのが、
舞台演劇を通じた更生プログラム“RTA(=Rehabilitation Through the Arts)”。
 
囚人たちが演劇に臨む様子を描いた作品としては『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』(2020)がありました。
そちらはフランス作品で、実話が基。
また、囚人たちに演技指導することになった舞台俳優の視点で撮られていましたが、
本作は演技指導を受ける側の囚人の視点で描かれています。
実話ではないけれど、本作では囚人役をRTAの卒業生である元囚人たちが演じているのも見どころ。
 
シンシン刑務所に収監されているたディヴァインGは無実を訴えるも認められないままだが、
刑務所内の更生プログラム“RTA”のグループに所属して演劇に取り組むことで前向きでいられる。
 
あるとき、RTAに欠員が出たため、1名補充することに。
参加志願者数名の中にはトラブルメーカーとして恐れられているディヴァイン・アイもいた。
ディヴァインGとマイク・マイクがディヴァイン・アイに会って志願の理由を聞くと、
意外にもディヴァイン・アイは知的。演劇の素養もありそうだから、彼をRTAに引き入れることに。
 
RTAの舞台演劇の脚本はこれまでずっとディヴァインGが執筆してきたが、
次回公演の案を発表したところ、ディヴァイン・アイが異議を唱える。
囚人たちはシェイクスピアのような悲劇ではなく喜劇を観たいはずだと。
 
それも一理あると、次回は演技指導をするブレントが脚本を書くことに。
囚人たちの希望はあまりに多様で、タイムトラベルもの、海賊もの、エジプトの王子が登場するやつ、
“エルム街の悪夢”シリーズのフレディも出てきてほしい、やっぱりハムレットなど、好き放題に言う。
それらを全部盛り込んだ脚本をブレントが書き上げたものだから、みんな大興奮。
 
それぞれが希望の役を演じるために一応オーディションを受け、ディヴァインGはハムレット役を希望。
ところが、悲劇より喜劇と言った張本人のディヴァイン・アイもハムレット役を希望して……。
 
ちょっと期待しすぎました。
それなりに良くはあるものの、めちゃめちゃ良かったとは思えません。
 
ディヴァインGがいったいどんな罪で投獄されたのか、どういう証拠を持って無実を証明しようとしたのか。
この辺りはほとんどわからないまま。
まぁ、あくまでも主役は演劇ですから、それぞれの細かい話まで盛り込んだら長くなっちゃうか。
 
ほかの囚人たちの相談に乗り、聴聞会を乗り切れるように助けているディヴァインG。
彼のアドバイスを聞き入れた囚人は無事釈放されることになるのに、
彼自身は審査での受け答えすら演技を疑われるという悲しい現実。これはつらいですね。
 
ラストシーンはまるで『ショーシャンクの空に』(1994)でした。

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『ZEROBASEONE THE FIRST TOUR 【TIMELESS WORLD】 IN CINEMAS』

2025年04月14日 | 映画(さ行)
『ZEROBASEONE THE FIRST TOUR [TIMELESS WORLD] IN CINEMAS』(原題:ZEROBASEONE The First Tour [Timeless World] in Cinemas)
監督:オ・ユンドン,キム・ハミン
 
109シネマズ箕面にて、先月、春分の日の前日に公開された本作を。
K-POPにまるで興味のなかった数年前から、こうして知らないグループのドキュメンタリーフィルムが公開されるたび、
仕事帰りに寄れる劇場で洋画や邦画のロードショー作品を全部観てしまった後、他に選択肢がないから観ることがありました。
 
最初に観た『BTS: Yet To Come in Cinemas』(2023)もそうです。
『MY SHINee WORLD』(2023)を観たときなんて、“SHINee”の読み方さえ知らず。
『SUGA | Agust D TOUR 'D-DAY' THE MOVIE』(2024)はBTSを観たついでに。
2024年になってから再上映された『BRING THE SOUL: THE MOVIE』(2019)と『BREAK THE SILENCE: THE MOVIE』(2020)だって、
あくまで「ほかに観るものがないから」観に行ったに過ぎません。
 
それが『JUNG KOOK: I AM STILL』(2024)を観てジョングクにどハマり。
しばらくしてから公開されたParty Edition版を含めて結局計8回鑑賞。
途中、『SEVENTEEN TOUR 'FOLLOW' AGAIN TO CINEMAS』(2024)を観た頃にはBTSを“箱推し”するまでになっていました(笑)。
 
そんなわけで、今は積極的にK-POPのドキュメンタリーを観たいと思っているけれど、まったく食指が動かない場合もあります。
“ZEROBASEONE”の名前も聞いたことすらなかったからスルーするつもりでしたが、
109シネマズ箕面で1本だけ観ようかなと思った日、ほかは観た作品ばかりでやむをえずこれを選択。
 
当たり前のことながら、BTSよりみんな若い。もちろんイケメンぞろい。歌もダンスも皆上手い。
ジャン・ハオってBTSのテテに似てるよねと思いながら観る。
テテの顔をすぐに思い浮かべられる自分が可笑しい。BTSって何!?と言っていた頃が懐かしい。
 
ZEROBASEONE、ゼベワンというのですね。
“BOYS PLANET”というサバイバルオーディション番組で勝ち残った上位9人によるグループで、
ファンは“ZEROSE”と呼ばれているそうな。なんと言っているのか聞き取れず、「ズロース」かと思いました。(^^;
ジャン・ハオは中国籍ながら1位を獲得。そうそう、彼はテテに似ているんです。
しかしリーダーは2位だったソン・ハンビンで、彼のコメントや映像がやたら多いのは事務所の意向か。
 
結構楽しく観ましたが、やっぱりBTSのほうが好きだなぁ。深みが感じられるというのかなんというのか。
これって贔屓目でしょうか。すっかりバンタン沼にハマっている気がする。

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『白雪姫』

2025年04月06日 | 映画(さ行)
『白雪姫』(原題:Snow White)
監督:マーク・ウェブ
出演:レイチェル・ゼグラー,ガル・ガドット,アンドリュー・バーナップ,アンス・カビア,ハドリー・フレイザー他              
声の出演:パトリック・ペイジ,ジェレミー・スウィフト,マーティン・クレバ,ジョージ・サラザール,
     アンディ・グロテルーシェン,タイタス・バージェス,ジェイソン・クラビッツ,アンドリュー・バース・フェルドマン他
 
よしもと道頓堀シアターのオープン初日、午後休を取りました。
かなり無謀なスケジュール組みだったけど、TOHOシネマズ梅田で12:50からの本作上映に駆け込めそう。
だって本編の上映は13:05くらいからですからね。
目論見どおりというのか、意外と余裕で間に合いました。(^^)v
 
キャストが発表されるやいなや問題に。
『リトル・マーメイド』(2023)のときは、人魚姫に黒人女優のハリー・ベイリーがキャスティングされたことで物議を醸す。
本作ではコロンビア系アメリカ人女優のレイチェル・ゼグラーが主演に抜擢されて「イメージに合わない」と言われたうえに、
女王にはイスラエル出身のガル・ガドットが起用されたことにより、文化論争にまで火がつきました。
 
公開前からこんなマイナスの雰囲気だと観に行く気も失せるけど、まぁ観るかと。
 
確かに「白雪姫」には抜けるように白いイメージがあるし、ラテン系の彼女はちと違う。
容姿の点でもものすごく綺麗とか可愛いとか思えないから、序盤はいずれ私は寝てしまうと思っていました(笑)。
けれど、歌はやっぱり上手いし、次第に清楚な雰囲気が合っているように見えてきて。
 
物語としての『白雪姫』が特に好きだったわけじゃなし、『眠りの森の美女』とどこが違ったんだっけとこんがらがる。
オリジナルの『グリム童話』からはどう改変されているのでしょ?
 
本作の白雪姫は、女王だった優しい実母が亡くなった後、継母となった邪悪な女王の陰謀により王である父親も失います。
実の両親が生きていた頃は、白雪姫みずから焼いたアップルパイなどを民衆に差し入れていたのに、
継母は自分の暮らしに贅沢の限りを尽くし、民衆のうち男はすべて兵士として自分に仕えるように命じます。
兵士は誰も逆らえず、民衆の生活は困窮への一途をたどるのみ。
 
白雪姫は城に幽閉され、掃除に勤しむ日々。
町では白雪姫が長らく行方不明との噂がはびこっていて、彼女が城内に閉じ込められているなんて誰も知りません。
そんなとき、食糧を盗むために城へ潜り込んだのがジョナサン。
継母がジョナサンを捕らえて見せしめに門に磔にしていたところ、白雪姫がこっそり逃がす。
 
その頃、「いちばん美しいのはだぁれ?」と継母に聞かれると「それはあなた」と答えていた魔法の鏡が、
「白雪姫だよ」と答えるようになり、継母激怒。
森の奥へ白雪姫を連れて行って殺すようにと兵士に言い渡しますが、兵士にはそれができない。
早く逃げるように言われて懸命に森の中を走る白雪姫が着いたのが七人の小人の家。
 
白雪姫がまだ生きていることを知った継母は、逃がした兵士を地下牢に閉じ込め、別の兵士に白雪姫殺害を命じます。
匿ってもらえば小人たちに迷惑がかかると思った白雪姫は辞去し、森にいたジョナサンに再会するのでした。
 
ってまぁこんな感じで。
ストーリーの変更とか、小人たちの描写とかに加えて、主演のゼグラーがオリジナルを批判したとかで、
とにかく公開前から本作の評判が下がる一方だったようです。
 
しかしそのおかげでハードルがものすごく下がっていたせいか、普通に面白いじゃあないか。
邪悪な女王の言いなりになっていた兵士たちが、全員のことを覚えていた白雪姫の言葉で自らを取り戻すのも悪くない。
 
酷評の嵐の中でも私は楽しめてよかったと思うのでした。(^^;

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『ジェリーの災難』

2025年04月03日 | 映画(さ行)
『ジェリーの災難』(原題:Starring Jerry as Himself)
監督:ロー・チェン
出演:ジェリー・シュー,ジェシー・シュー,ジョナサン・シュー,ジョシュア・シュー,キャシー・シュー,
   ハオソン・ヤン,ジャン・ツァイ,ファン・ドゥ,ニック・ベイリー,ヨニ・ロタン他
 
昼間にTOHOシネマズ梅田で『少年と犬』を観て、福島のバーで飲んで、NGKで吉本新喜劇を観て、
そこで帰りゃいいものを、TOHOシネマズなんばに寄ってもう1本。
22:00~23:30の回で、レイトショーもレイトショー。これ観て家まで帰れるんかいなというほどの時間帯。
はい、ちゃんと帰れましたけど。
 
なんとも風変わりな作品を撮ったものです。
完全なる実話で、詐欺被害に遭った張本人とその家族を俳優として起用しています。
ドキュメンタリーかと思って観はじめたら、どうやらそうではない。
けれど俳優にしては素人くさく、演技にしてはリアルすぎると思ったら、騙された本人が演じていたというわけで。
 
台湾出身のジェリー・シューは、アメリカンドリームに憧れて米国に渡り、何十年。
妻のキャシーとは離婚し、息子3人も成人してそれぞれに暮らしているから、ジェリーはひとり暮らし。
それでもキャシーとは定期的に会って頻繁に連絡を取り合う中で、息子たちもよく様子を尋ねてくれる。
 
ところがある日、ジェリーの電話をあと2時間で止めるとの通達を受ける。
何が何やらわからないが、電話を止められては困るなら中国警察に通報するように言われてすぐに電話。
話を聞けば、ジェリーは資金洗浄(マネーロンダリング)の国際的な捜査で容疑者になっているとのこと。
ジェリーがフロリダに持つ銀行口座を介して128万ドルが違法に移動されていると。
 
まったく身に覚えがなくて焦るジェリーに、警察官を名乗るジャンは丁寧に優しく応対。
金の流れを突き止めるため、口座を解約して警察に送金するようにジェリーに指示。
疑わしい銀行に出向き、ジャンに言われたとおりに次々と解約して送金。
株で儲けた金はもちろんのこと、生命保険を解約、年金も満額を払い出して送る。
 
すべての口座が空っぽになった途端、ジャンとは連絡がつかなくなり、詐欺に遭ったと知る。
その額98万8000ドル、日本円にしておよそ1億5千万円。
 
こんな手に引っかかるなんておかしいやろと思うけれど、騙されるときは騙されるんですねぇ。
コツコツ貯めたお金を息子たちのために残そうとしていたのに、まるごと持って行かれて。
けれど救いは家族みんながジェリーに温かかったこと。
ジェリーと正反対に金遣いが荒く派手好きのキャシーは最初こそ「アホか」という態度ですが、
国民性なのでしょうか、彼女も息子たちも「しゃあないわな」という感じ。
 
たぶん生きる気力を失っただろうと思うのに、映画化の話が降ってきて、ジェリーはロー・チェンと共に脚本を執筆。
そのおかげで元気を取り戻したとキャシーも嬉しそう。
 
自分のような詐欺被害者が出ないようにしたくて本作を作ったと言うジェリー。
人の良いお年寄りを騙すような悪人には罰が当たるように祈ります。

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