生活保護バッシングは、自らの生存権縮小につながる
朝日訴訟や国民の運動が「国民の生存権」定着や社会保障改善へ導く
憲法25条に規定される生存権「すべての国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」と書かれています。制定当初は「国家の努力義務にすぎない」と政府も学説も言っていました。それを覆したのが朝日訴訟です。
「25条は絵にかいた餅ではない、権利だ」-。岡山県の結核患者、朝日茂さんは1957年、低すぎる生活保護基準は25条に反するとして、その引き上げを求めてたたかいました。 東京地裁は60年10月原告の主張を認めました。憲法25条について国が国民に対し、「人間に値する生存」を保障しなければならないとしたのです。
訴訟運動は、労働組合をはじめ広範な国民の運動へ発展しました。朝日訴訟のたたかいは、生存権を実質的に、「国民の権利として定着させ、生活保護だけでなく社会保障全体を拡充する運動の力となりました。この間生活保護の制度も行政も、国民のたたかいで改善されてきたのです。
自民・民主・公明の失政が生活保護利用者の増大招く
自らの失政が招いた生活保護利用者の増大に対し民主党政権に続き、今の自公政権も生活保護を激しく攻撃しています。
民主・自民・公明の3党合意で昨年8月、消費税増税法とともに「社会保障制度改革推進」法案が成立。医療や介護、生活保護の改悪が狙われています。この法案は「自助を強調し、国の責任で生存権を保障するという考え方が欠落しています。 下位法による下剋上で憲法違反です。
国民全体へ攻撃ー修学援助、最低賃金、年金などさまざまな制度を引き下げる
昨年から生活保護バッシングの嵐が吹き荒れています。それを追い風に画策された生活保護基準の引き下げ。単に生活保護制度の後退ではなく国民全体への攻撃であり、社会保障の国の責任放棄の先駆けとなります。
保護基準は「健康で文化的な最低限の生活」の”ものさし”です。修学援助、最低賃金、年金などさまざまな制度の基準となります。
権利はたたかうものの手にある
朝日訴訟を継承した朝日健二さんは、「25条は、社会保障を充実し国民を主体とした国のあり方を描いている」「25条を具体化した生活保護を権利として確立するために、生活保護利用者だけでなく労働者などすべての階層と連帯し、社会保障全体の改革運動として展開しなければならないー。権利はたたかうものの手にある」と呼びかけます。