mimi-fuku通信

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NHK総合『つかこうへい・日本の芝居を変えた男』:番組情報。

2010-12-22 22:12:34 | 映画・芝居・落語


 ヒューマン・ドキュメンタリー
 『つかこうへい:日本の芝居を変えた男』

 放送局:NHK総合/デジタル総合
 放送日:2010年12月24日(金)
 放送時間 :午後10時~午後10時43分
  ※北海道地方は別番組

 <mimifukuから一言>

 つかこうへいさんが亡くなったのが今年の7月。
 つかさんについて多くの知識を有さないが、
 当ブログでも2つの記事があり多くの閲覧を得ている。

 つかさんが亡くなって思いだしたかのように、
 3つの熱海殺人事件のビデオ映像を観た。

 ・由見あかり主演:『熱海殺人事件:売春捜査官』
  出演:由見あかり 田中竜一 戸田禎幸 吉田智則
 ・阿部寛主演:『熱海殺人事件:モンテカルロ・イリュージョン』
  出演:阿部寛 平栗あつみ 山本亨 山崎銀之丞
 ・石原良純主演:『熱海殺人事件:サイコパス』
  出演:石原良純 鈴木聖子 鈴木祐二 小川岳男
 
~何れも過去にNHK-BS2で放送された作品。

 つかさんと言えば『映画:蒲田行進曲』をイメージする人が多いと思うが、
 私は“熱海殺人事件”に拘りたく、
 『ザ・ロンゲスト・スプリング:熱海殺人事件』(1992年・白水社)
 『小説:熱海殺人事件』(1996年・角川書店再販)
 『シナリオ:熱海殺人事件・売春捜査官』(1996年・メディア・ファクトリー)
 『高校生のための実践演劇講座:Ⅲ・演出論・演技論』(1997年:白水社)
 の4冊を読んだ。
 ~熱海殺人事件は基本ストーリーからのバリエーションで数種類が存在。
   口立ての演技指導は題目(タイトル)が同じでもセリフの変化が顕著で、
   つかさんの目で俳優・女優が最も光るセリフを創作し次々と言葉を叩き込む。

 2010年年末。
 何故“つかこうへい”であり“松田優作”なのか?
 ~同12月22日:『ラスト・ディズ・松田優作×香川照之』を放送。
 1970年代の熱気が生み出す新しい文化形態の模索は、
 1965年(昭和40年)頃からの急激な社会変化と、
 若者達の意識の変化(=戦後生まれの社会進出)
 によるものなのだろう。

 ・
1948年4月24日生まれのつかこうへいさん
 ・1949年9月21日生まれのの松田優作さん。
 松田さんの誕生日を調べてアレッと気付いた、
 ・1949年9月14日生まれの矢沢永吉さん。
 
社会形態の変化(欲求)を見抜き何かを変えようと戦う戦士は、
 戦後の“ベビーブーム”と呼ばれる世代から生まれた。

 番組『つかこうへい:日本の芝居を変えた男』で紹介されるだろう、
 【大分市つかこうへい劇団】を旗揚げしたつかさん40代の挑戦。

 私が映像を通し心動かされた“つか芝居”こそ、
 『大分市つかこうへい劇団の熱海殺人事件・売春捜査官』
 であり、
 つかさん自身が作品解説した言葉としての、
 「この作品では、
 女性軽視の問題、同性愛者の生き様、在日朝鮮人問題等、
 差別された者の痛みとその中で強く生き抜く希望を描いた。
 しかし、
 この作品(1996年)では男性から女性に主役を交代させることで、
 これまでの男の美学から女の時代の女の美学に“すり変えて”書いてある。
 またこの芝居を引き締めたのは同性愛者の戸田刑事の苦悩であり、
 朝鮮人:李大全(戸田禎幸・二役)の叫びである。」
 
*『小説:熱海殺人事件』解説より転載。

 以前に文字にした記事と重なり心苦しいが、
 『つかこうへいさんの遺書』として、
 友人、知人の皆様。
 つかこうへいでございます。
 思えば恥の多い人生でございました。
 先に逝く者は、
 後に残る人を煩わせてはならないと思っています。
 私には信仰する宗教もありませんし、
 戒名も墓も作ろうとは思っておりません。
 通夜、葬儀、お別れの会等も一切遠慮させて頂きます。
 しばらくしたら娘に日本と韓国の間。
 対馬海峡あたりで散骨してもらおうと思っています。
 今までの過分なる御厚意、
 本当にありがとうございます。
 2010年1月1日 つかこうへい

 朝鮮人:李大全(戸田禎幸・二役)の故郷としての対馬(誤り=五島)と、
 売春捜査官のストーリーで重要な意味を持つ対馬。
 {訂正}対馬海峡を見渡すアリランの花咲く五島(列島)カミ島の丘(岬)。
 大分市つかこうへい劇団に託した、
 売春捜査官に投影されるつかさんの深層。
 この作品は、
 
韓国では許されなかった日本の大衆文化の輸入が、
 1999年に許可された後のソウルでの舞台公演で、
 『熱い波・女刑事物語』(原題『売春捜査官』)として、
 日本人による初めての舞台芝居として行われた。
 
~BS2『K-POP:青春グラフィティ』でも日韓文化交流の壁を解説。

 つかさんが亡くなって知った事だが、
 李大全(り・だいぜん)役の戸田禎幸(さだゆき)さんも既に鬼籍。
 戸田さんの訃報の情報は九州地方で放送された
 『裸の心で芝居しろ~つかこうへい・舞台の秘密~』
 で紹介されている(私は未視聴)。

 ~以下ホームページ記事転載。
 先日亡くなった劇作家で演出家のつかこうへいさん。
 斬新な舞台で多くの人を魅了した。
 役者の生気あふれる舞台の秘密を関係者の証言で明らかにする。
 つかこうへいさんは、
 福岡県出身で戦後日本の演劇界に旋風を巻き起こした氏は、
 40代半ばに地方で新たな挑戦に乗り出した。
 団員3人の“大分つかこうへい劇団”の結成だ。
 つか氏は素人の役者たちと真っ正面からぶつかることで、
 新境地を切り開きさらなる飛躍を遂げる。
 僅か5年の活動の中でつか氏は何を目指し何を見つけたのか。
 演劇界の巨人:つかこうへい氏の知られざる人物像に迫り、
 その演劇の魅力の原点に迫る。


 大分市つかこうへい劇団の当時の舞台を紹介した、
 “演劇◎定点カメラ”さんのレビューには、
 
http://homepage1.nifty.com/mneko/play/TA/19970816s.htm

 舞台が終わった後のアトラクションとして、
 プレスリーや山下清さん的な仮装をした地元市役所所員による、
 大分:由見牧場(主演女優の実家)の高級牛肉プレゼントのための、
 全員起立の“じゃんけん大会”や、
 観光パンフ、お守り鈴、ティッシュが全員にプレゼントとある。
 ~あのシリアスな芝居とアトラクションは私のイメージとして辻褄が合わない。
   市役所の職員が同行したとされる演劇の運営方法や町興しの手法は不明。
   個人的な感想ながら演劇を芸術として捉える視点からはほど遠いブレを感じる。

 “大分レポート”さん(東京在住のファンの方)の劇団への思い入れは強く、
 http://homepage2.nifty.com/kitaclub/ooita-asako-bangai.htm
 長文のレポートは読み応え充分(必読)。

 さらに地元大分県の、
 空日記”さんのブログ記事には、
  http://ameblo.jp/yttp0603/entry-10627736650.html

 ・地元ケーブルテレビ局勤務:由見(よしみ)あかりさん。
 ・病院勤務:田中竜一さん。
 ・地元広告代理店勤務:戸田禎幸さん。
 と大分市つかこうへい劇団の役者陣の経歴が記入されている。

 全国で約4万8千人以上が観劇したとされる、
 『大分市つかこうへい劇団公演:熱海殺人事件・売春捜査官』
 に興味は尽きない。
 
~不適切な言葉が多い作品ながらNHK地上波で再放送されればと願う。


 前置きが長くなった。
 本題に入ろう。

 つかさんが育てたとされる役者(俳優・女優)には、
 風間杜夫さん、平田満さん、三浦洋一さん、
 阿部寛さん、石原良純さん、筧利夫さん、
 広末涼子さん、内田有紀さん、黒木メイサさん
 
等の第一線・主役級の俳優陣が目白押し。
 つかさんをメジャー舞台演出家として紹介するのはいとも簡単だ。

 しかし注目すべきは、
 仕事を持ちながら活動する北区つかこうへい劇団や、
 大分市つかこうへい劇団(既に解散)の役者の質の高さ。

 口立てと呼ばれる古くからの日本演劇に伝わる演出手法を進化させ、
 厳しく激しく鍛えあがられたアマチュア劇団の光。
 
 つかこうへいを学ぶ時、
 スティーブ・ジョブスやマイルス・デイビスに通じる創作手法を感じる。
 “私のイメージ・レベルに到達する者には必ず光を!”
 ~スタッフ・メンバーの技量を最大限に生かしながら、
   自分自身に吸収し高いステージに到達していく手法


 優秀な指揮者は、
 オーケストラの楽団員から尊敬をこめて“シェフ”と呼ばれる。
 食材を自由に味付けするシェフ(料理人)同様に、
 オーケストラは進んで信用できる指揮者の食材となる。
 
~(要求に応じる事のできる)良い食材になるための技術の研鑽。

 つかこうへいを学ぶ事は、
 人の本質(個々の本能的内面)を抉り出す手法としての、
 稽古(口立て)を通しての変化・変化・変化の要求。
 考える事を許さない身体で覚えさせる厳しい演技指導に、
 ぼんやりとしている昨今の日本人が失った職人気質を感じる。
 ~本当は一人ひとりが輝きを持っていはずなのに光る術を知らない。
   それは国家・行政・企業・個人を含め指導する術を知らない事の同類。

 話を戻そう。
 2010年の年末。
 何故“つかこうへい”であり“松田優作”なのか?
 その答えは各自(視聴者)が考えるべき事なのだろう。
 私が出した答えは失われた情熱。
 
 “諦めてはいけない!”
 “逃げてはいけない!”

 今テレビでは松田優作さんが、
 オーディション“ブラック・レイン”に挑んでいる。
 ~松田優作さんも在日2世(韓国)であり私生児として育った。
   差別される事の心理的抑圧は個のエネルギーとして、
   昇華されることは多くの芝居や映画が教えてくれる

   “悔しさを恐れてはいけない”
   番組から“そんなこんな”を感じる。


 <ブログ内:関連記事>
 *劇作家:つか こうへい氏の稽古(口立て)と遺書(遺言)に学ぶ。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20100714

 *つか こうへい&由見あかり“熱海殺人事件”の演出論と演技論。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20100719


 ~以下NHKホームページより記事転載。

 今年亡くなった劇作家つかこうへいさん。
 観客の心をわしづかみにする衝撃的な作品を生み演劇界に
 “つか以前”“つか以後”といわれる革命を起こした。
 また情熱あふれるけいこで、
 風間杜夫・阿部寛・黒木メイサなど多くの俳優を育てた。
 独創的な世界はどのように生みだされたのか? 
 栄光と波乱に満ちた生涯。
 知られざる舞台裏を多くの映像と証言でたどる。
 番組はつか芝居に出演し大きな影響を受けたという、
 俳優・富田靖子さんを案内人にデビュー以前の秘話、
 九州・大分でアマチュアを集めた劇団を旗揚げした40代、
 そして在日2世という生い立ちに向き合った作品の舞台裏など、
 演劇に全てをかけた62年の生涯をたどる。

 【語り】富田靖子
 

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2 コメント

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教えていただけますか? (うー)
2010-12-25 09:25:20
昨日 この番組を見て 大分つかこうへい劇団の 熱海殺人事件を見たくてたまらなく 検索をしていてたどり着きました 初めてで大変失礼とは思いますが 大分版の熱海殺人事件のビデオをお持ちでらっしゃるんですか? そちらは放送とかからダビングなさった物ですか? 販売されている(いた)物なんでしょうか?
mimifuku (つか芝居・放送の記録。)
2010-12-25 20:27:49
 う~さん。
 コメントありがとうございます。
 売春捜査官(東京公演)の放送は、
 NHK-BS2の深夜枠での舞台放送。
 韓国公演を前にした1997年の放送だと記憶しています。
 会場内などで市販されたものがあるかどうかは不明ですが、
 一般に販売されたビデオ映像記録はないようです。
 また、
 NHKの放送記録アーカイブで調べてみましたが、
 何故か放送記録は残されていませんでした。
 私の記憶とNHKアーカイブを重ね合わせると、
 
 <熱海殺人事件>

 *舞台『熱海殺人事件:売春捜査官』
 ~1997年/BS2
 *舞台『熱海殺人事件:モンテカルロ・イリュージョン』
 ~1999年/BS2
 *舞台『熱海殺人事件:サイコパス』
 ~1999年/BS2

 <その他の作品>

 *舞台『ロマンス~(改題)いつも心に太陽を』
 ~1998年/BS2
 *舞台『寝盗られ宗介98~徳川六代将軍・家宣の若き日の恋』
 ~1999年/BS2
 *舞台『二等兵物語』」
 ~2000年/BS2
 *舞台『ストリッパー物語』
 ~2003年/BS2

 『熱海殺人事件:モンテカルロ・イリュージョン』は合計3度の放送がありました。

 記事本文にも記入しましたが『売春捜査官』の、
 地上波での再放送が望まれます。

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