株価の動きがジェットコースターのような2週間でした。
5日間で約2000円下落し、3日間で約2000円戻した。
なんて荒っぽい株価の動きは過去にあったのでしょうか?
特にアメリカの動きとはまるで違った形で動いた、24日と27日の株価の動きの異常さは、今後の株式市場の動きを探る上で大きなキー・ポイントになった気がしました。
この不思議な動きは、やはり電子商取引の一般的な普及がもたらした象徴的な出来事のように思えます。
古くからの投資家の方々にとっては、憂いを持ってこの事態を静観されたこと思います。
言葉は悪いですが投資と言う行為が、、嘗ての<手打ち式パチンコ>から、<スロットル式パチンコ>に変化したような、目まぐるしく博打性の高い投機行為へと変化してしまったような気がします。
最近よく耳にするデイトレードに対する過熱心理は、この2週間で頂点に達したような気がしますし、株式投資に対する考え方が、『企業を買う。』のではなく、『数字を買う。』に変化したようです。
個人的には、バリュー投資による長期保持が株式保有の大前提と考えますが、株はやらないと決めている私でも、トヨタ株が3000円前後をうろついた時には、思わず預金通帳を見ました(笑)。
トヨタ自動車の話が出たので余談となりますが、
アメリカの<自動車大手3社=BIG3>の話題を少しだけ。
株価を決めるひとつの目安が、企業の持つ実績やその企業の将来性です。
その中で、アメリカの魂とも言える自動車産業が苦境に立たされています。
それも大手自動車3社すべてが経営危機に陥っている状況は、国家としての異常事態と言えるでしょう。
その原因は、『未来予測の甘さ。』と、『経営陣の怠慢。』に尽きます。
未来予測の甘さは、環境変化と資源の高騰による購買意欲の変化を見抜けなかったこと。
経営陣の怠慢は、事業開発に使われるべき資金がマネーとして流れたこと。
リストラ努力や賃金の抑制など日本企業が血を流し、断腸の思いで実行した事業計画を横目にバブル経済特有の<大型高級車、高給、役員への高配当、資金の流用等>の事業の健全化に逆行する経営手法を一直線に突き進んだことで国際競争力を失ったこと。
<失墜と凋落>の原因は、
この『未来予測の甘さ。』と、『経営陣の怠慢。』の2点に尽きるでしょう。
株式は本来、『企業実績』や、『企業の未来への投資』として考えるべきもので、株主になると言うことは、その企業の将来を買うことだと考えますし、株主は企業に対する責任を持つべき立場であったはずです。
株主総会において企業が株主に信認を求めるのは、株主と企業が一心同体であることを確認する場を提供しているのであって(そのため不信任を求める総会屋等を生み出す場所にもなりますが)、企業にとって求められる株主は、企業とともに歩む姿勢であったはずです。
そのために儲けが出れば配当を出し、儲けが出なければお詫びし、業務の拡張を求める時は、社債や増資の案内を出し懇願する。
そもそもの株式会社の創設の目的(個人経営から、有限・株式株式への移行)は、そうした長年の信頼関係を築くことからスタートします。
そうした企業の起業、発展、成長の歴史を考えると、
「今買った株を1時間後に売って別の株を買う。」
と言った行為が、どれほど無責任であるかが理解できるでしょう。
と言っても時代の流れと市場原理主義の観点から、ヘッジファンドやデイトレーダーを含む新しい形の株取引は違法なものではなく、多くの方々の投資意欲に火をつけ、未曾有の株式ブーム(アメリカでの1995年~2008年の流れ)を作り出した事実は注目すべき点です。
企業にとっても株式が上昇することで企業体質が強まり、大きなチャレンジにも目を向けるチャンスを得ますし、資産が膨らむことで金融機関からの借り入れも容易になります。
しかし、アメリカの失敗は、そうした資金を商品開発に求めず(バブル期の企業業績は概ね良好で、その中での新たな商品開発は踏襲が基本となるため)資金配当や資金運用に流れたことがこの度の不始末につながって行ったと見ます。
そうしたバブル経済の中で掻き集められた資金は新しい金融商品が生み出し、今日の金融破綻や経済危機への道筋を考えると、今後の日本でも投資意欲が高まることで「寝た子を起こす状態。」になる前に対策を立てる必要もあるかと考えます。
株主なき株価の変動。
<株主の購入責任としての保有期間の設定>も、国際協調の中で話し合うべき課題だと感じた2週間でした。
2週間の乱高下の結果、最終的には先週の記事で記入した8500円~9500円の間(8500㌦~9500㌦)に終値がくれば、調整局面として安心できる数字のように感じます。
10月最終日の終値は、東京が8576円台、アメリカが9325㌦台と想定範囲内に落ち着いたことで来週への展望に期待が持てます。
ただし、実体経済への影響や世界の経済状況の悪化は避けられないと考えられ、穏やかな下降線を辿ることは容易に予想できますし、現在の状態で株価が高騰することがあるとすれば金余り状態が齎すバブル再燃に繋がるので、金融当局は変わらぬ監視と管理が重要かと思います。
これで、
金融機関への対策(主要金融機関の債務は政府が保証する)と、
株価に対する当面のパニック状態(乱高下は続くでしょうが、恐慌に陥るような一直線の下落や、急激な株価下降に対する投資家の免疫機能の高まり)は、終息するように感じます。
来週は、アメリカの新しい大統領にオバマ氏が就任する見通しが強く(ほぼ決定的)、黒人初の大統領が、どのような経済政策を主張するのかに注目が集まります。
また、15日の金融サミットで、世界は何を話し合うのか?
オバマ氏の当選は、ご祝儀相場を生み出すのか?
あるいは保守党支持の金満投資家の株離れを引き起こすのか?
世界経済の動向は、次の段階へ入っていきます。
<ブログ内の関連記事>
*G20 金融サミット:首脳宣言 ~2008年11月15日。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/e452e666d6acce6b3b36978f428ce127
*株価急落:円高要因/2008年10月(第3~4週の動き)。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/ed693d12dcb69179eafddde8c720ee47
*パニック売り再び:歴史的暴落/2008年10月27日。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/b82cb6af681ad7e3ea3ea4364c48d37d
【 2008年10月28日 ~31日の株価の推移。】
日時 日本株 アメリカ株 円⇔ドル 円⇔ユーロ 原油価格
10月27日 7162円台 8187㌦台 93円台 113円台 62㌦台
10月28日 7621円台 9065㌦台 94円台 117円台 62㌦台
10月29日 8211円台 8990㌦台 97円台 126円台 67㌦台
10月30日 9029円台 9180㌦台 98円台 127円台
10月31日 8576円台 9325㌦台 98円台 125円台
<日経平均株価の動き>
*27日の東京株式市場は急激な円高を受け、4営業日連続で株価が急落。
日経平均株価は、2003年4月28日に記録したバブル崩壊後の最安値7607円88銭を5年6か月ぶりに下回った。
終値は、前週末比486円18銭安の7162円90銭。
7200円を下回るのは、1982年10月下旬以来の約26年ぶり。
*28日の東京株式市場は、5営業日ぶりに大幅上昇。
日経平均株価は、午前中に一時26年ぶりに7000円を割り込み6994円まで下落。
しかし午後には反発し、終値は、前日比459円02銭高の7621円92銭。
*29日の東京株式市場は、外国為替市場で一時、1ドル=99円台まで円安が進んだことなどから安心感が広がり2日続きの大幅上昇。
日経平均株価(225種)の終値は、前日比589円98銭高の8211円90銭。
上昇率は7・74%に達し、過去7番目の大きさだった。
*30日の日経平均株価が大幅に続伸。
前日比817円86銭高の、9029円76銭で取引を終えた。
上げ幅は、過去4番目の上昇率となった。
*31日の日経平均株価は大幅に反落。
終値は、前日比452円78銭安の、8576円98銭だった。
前日までの3日間で1866円(26%)上昇した反動から目先的な利益確定売りが増えた。
この日、日銀は午後、0・2%の利下げを決めたが、利下げ幅が当初の予想よりも低く抑えられたため株安になった。
<ダウ工業株30種平均株価の動き>
*28日のニューヨーク株式市場は、全面高の展開。
ダウ平均株価は、前日比889・35ドル高の9065・12ドル。
1日の上げ幅としては、10月13日(936・42ドル高)に次ぐ、史上2番目。
*29日のダウ平均の株価の終値は、前日比74.16ドル安の8990.96ドル。
この日午後に米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の0.5%引き下げを決定。
その後一時、前日終値に比べ300ドル近く値を上げる場面もあったが、取引終了間際に売り注文が膨らんだ。
<米国産標準油種(WTI)の動き>
*28日のニューヨーク原油価格の取引指標となるWTIの12月渡しが、前の日に比べ49セント安い1バレル=62ドル73セントで取引を終えた。
*29日のWTI原油の先物価格は、前日比4.77ドル高の1バレル=67ドル50セントで取引を終えた。
【その他のニュース】
*26日、国際通貨基金(IMF)は、世界的な金融危機の影響で通貨下落などに見舞われているウクライナに対し、緊急融資165億ドル(約1兆5500億円)を提供することでウクライナ政府と暫定合意した、と発表した。
一連の金融危機でのIMF融資を巡る暫定合意はアイスランドに次ぐもの。
海外の投資資金に頼ってきた新興国への打撃が深刻になっている。
*27日、国際通貨基金(IMF)は、世界的な金融危機の打撃を受けている欧州連合(EU)新興国のハンガリーに対する支援策で同国と大筋合意したと発表した。
EUとIMFは「ハンガリー政府への財政支援を惜しまない」としており、今後具体的な融資額などが明らかにされる見通し。
ハンガリーはユーロやスイス・フラン建てで海外から資金を借り入れる比率が高く、金融危機をきっかけに財政の安定性に対する懸念から通貨フォリントが急落。
22日にはハンガリー国立銀行(中央銀行)が通貨急落に歯止めをかけるため、政策金利を3%引き上げ年11・5%にすることを決めた。
(記事:朝日新聞/編集転載)
*27日、アイスランドの最大手銀行カウプシング銀行が発行した円建て外債(サムライ債)が債務不履行(デフォルト)条件に該当したことがわかった。
発行企業側が債務不履行を宣言すれば、米証券大手リーマン・ブラザーズに続き今年2件目で、海外企業の起債が相次いでいた日本のサムライ債市場に影響を与えそうだ。
同行は世界的な金融危機で経営が行き詰まり、今月9日にアイスランド政府の管理下に入った。 20日の利払い日に利息を支払えず、27日まで7日間の猶予を与えられていた。
危機は同国全体にも広がっており、国際通貨基金(IMF)から最大21億ドルの緊急融資を受けることで暫定合意している。
(記事:日本経済新聞/編集転載。)
*29日、米政府による自動車大手3社(ビッグ3)の救済は金融子会社を公的資金で支援するという異例の措置で今回の金融危機ですでに支援している金融機関以外の民間企業にも救済対象を拡大する形となる。
部品産業などを含めると数十万人の雇用問題に直結する巨大産業だけに、政府もこのまま放置できないと判断したと見られる。
(記事:毎日新聞/編集転載)
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