mimi-fuku通信

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【今日は1日TV三昧】:映画・黒部の太陽(=男達の時代)を観た。

2012-03-18 23:55:55 | 映画・芝居・落語

2012年3月18日(日曜日)。
雨の日曜日は1日のテーマもなくTV三昧。

午後1時半から映画:『黒部の太陽』(録画)

午後4時頃から『TGC2012ss』(録画)
午後6時から茶の間で映画:『踊る大捜査線3』(放送)
を途中まで観て、
午後9時から自室で『N響アワー』(放送)
*N響アワーは3月25日の放送が最終回。

午後10時から『洋楽主義:ローリング・ストーンズ』(録画)
を観た。

何と言っても私の最注目は、
幻の大作:『黒部の太陽』

黒部ダム(富山県)建設に至るトンネル工事の物語。
*別名黒四ダムで親しまれるダムには何度か行っている。

映画:『黒部の太陽』
について少し文字にすれば、

1963年に完成した黒部ダムと1968年に完成した映画本編。
三船プロと石原プロの共同制作は巨額な資金を要した。
この作品は過去にTVでは一度も放送されたことがなく、
ビデオ・DVDで販売された実績もない幻の映画として知られる。

この映画を知ったのは20代の頃に仕事先で知り合った、
戦後から発破土(技士)をされていた大正生まれの方が、
日本全国のダムを渡り歩いた体験談の中で出てきた映画。
*その方の博学(読書家)は今も思い出に残る。

戦後間もない頃は一度山に入ると下山する術がなく、
大量の本を持って山に入り暇をみては飯場で読んだそうだ。
その方からは戦争の実体験も多く聞かせていただいた。

「観たい、観たい。」
と思いながら30年近い月日が経ち、

完全版ではないもののようやく観ることができた。
と言っても2009年には、
フジテレビでは香取慎吾さん主演でリメイク。

あらすじについても大筋は知っていたので、
初めて見る映画の感じはしなかった。
*実際に作品を鑑賞して感じた大きな違いは、
辰巳柳太郎さんの直線的で灰汁の強い演技など、
現代の役者では表現しきれない多くの演技表現に脱帽。
時代の中でこそ成立する演技に思い知らされた。

*****

東日本大震災から約1年の月日が過ぎた、
2012年3月17日午後8時。
映画『黒部の太陽』は公開から44年の月日を経て、
初めて電波にのってお茶の間に届けられた。

この作品に“思う所・学ぶ所”はあまりに多く、

男の時代の映画として強く印象に残った。

1956年(昭和31年)~63年(同38年)の労働事情。
 *労働で死ぬことが当たり前の時代。
 *労働で死ぬことは仕方のない時代。
 *労働で死なない工夫を試みた時代。
 *労働で死ぬことは許されない時代。

時代を紐解けば、
 *死ぬことが当然の時代(戦火の時代)。
 は昭和16~昭和20年。
 *死ぬことは仕方ない時代(戦後の貧困期)。
 は昭和20~昭和30年頃。 
 *死なない工夫の時代(労働環境の整備)。
 は昭和30年頃~昭和45年頃。
 *死ぬことは許されない時代(高度成長~安定成長)。
 は昭和45年(1970年代)以後。
私の労働イメージはそんな感じだ。

黒四ダム建設の時代を生きた人々。
*その方々の多くは現在もご健勝だ。

映画を観ながら、
“男達の生きた時代”は危険と隣り合わせの時代だった。
現代のような情報(通信)も機械(先端技術)もない時代のトンネル工事。
当時はトンネルを掘ること(=多くが炭鉱労働)や海に出ること(=漁師)は、
命がけの覚悟と強靭な体力が必要で女性が立ち入る場ではなかった。
*余談だがトンネル工事の貫通石の破片は保存ケースに詰められ、
安産のお守りとして関係者に配られることも多く私も1つ所持している。

少なくとも、
昭和30年頃までの若い女性は子供を産むことを要求され、

代わりに危険な労働からは守られる存在(母体)であるものの、
家庭内での暴力(DV)も絶えない時代であったとも聞いている。
『黒部の太陽』はそんな時代(=らしさの要求)の映画だ。

*****

【映画を観ながら21世紀(現代)の日本と比較】

電力の供給のために水力(ダム発電)で火力を補う。

そのためのダム工事の準備(電力確保)が進められた。
*脳裏を過る原発(発電)の意義と目的の共通点とリスク差。
*ダムが持つ治水(洪水調整&必要水の確保)効果。

映画を観ながら、
雪融期、雨期、夏、安定期、厳冬期
の地下水の流入とトンネル工事の工期。
*新潟県で起きている融雪と地滑りの比較。

私の地元地域である小松製作所のブルの活躍を見て、
インフラ整備全盛の当時とインフラ目標を喪失した現代日本。
*新興国に見る大きな開発目標と成長(=豊かさの渇望)

時代劇と言えば武士の時代のように認識するが、
『黒部の太陽』の時代に見る日本の姿(=成長期)は、
21世紀を生きる若者には時代劇と映るのだろうか?

『黒部の太陽』の時代が、
良い時代なのか悪い時代なのかの判断はつかない。
ただ1960年代生まれの私に言えることは、
絶望の戦後から10年ほどしか経っていない昭和31年に、
電力を求めて未曽有の難工事に挑んだ男たちの逞しさ。

日本再建にかけた男達の物語。

1970年の万国博覧会の2年前。
昭和43年に完成したカラー映像。
日本の戦後史を知る上で、
重要な記録として残された貴重な記録。

*私はこの映画をそんな目で観た。

完全版の放送が望まれるものの、
近日中の完全版の映画公開と、
2013年にはソフト販売の噂。

*『黒部の太陽(ノーカット版)』上映時間:3時間15分。
 ~2012年3月23~24日:東京国際フォーラムホールC
 チケットは既に完売の模様も全国展開の予定あり。

幻の映像が“安売りされる理由”は何処にもない。

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