mimi-fuku通信

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NHK教育 『LIFE:井上陽水/ 40年を語る』(4夜連続放送)。

2009-08-23 21:30:00 | J-POP

 
 LIFE:井上陽水(4夜連続)
    ~40年を語る~

 *第1夜 2009年8月24日(月) 夜11:00~11:54 (放送終了)
   
~ 石炭、ビートルズ、氷の世界 ~
 *第2夜 2009年8月25日(火) 夜11:00~11:54 (放送終了)
   
~ 麻雀、亡き人々、最後のニュース ~
 *第3夜 2009年8月26日(水) 夜11:00~11:54 (放送終了)
   
~ 不思議な素顔 ~
 *最4夜 2009年8月27日(木) 夜11:00~11:54 (放送終了)
   
~ ディラン、創作、少年時代 ~

 【再放送予定】
 *第1夜+第2夜
 NHK総合:平成22年3月 5日(金)深夜25時00分~26時50分
 *第3夜+第4夜
 NHK総合:平成22年3月12日(金)深夜25時00分~26時50分 

 <mimifukuから、一言。>

 
今年でデビュー40周年を迎える井上陽水さんの特集番組。
 陽水さん自らが自身の過去を振り返りながら、
 貴重な秘蔵VTRを紹介するお宝番組。
 
 日本のJ-Popシーンに決定的な影響を与えた陽水さんは、
 1948年(昭和23年)8月30日生まれ。
 この放送が終了する頃には61歳の誕生日を迎える。
 
 私が陽水さんの存在を知ったのが、
 御他聞にもれずアルバム『氷の世界』
 1973年10月の作品。

 友人の兄貴や姉貴達が持っていたレコードを、
 カセット・テープに録音してもらい何度も聞いた。
 さらに『氷の世界』以前のアルバムを持っている友人を見つけ、
 『断絶』や『センチメンタル』の録音をしてもらった。

 特に印象に残っているのが『断絶』の中の「人生が二度あれば」
 ♪.父は今年2月で65(歳)…。
 で始まるこの名曲を発表した同じ年の6月に父:若水さんが急逝。
 陽水さんのライヴ・アルバム『もどり道』で語られる父の思い出。
 色々な事がリンクし少年時代の私の心に強く刻まれている。

 また同『断絶』の中の「傘がない」については語りつくされた感じもするが、

 ♪.都会では自殺する若者が増えている。
   今朝きた新聞の片隅に書いていた。
   だけども問題は今日の雨。
   行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ。

 ♪.テレビでは我国の将来の問題を、
   誰かが深刻な顔でしゃべってる。
    だけども問題は今日の雨。
    行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ。

 「(いつのも時代も)そうだよな~」って(笑)。
 過去に起きた戦争や世界の飢饉や未来への不安に思いを巡らすよりも、
 青少年時代の興味と関心は彼女の口から出る他愛のない言葉の意味。
 誰だってどんな年齢でも自分の身に降りかかる火の粉に気が向く
 少年時代に聴いた「傘がない」の意味は今でも心に引っかかる。
 ~社会(公共)の中での自分の曖昧な位置と自分を中心とした明確な社会(環境)。
 
 先日同じ教育テレビで予告なく再放送された、
 『若い広場:矢沢永吉からのメッセージ(1980年放送)』の中で、
 「(無名な頃の)俺が言っても誰も耳を傾けない。
 でも陽水くらいになればみんなが耳を傾ける。
 だからオレは陽水になりたい。」
 そんなニュアンスの言葉を吐いていた。

 ポストの意味。
 まぎれもなく1973~76年頃までの若者の目は陽水に向いていた。
 フォーク全盛期の旗手として吉田拓郎さんと井上陽水さんが鎮座した位置
 外交的なメッセージを歌に託す拓郎さんと内症的な心情を詩に込めた陽水さん。
 対照的な2人が1975年フォーライフで席を共にした。

 しかし順風満帆のはずの未来に突然影がおちた。
 番組でも自らが語られると思うが、
 1976年9月の大麻所持事件による逮捕。
 
 個人的な見解だが復帰後に発表された、
 1978年の作品「ミス・コンテスト」は、
 陽水さんのその後を決定付けた問題作。

 ♪.ファンファーレ、ファンファーレが鳴る。
   レディス&ジェントルマンが見るミスコンテスト。

 得体の知れない歌詞(フレーズ)をメロディにのせた陽水さんの新境地は、
 ニューミュージックの新しい幕明けを告げた。
 ~このメロディを聴いた時に好き嫌いを超えて天賦の才能を感じた。
 初期~全盛期に発表された明確な言葉で示された歌詞の表現が、
 メロディ&サウンドありきの姿勢に変化した原因としての自身の逮捕。
 ~謹慎中の心境の変化が如何なるものかを知りたい。
 ~さらに現在進行形で起きている薬物汚染の拡大と社会復帰の在り方。
 
(注)創作・表現の変化の理由については結婚と長男の誕生も挙げられる。

 歌詞が発するメッセージ性と単純化されるメロディの限界(逮捕前)。
 メロディの補助としての装飾性な意味合いを持つ歌詞の誕生(逮捕後)。

 その後の陽水さんの活躍は周知の通りで天才、鬼才、の名を、
 欲しいままにするミステリアスな陽水サウンド。
 さらにそれまでの内向的と思われていた性格が、
 一転してホットで饒舌な人柄へと変化していく。
 
~1989年のCM:お元気ですか?の甲高い声は衝撃的だった。

 陽水さんが生み出す音楽表現の変化は、
 その後のJ-Popが進む道に未来性を与えた。

 ニューミュージックの定義を語る上で欠かせないアーティストとしての
 男性の井上陽水さんと女性の松任谷由実(ユーミン)さんの位置。
 
~ユーミンも荒井由美さんのアコースティク・サウンドからの変化と開放。

 ただし個人的な愛聴盤としての初期名盤の数々。
 やはり個人的には今でも熱とメッセージが好き(笑)。

 矛盾した話になりましたが貴重な陽水さんの自己紹介番組。
 父が亡くなった年齢に近づく陽水さんの今後の活動と覚悟。
 J-Pop界の孤高のアーティスト:井上陽水の素顔。
 興味は尽きません。

 ぜひご覧ください。


 
<番組の感想:8月29日夜。>

 興味深い4日間でした。
 放送される前の記事の中で事件復帰後の変化について記述しました。
 しかし番組放送の中で事件については触れられませんでした。
 私の大きな疑問だった2年後の社会復帰時の変化。
 事件や結婚、
 子供の誕生等の環境変化がそれまでの深刻でナイーブだった、
 歌唱表現からの変化(脱却)と捉えていた私の見方が一転。
 阿佐田 哲也さんとの出会いが大きな要因だったようです。 
 『氷の世界』の空前の成功によって得た心地よさと、
 成し遂げた成功イメージと自分との対比を虚名と語る陽水さんは、
 『氷の世界』の成功で自身をコントロールすることが困難とさえ感じます。
 初期3部作の後の3部作はロック色の強いものでした。
 そうした超えられない『氷の世界』の壁の前に苦しむ陽水さんの心理が、
 事件へと導いたのだろうと感じました。
 
 阿佐田さんとの出会いで陽水さんが学んだことは虚と実の境目。
 ~阿佐田さんは真田宏之さんが主演した映画『麻雀放浪記』の作者。
   純文学の世界では色川 武大さんの名で活躍。
 阿佐田さんはナルコレプシー(突発性睡眠障害)で突然睡眠状態に陥ります。
 その阿佐田さんがお寿司を食べながら麻雀をさしている途中眠ってしまう。
 無理やりに起こすと(眠気眼で)お寿司を麻雀牌として打つ。
 何処までが本当で何処からが嘘なのか?
 虚実の境目が自身の歌詞に大きな影響を与えたと語っています。
 同時に第4夜(最終回)では、
 ボブ・ディランの歌詞が持つ曖昧にも大きな影響を受けたと語りました。
 ビートルズによって人生が変わったと言うことは有名ですが、
 ボブ・ディランに影響を受けたことは知りませんでした。
 それは70年代初期のフォーク・シンガー達にとって指標となった、
 メッセンジャーとしてのディランの存在ではなく、
 歌詞が持つ虚実(突然の場面変化)に刺激を受けたようです。

 「解り易いモノを求める人もいるしそれに応えるアーティストもいる。
 でもボクは解り易いでは物足りないマイノリティを相手にしているかも知れない。」

 私が感じていた、
 <メロディの補助としての装飾的な意味合いを持つ歌詞の誕生。>
 その実、
 <歌詞の冒険(前後の関連性の排除等)を実現させるためのメロディ構成。>
 番組を拝見しながらそんな気もしました。
 
 知らなかった事実として、
 アルバム『氷の世界』のジャケットで陽水さんが抱えているギターは、
 忌野 清志郎さんのギター。 

 清志郎さんとのジョイント・コンサートで「イェィ~!」と言えと促され、
 仕方なく恥ずかしそうに「イェィ!」と叫ぶ陽水さんが、
 奥田民夫さんとのジョイントで自らが率先して「イェィ!」「オィ!」とファンを煽る。
 人間:陽水の可愛さを知る名場面でした。

 孤高のシンガーソングライターのイメージが強い井上陽水さんの素顔。
 自らを分析し屈折と自己嫌悪をアピールしたデビュー当時の『もどり道』時代。
 陽水さんの2面性は自己演出ではなく自己表現。
 その2面性が不自然ではないのだと気付かせてくれた存在としての、
 阿佐田 哲也さんとボブ・ディラン。
 私の中の疑問が少しだけ解けたような気がします。

 その他多くのゲストが多数出演し飽きることのない4日間でした。
 日本のポップ・シーンを知る上で伝説の番組になったと断言できます。
 再放送はあるのでしょうか?
 見逃した方々の番組表チェックの日々が続きそうです。

 最後に番組の中でちょっとだけ顔を見せた陽水さんの愛娘:依布サラサさん。
 彼女のホームページへのリンクを最下部に表記しました。
 興味があれば覗いて見て下さい。


 
~以下NHKホームページより記事転載。

 
*LIFE 井上陽水~40年を語る~:番組HP。
 
http://www.nhk.or.jp/songs/life-inoue/index.html

 1969年。
 シンガーソングライター:
井上陽水がアンドレ・カンドレとしてデビューして、
 今年で40周年を迎える。
 井上陽水は、
 1970年代から10年単位でビッグ・ヒットを生み出し、
 常に時代を牽引するアーティストとして活躍している。
 これまで陽水は、
 曲への思いや音楽に対する向き合い方について多くを語らず、
 創作や実像についてはベールに包まれてきた。
 しかし今、
 自分の音楽への思いを何か形に残したいという思いから、
 作品や自身のことをまっすぐ語ろうと心境が変化してきている。

 井上陽水が今何を語りたがっているのか、
 初めてのロングインタビューでその実像に迫るとともに、
 これまで陽水とかかわってきたアーティストや文化人たちにとって、
 陽水とは一体どんな存在だったのか?
 
 同時代を生きてきた著名人たちにとって、
 陽水と生きた時代とはどんな時代だったのか?
 様々な角度から井上陽水を解剖し不世出のアーティスト、
 井上陽水が紡ぎだしてきた「歌の世界」の深淵に迫っていく。

 【出演】:井上陽水

 【ナレーション】:宮沢りえ

 【インタビュー出演(予定)】

 伊集院静、五木寛之、上野千鶴子、奥田民生、小田和正
 金子昌平、川瀬泰雄、操上和美、黒鉄ヒロシ、小林聡美、コブクロ、小室等
 沢木耕太郎、スガシカオ、多賀英典、中島みゆき、中村冬夫、野見山實
 一青窈、平原綾香、藤子不二雄A、星勝
 みうらじゅん、水谷豊、持田香織、安田裕美、安室克也、山下洋輔
 リリー・フランキー、ロバート・キャンベル 
 ほか(五十音順)
 
 【曲目(予定)】

 ♪人生が二度あれば/♪傘がない/♪白いカーネーション/♪夏まつり
 ♪紙飛行機/♪たいくつ/♪夢の中へ/♪いつのまにか少女は
 ♪氷の世界/♪心もよう/♪帰れない二人/♪Happy Birthday
 ♪ゼンマイじかけのカブト虫/♪青空/♪ひとりきり/♪なぜか上海
 ♪ジェラシー/♪MyHouse/♪リバーサイドホテル/♪とまどうペリカン
 ♪カナリヤ/♪ワカンナイ/♪いっそセレナーデ/♪飾りじゃないのよ涙は
 ♪夏の終わりのハーモニー/♪新しいラプソディー/♪最後のニュース
 ♪少年時代/♪Just Fit/♪ありがとう/♪積荷のない船
 ♪コーヒー・ルンバ/♪花の首飾り/ほか


 *夏の特集番組「LIFE 井上陽水 」スタッフ・ルームの声。
  http://www.nhk.or.jp/songs/staffroom/20090822.html

 「SONGS」班スタッフがお送りするこの夏の特集番組。
 この番組については、
 みなさんにも本当はなるべく早くお伝えしたかったのですが、
 どんな番組になるか・どんなタイトルになるか、
 私たちもギリギリまで悩んで考えたため、
 今となってのお知らせとなりました。
 放送は目の前に迫っていますが、
 まだまだ編集は続いています。。。

 井上陽水さんといえば、
 どこか謎めいてつかみ所の無いキャラクター、
 という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。

 そのひとつに陽水さん自身がこれまで自らの作品について、
 あまり正面切って語ってはこられなかったということがあると思います。
 しかし、
 今回の番組では何日もかけて地方にも出かけ、
 たっぷりインタビューを行いました。
 また友人やミュージシャン仲間や学者や昔のスタッフなど、
 陽水さんゆかりの方にもインタビューを敢行。
 30名もの方々から証言をいただきました。

 更にこれまで陽水さんのミュージック・ビデオ、ライブ映像、CM映像、
 民放も含めた数々のTV番組出演のアーカイブスなど、
 貴重な映像資料の数々も集めました。

 その結果まわったテープの数は、およそ200本。
 そんな膨大な量の映像の中から54分番組を4夜連続で、
 陽水さんの魅力をたっぷりお送りします。
 (デスク・渋谷)

 <関連記事>
  *依布サラサ:official site
  http://www.ifusarasa.com/profile/index.html

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