メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

3LD1…O/H 再開2

2017-08-20 07:40:53 | 整備
3LD1の続きです。


前回はエンジン屋から戻ってきたエンジンをスタンドに固定した所まででしたが…

本日からようやく組み付け開始。




まずはクランクシャフトから。
因みに曲がりは0.015mmで問題ありませんでした。



メタルは交換します。


キレイに掃除して…


メタルをセット。


まずはオイルクリアランスの測定から…
クランクシャフトを乗せてプラスチゲージをセット。


一旦規定トルクで締め付けます…



キャップを外しオイルクリアランスを測定…




全ジャーナルで0.051mm〜0.064mmに収まり…
基準値は0.029〜0.072mmなのでクリアランスは問題無し。

ゲージをキレイに除去してクランクシャフトの本締め…




クランクシャフトは精密研磨フィルムで軽くラッピング済みです…
ただ、3LD1のクランクシャフトはタフトライド処理してあるタイプも存在するらしいのでラッピングする場合は注意が必要です。
タフトライド処理されたクランクシャフトは先端に識別用の打刻があるみたいですね…



エンドプレーも0.065mmと基準値内なのでOK。



ピストンの組み付けも…
今回はオーバーサイズピストンに合わせてボアも拡大してあるのでボアとピストンのクリアランスも測定して基準値に収まるようベストな組み合わせを探していきます。

マイクロゲージとシリンダーゲージのセッティング…
誤差を確認しておきます。






その誤差を加味した上で実測値を測定。
細かい事言えばその時の気温や湿度によっても誤差は変わります…




エンジンにとっては温度や湿度が管理された部屋で組むのが理想ですが、レース用のエンジンじゃあるまいし現実的には難しいですよね…

ウチなんか工場の隅っこに追いやられてエンジン組んでますから…笑
ただ、与えられた環境の中でなるべくベストな状態で組めるようには努力します…笑

シリンダー毎にボアの内径を測定して記録…


エンジン屋さんの加工は文句ナシで、内径の差は0.002mm以内に収まってます。

ピストンの指定箇所も測定…
ピストントップから60mmの所で。




ピストンにも少なからず個体差があり…
また熱膨張を計算されて楕円になってたりするので測定する箇所は重要で指定された箇所以外で測定しちゃうと基準値と全然違う…なんて事も。
このエンジンのピストンクリアランスの基準値は0.015〜0.035mmとなっており、クリアランスが狭すぎると焼き付きの原因となり逆に広すぎるとスカッフィングが発生したり、またブローバイガスの発生量が増えたりと何1ついい事はありません。

で、測定した数値をもとに基準値に入るようにどのシリンダーにどのピストンを入れるか考えます…
今回は1番が0.020mm、2番が0.025mm…
3番が0.035mmという結果でした。

コンロッドとピストンを組み付けます。






更にピストンリングも合口の隙間を測定して選定…
こちらもクリアランスが基準外だと焼き付きやコンプレッション不足の原因となります…




当然ですがピストンリングもオーバーサイズです。



組み付け…




リテーナーも…



お次はカムシャフト…
まずはベアリングの交換から。
この3LD1のカムシャフトはメタルではなくボールベアリングを使用してます…

リヤ側は普通にプレスで抜けるんですが…


フロント側はカムギヤ用のノックピンがあり、ピンを抜かないとベアリングが抜けません。


おまけにこのノックピンの出しろの浅い事…

ニッパーで挟むもかかりが浅くナメちゃった…


まあカムシャフトをバラした段階で、こうなるかもしれない事は予想してたので、部品は注文済み…笑


とりあえずナメたノックピンにTIGで肉盛りして…


抜き取り…


ベアリングを抜いて…




軽く洗浄後に、新品のベアリングを圧入していきます。






ベアリングを入れたら新品のノックピンも圧入。


後はブロックにカムシャフトを挿入…




更にタイミングギヤ類の取り付けと…


ギヤカバーも…





フライホイールハウジングも取り付け。


フライホイールハウジングを付けたらエンジンを縦に再セット…(フライホイールハウジング付けたら横向き固定では回転出来ない…笑)




ここからインジェクションポンプの取り付けやガバナーのリンクロッドの接続…
噴射タイミング調整用のシムはとりあえず外した厚みと同じサイズの新品を付けます…


ポンプを取り付け…


リンクロッドの位置を合わせながらガバナーのトップカバーも取り付け…




ここからエンジンをひっくり返してオイルストレーナやパイプを付けて…



オイルパンを取り付け。


インジェクションポンプのハウジングカバーなども…


ここまででとりあえず腰下は完了。

次はシリンダーヘッドを乗せる為にバルブ関係を組み付けていきます。


バルブのラッピングから。

ラッピング前のシートと…


バルブ…



で、コレがラッピング後…





バルブも少ないので楽です…笑
24バルブとかだとラッピングだけで結構な時間がかかりますから…



バルブシールも付けて…




バルブも組み付けていきます。





ブロック側もヘッドを乗せる準備を…


タペットも忘れずに入れておき、ヘッドガスケットをセット。


で、ヘッドをドッキング。


ヘッドボルトも締め付けます…
83〜94Nmで締め付け後60〜90°の角度締め。

今回は新品のヘッドボルトなのでトルクも角度も最大値で。




シリンダーヘッドを組み付けた所で終了…


続きは来週から…



かな⁉︎









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