メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

スプリングピボット修理。

2017-08-17 23:00:55 | トレーラー
休み明け早々に走行中後ろの方から聞き慣れない金属音がする…という事で入庫したタンクトレーラー。


BPW2軸のリフトアクスル車両。


運転手さんは異音は比較的空荷の時が多い…という事で…


試運転をしてみると…

段差や路面の凹凸でサスペンションが上下する時に金属が擦れるような音が確かに発生してました。


車両をリフトアップして点検するんですが、もうリフトアップする時点で後軸のスプリングピボット部が目視で分かるほどガタがあるのを確認…

恐らく異音の原因はスプリングピボットのガタで間違いないだろう…という事でそのまま預かり作業をする事に。
この辺りの部品は在庫してます。

この車両は2バッグ式エアサスペンションでスプリングピボットを軸にトレーリングアームを介してリヤ側のベローズで衝撃を吸収する構造で、スプリングピボット部に使用しているブッシュはゴムブッシュなので経年劣化でガタが発生します…


ブッシュ自体は外部からは見えないのでそのままでは非常に分かりづらいですが…
リフトアップする時にピボット部の動きを見ればガタがあるかどうかはすぐに判断できます。

で、このブッシュ自体はプレスじゃないと抜けないのでトレーリングアームごと取り外して作業する必要があります…
まずは右から…




写真だと小さく見えますが、このトレーリングアームめっちゃ重いです…笑
ウチでは天井クレーンで吊りながらプレス作業します。

ピボット部は見事にガタガタ。


ここのブッシュも結構放ったらかしにされてる事が多いです…
定期的な点検と交換は必須ですね…

プレスで打ち替えて…


右側は完了。

反対側を取り外すと…





コレは酷い…


ブッシュのゴム部は見事に無くなり金属同士が擦れてます…


更にブッシュ外側の金属部分まで摩耗してトレーリングアーム側のベースサークルにまで若干の摩耗が…



左が取り外したブッシュで右が新品のブッシュ…




もはや原形を留めておりません。
この状態を更に放置しておくとピボットボルト本体が摩耗→折損→走行不能という最悪の状況になります。



摩耗したブッシュを抜いて当たり面をキレイに磨き…
新品のブッシュをプレスで圧入。


圧入されたブッシュ。


ピボットボルトとスペーサプレートは無条件で新品に交換…
ピボットボルトの締め付けトルクは900Nmです。



左右共に交換完了…




タイヤも取り付けて作業完了…



試運転では無事に異音も無くなりました。



このピボット部のブッシュはゴムなので経年劣化や走行距離によって必ずガタが出てきます。

BPWのエアサス車はピボットボルトの定期的なトルク締めが指定されてますが、ボルトが適正トルクで締まっていてもブッシュの減りには全く関係ありませんので車検時などの車軸を浮かして行う整備の時には必ず確認しておいた方がいい項目ですね…



ただ、ここもメタルブッシュでグリスアップ出来る構造にしておくとゴムよりは長持ちすると思うんですけどねぇ…


コメント (4)