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日々の暮らしのなかで

愉快な仲間たち その2

2006年06月29日 | 日記・エッセイ・コラム
   最近ふと思うのだ。
   そう言えば私は子供の頃、何になりたかったんだろう。
   どんな人に、私はなりたかったんだろう。


2つ年下の彼は、独特な“リズム”を持った男だ。
笑いのツボも激しくみんなと違う。そして含み笑い。
色々な場面で彼は独特の雰囲気をかもし出す。

彼はみんなに「デンテツ」と呼ばれている。中には略して「デン」と呼び捨てに
するヤツもいるし、「デンちゃん」と可愛く呼ぶ事もある。

彼は驚いた時には

「あいやー!」

と叫ぶ。決して帰国子女でもない。中近東風の顔を持つ男だが日本人だ。
それが独特の発音で

「あいやー!」

と叫ぶ。一度や二度は面白いが、うけていると思って続けると

「もうええねん!」

とダメ出しされる始末。でもこれ、面白がって囃し立ててるの周りなんですけど^^;

消防団に入っていた時には、よくカブ札を使って遊んだものだ。
デンちゃんは、「役」がつかないと勝負をしない。だから、勝つ時は大勝が多い。

みんなでスキーに行った事があった。
夜にする事がないんでカブ札で遊ぼうって事になった。
が、しかし!ゲームを進める為のコインがない。捜し廻ったが何もない。
仕方なく僕達は「ポップコーン」をコインの代わりに使う事にした。

徐々に盛り上がるゲーム!何時間ぐらいしていただろうか?
段々飽きて来た時に、一番負けている奴が目の前の「ポップコーン」を食べ出した。

「おいおい!」

と注意する所だが、同じように食べてみると、何とも言えない「笑い」がこみ上げる。
みんな飽きてたんだろう。
笑顔で食べ続けていると、デンちゃんが一言、喝を入れた。


「ベシッ!」


その「発音」「間合い」そしてゼスチャーも交えた“喝”に大爆笑で腹を抱えた。
あの場にいれば、誰もが爆笑していたはずだ。

彼はデンテツと呼ばれている。何故か?簡単なことだ。
彼は電鉄会社に勤めている。

いっしょに遊んだ記憶は少ないが、家が近所だったので、小さい頃から知っている。
消防団の入団の日、何年ぶりかに彼に出会った。

「ひさしぶりやなぁ~、今、何してんの?」
「電鉄会社に勤務してます」
「おーーーーー!」


冒頭の言葉は、テレビドラマ「彼女たちの時代」の最初の台詞である。


思えばデンテツは小学校の頃から「電車」が好きだった。
たしかに、スポーツ選手やアイドル歌手に憧れたって、それを実現する人は少ない。
電車の運転手になることは、それに比べれば、努力しだいで何とかなるかも知れない。

ただ、小さい頃から憧れ続けた仕事を彼はしている。

リズム感が悪くても、「間」の悪い会話をしても、彼がみんなに好かれるのは
そんな男だからだと思う。






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