時代

風呂上り、冷えた発泡酒をタンブラーに注ぐ
グツグツと煮込んだホワイトシチューから湯気がたつ
丸く切られた人参を頬張って、ハフハフ
同時に発泡酒を流し込んでは、喉越しを楽しんだ
　
シチューを２杯食べた
暖かいシチューの余韻に浸りながら
夕食を終える
ただ、もう少し飲みたかったから
買ったばかりの日本酒と、
友人に貰ったグイ飲み片手に居間へと移動
一升瓶から注ぐ酒の音は優雅で
ビールにはない趣がある
肴は同時に買って来たダシジャコ
一匹づつ丁寧に口に運んでは酒をぐいっ
　
静かに飲んでも仕方がないと
テレビをつける
ダシジャコを口に運んでは
酒をぐびり
空いたグイ飲みを逆さにするほど
上を向き、最後の一滴まで飲み干す
もう残ってないことを確認して、一升瓶に手を伸ばす
　
一人でぐびぐびしている割には
一向に酔うこともなく、むしろ、夢心地のなか
久々に美味しい酒を飲んだと思っていた
　
何杯飲んだろう？
さすがに酔ってきた
横になった
ニュース番組はスポーツコーナー
　
清原が泣いていた
　
客寄せパンダだとか、引き際を間違えたとか、
ここ最近の清原は、およそスターとは言い難い
状況にあった
僕も少なからず、そう感じていた。
　
『甲子園は清原のためにあるのかぁ！』
　
当時最強を誇っていた池田“やまびこ打線”のお株を
奪うように、清原は打ちまくった。
その凄さに、実況アナは思わず叫んだ
　
ドラフトの涙
日本シリーズでの涙
そして昨日の涙
　
飲みすぎたのか
酔っていたんだろうか
溢れる涙を押さえられない
あぁ、引退ってこんな感じなんだと冷静に
なろうと思ってみても
涙が・・・
　
20008年10月1日　清原引退
　
桑田の時にも感じたが、これで一つの時代が
確実に終わった