どこまでだって歩いていけるさ

2012年1月22日 それまでの日記を引き連れてOCN Cafeから移住。
新しい扉の向こうには何があるのだろうか。

夏の旅 §3.今鳴いたカラスがもう笑う―阪急御影―

2012年08月17日 | 日記
すっかり気分も乗って本調子になった私が次に向かったのは「阪急御影」

高級住宅地である

実は ここは候補に入れながらも最後まで迷った場所だった

何故なら 見たい けれども 見ることができない そんなものばかりだったからだ

そんなところに行くのはばかげているとは思ったのだが 前述の「滴翠美術館」も見逃していることだし いつかもう一度来ると決めていたから 下調べをしておくのも良いかと思った


まずは「銜艸居(かんそうきょ)」

今では「武田資料館」として利用されているが 一般公開はしていない

武田薬品工業の6代目社長の邸宅

ここもすでに坂道なのだが そこを汗を拭き拭き歩いていた時だ

横道に大きなカラスが一羽いた

目があった からかどうかはわからないが そいつが飛び立ってすぐのこと

背負ったザックに衝撃を受けた

一瞬 やつが私を狙って攻撃をしかけてきたのかと思った

そのまま平然として歩き続けたが(なめられてたまるかとばかりに) やはり気になる

道の端に寄ってザックを下ろしてみた

なんか・・・ついてるぅぅぅ・・・・

いえいえ ついてないのだ それとも運がついた? 運の尽き? どっちだぁ~~~


今回の旅は出だしからしてまずかった

それで これかい!

どうせ何も見られないのに こんな場所に降り立つんじゃなかったぁ~と 悔しいやら悲しいやら

ティシューを取り出してふき取る

それを道路に置いてはまた新しいものでふき取る

ティシューの山をあいつに投げつけてやりたいが そうもいかない

ビニール袋に入れて持ち歩くはめになった


ただしカラスのフンは白いはずだけれど それは違った

黒っぽいというか ちょうど未消化の木の実のような感じだったので

もしかすると 口の中のものを吐き出したのかもしれない

頭の上でなかったのが本当に幸いなことだった


しょぼくれて歩いていた私の目に飛び込んできたのが 立派な石積みで囲われた大邸宅

これに違いない!

その石の上には上等な蒲鉾の板程度の表札があり 実に美しい文字で「銜艸居」とあった

その簡素さが なんとも小憎らしい

今鳴いたカラスがもう笑う ではないが 先ほどの出来事なんかすっかり頭から飛んでいる

家はほとんど見えない

背の低い私には尚更だ

それでも裏手に回って わずかに屋根だけは写真に収めた

ちなみにこれは松室重光の設計

私のお気に入りの京都聖ハリストス教会と同じ

彼は大阪の武田薬品の本社も手掛けている


この近くには まだまだある

相続税として国に物納された後 解体かと思われた旧乾邸

渡辺節の作品

大阪にある綿業会館(重要文化財)も彼の作品である

最近 神戸市が入札し 今は修復中とのこと

お目見えの日も近い

行ってみたら 屋根全体にシートがかけられていた


こうして生き残った建物は幸せである

旧小寺敬一邸は いかにもといったスパニッシュ・スタイルのヴォーリズ作品だったが 昨年であったか 解体された

駅の南側には朝日新聞創業者だった村山龍平邸(現在は香雪美術館)がある

これも冬季・夏季は閉館中とあって見ることはできない


時はすでに1時を過ぎている

食事をしたのは今朝の4時半だ

駅前の喫茶店でカレーを注文する

待っている間に紙のおしぼりでザックを再びふいた

私 今日はこの先 どうなるんだろう




ここにたどり着く手前でカラスに出会った
この辺りはカラスが多いので 一番安いビニールのカッパを着たら良いかと帰宅してから考えた




素晴らしい門構えに似合った表札




裏手から撮った屋根の部分

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