「REUTERS」の「米国の問題は財政運営、追加緩和は必要ない=ダラス地区連銀総裁」( 2011年 08月 18日 04:39 JST )
米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、連邦準備理事会(FRB)は追加金融緩和を行う必要はない、2013年半ばまで政策金利を据え置くのは賢明ではないとの考えを示した、と報じられています。
「日本経済新聞」の「ダラス連銀総裁「米経済停滞、金融政策のせいではない」」( 2011/8/18 5:48 )
米ダラス連邦準備銀行のフィッシャー総裁は、米経済は「市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」であると述べた、と報じられています。
フィッシャー総裁は、米国は
財政状況を改善することが重要で、
金融政策(金融緩和)も財政政策(公共投資)も重要ではない、
とお考えのようです。
日本では今、現状打開に有効なのは「金融政策」か「財政政策」か「財政再建」かで意見の相違がみられます。おそらく、フィッシャー総裁は「財政再建」派なのでしょう。それはともかく、
今日、上記報道を引用したのは、フィッシャー総裁が「(米経済は)市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」である、と発言しているからです。
この発言は衝撃的です。なぜなら、「貨幣数量説と貨幣数量方程式」で引用したマンキュー(経済学者)の記述と真っ向から対立するからです。マンキューによれば、
(過去の経済データをみるかぎり)
貨幣の流通速度は、時間を通して、比較的安定している
のであり、「市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」は経験上(=事実上)、あり得ないはずです。
したがって、上記、フィッシャー総裁の発言が「正しい」とすれば、経済学の教科書の記述(すなわち経済学上の定説)は「おかしい」ということになります。
おそらくFOMCの多数意見は、「金融緩和をすべきである。なぜなら貨幣の流通速度は時間を通して安定しているからである」というものなのでしょう。経済学の教科書の記述をもとに推測すれば、これがFOMCの見解(多数意見)の核心部分だと思われます。
経済学の教科書(またはFOMCの多数意見)が正しいのか、はたまたフィッシャー総裁(および日本銀行)が正しいのか、どちらが正しいかは、今後の(日米の)経済状況を観察すれば「あきらか」になると思われます。
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[ミッドランド(米テキサス州)17日 ロイター] 米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は17日、米経済が直面する問題は不適切な財政運営であるとの認識を示し、そうした事態に直面している時に連邦準備理事会(FRB)は追加金融緩和を行う必要はないとの考えを示した。
フィッシャー総裁は、少なくとも今後2年間低金利を維持すると約束した前週の連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じたFOMCメンバー3人のうちの1人。
同総裁はFOMC後初めてとなる講演で、2013年半ばまで政策金利据え置くのは賢明でないとの考えを示した。
また「米経済の足かせとなっているのは金融政策ではなく、不適切な財政運営だ」と指摘。「財政を司る当局」が米国の債務と赤字問題に対処しなかった場合、企業が米国から海外に拠点を移すとのリスクに直面することのなると警告した。
そのうえで、金融政策は政治家が行うべきことの代替策とはなり得ないとの考えを示した。
米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、連邦準備理事会(FRB)は追加金融緩和を行う必要はない、2013年半ばまで政策金利を据え置くのは賢明ではないとの考えを示した、と報じられています。
「日本経済新聞」の「ダラス連銀総裁「米経済停滞、金融政策のせいではない」」( 2011/8/18 5:48 )
【ワシントン=岩本昌子】米ダラス連邦準備銀行のフィッシャー総裁は17日、テキサス州で講演した。9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じた同総裁は「市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態の時に、現状の緩和政策を『しばらくの間』維持するとの表現以上に明言化したり、さらなる追加緩和をほのめかすようなことは賢明ではない」と述べた。
同総裁はインフレを強く警戒するタカ派として知られるが、「差し迫った物価上昇圧力は懸念していない」と強調。米連邦準備理事会(FRB)が潤沢に提供している流動性が市場で停滞し米経済が活性化しないのは「金融政策のせいではなく、企業や消費者が経済の先行きに明らかな不安を抱いているため」と指摘した。
具体的には、連邦債務上限の引き上げに伴う議会内の政争や、財政赤字縮小のために今後どのような引き締め策があるか不透明であることが企業や消費者の懸念を強めていると例示。「金融政策では不安感を払拭できない。政府や議会は早急に財政再建政策を示して民間部門の経済拡大に向けた活動を促進すべきだ」と述べた。
米ダラス連邦準備銀行のフィッシャー総裁は、米経済は「市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」であると述べた、と報じられています。
フィッシャー総裁は、米国は
財政状況を改善することが重要で、
金融政策(金融緩和)も財政政策(公共投資)も重要ではない、
とお考えのようです。
日本では今、現状打開に有効なのは「金融政策」か「財政政策」か「財政再建」かで意見の相違がみられます。おそらく、フィッシャー総裁は「財政再建」派なのでしょう。それはともかく、
今日、上記報道を引用したのは、フィッシャー総裁が「(米経済は)市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」である、と発言しているからです。
この発言は衝撃的です。なぜなら、「貨幣数量説と貨幣数量方程式」で引用したマンキュー(経済学者)の記述と真っ向から対立するからです。マンキューによれば、
(過去の経済データをみるかぎり)
貨幣の流通速度は、時間を通して、比較的安定している
のであり、「市場に流動性が既に潤沢にあるが活発に動かずに停滞しているような状態」は経験上(=事実上)、あり得ないはずです。
したがって、上記、フィッシャー総裁の発言が「正しい」とすれば、経済学の教科書の記述(すなわち経済学上の定説)は「おかしい」ということになります。
おそらくFOMCの多数意見は、「金融緩和をすべきである。なぜなら貨幣の流通速度は時間を通して安定しているからである」というものなのでしょう。経済学の教科書の記述をもとに推測すれば、これがFOMCの見解(多数意見)の核心部分だと思われます。
経済学の教科書(またはFOMCの多数意見)が正しいのか、はたまたフィッシャー総裁(および日本銀行)が正しいのか、どちらが正しいかは、今後の(日米の)経済状況を観察すれば「あきらか」になると思われます。
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