言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

貨幣数量説と貨幣数量方程式

2011-08-16 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.362 )

 貨幣数量説を新たな視点から眺めてみよう。つぎのような問題を考える。紙幣は、新しく生産された財・サービスを買うために1年間に平均何回ぐらい使われるのだろう。この問題に対する答えは、貨幣の流通速度という変数によって与えられる。物理学では、「速度」(velocity)という用語は、物質が移動するスピードを意味する。経済学では、貨幣の流通速度という用語は、紙幣が経済のなかで財布から財布へと渡っていく平均的なスピードを意味する。
 貨幣の流通速度を計算するには、名目の産出額(名目GDP)を貨幣量で割ればよい。Pを物価水準(GDPデフレーター)、Yを産出量(実質GDP)、Mを貨幣量とすると、流通速度(V)は

   V = P × Y / M

で表される。

(中略)

この方程式は、少し代数的に変形して、つぎのように書き直すことができる。

   M × V = P × Y

この方程式は、貨幣量(M)と流通速度(V)の積が、財の価格(P)と生産量(Y)の積に等しいことを意味している。この方程式は貨幣数量方程式と呼ばれている。その理由は、この式が貨幣量(M)と名目の生産額(P×Y)の関係を表しているからである。貨幣数量方程式は、経済における貨幣量の増大が他の三つの変数のどれかに反映されなければならないことを意味している。すなわち、貨幣量が増加すると、物価水準が上昇するか、生産量が増加するか、あるいは貨幣流通速度が低下しなければならない。
 多くの場合、貨幣の流通速度は比較的安定している。図11A-3は、1960年以降のアメリカ経済における、名目GDPと(M2で割った)貨幣量と貨幣の流通速度を示している(日本の貨幣量などは図11A-3’)。貨幣の流通速度は完全に一定ではないが、大きくは変化していない。対照的に、貨幣供給と名目GDPはこの間に10倍以上に増加した。したがって、分析目的によっては、貨幣の流通速度を一定と仮定することも悪くない近似なのである。
 これで、均衡物価水準とインフレ率の説明に必要な道具立てがすべて揃った。まとめると以下のようになる。
  1. 貨幣の流通速度は、時間を通して、比較的安定している。
  2. 貨幣の流通速度が安定しているので、中央銀行が貨幣量(M)を変化させると、生産の名目金額(P×Y)はそれに比例して変化する。
  3. 経済全体における財・サービスの生産量(Y)は、(労働、物的資本・人的資本および天然資源などの)生産要素の供給と利用可能な生産技術によってほぼ決定される。貨幣は中立なので、生産に影響を与えない。
  4. 生産(Y)が生産要素の供給と技術によって決定されるため、中央銀行が貨幣供給(M)を変化させることによって、生産額(P×Y)を同じ割合だけ変化させると、その変化は物価水準(P)に反映される。
  5. したがって、中央銀行が急激に貨幣供給を増やすと、その結果高率のインフレーションが発生する。
以上の五つのポイントが、貨幣数量説のエッセンスである。


 貨幣数量方程式を用いて、貨幣数量説が説明されています。



 この説明はわかります。



 ただ、ひとつひっかかるのは、上記引用の最後の部分、「中央銀行が急激に貨幣供給を増やすと、その結果高率のインフレーションが発生する」です。

 これについては、「中央銀行による貨幣注入の影響」で述べたように、「あくまでも一般論」だと考えるならば、つまり、デフレという特殊な場合には「かならずしも成り立たない」と考えるならば、どのように説明されるのかが、問題になります。

 感覚的に考えれば、デフレのときには「貨幣供給量が増えると貨幣の流通速度(V)が低下する」ということになるのですが、上記引用部で著者が述べているように、「多くの場合、貨幣の流通速度は比較的安定している」とすれば、この説明は(おそらく)成り立ちません。

 とすれば、(前提として)「財の価格(P)が上昇する」である可能性を否定する以上、残る可能性はただひとつ、「生産量(Y)が増加する」のみです。しかし、デフレのときに中央銀行が貨幣供給量を増やすと、生産量が増加するというのは、正しくないように思われます。



 とすると。。。

 デフレのときも貨幣供給量を増やせば物価水準が上昇する、と考えなければ筋が通りません。しかし、このように考えることは、実感と合致しません(上記「中央銀行による貨幣注入の影響」参照)。



 どうしてこのように「話がおかしく」なってしまったのでしょうか?

 考えてもわからないので、「さらに理解がすすめば、そのうちわかる」ことを期待して、とりあえずさきに進みます。



■関連記事
 「経済学の十大原理
 「政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する
 「貨幣の中立性
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 貨幣の中立性 | トップ | アクセス解析データによると »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。