カレル・ヴァン・ウォルフレン 『世界が日本を認める日』 (p.218)
北朝鮮は、アメリカから攻撃されない、という保障を得ようとしている。その目的を達するため、そしてカネや品物を手に入れるために、他国 ( 日本など ) を威嚇している。したがって、挑発されないかぎり、北朝鮮の側から攻撃を開始することはありえない、と書かれています。
説得力があります。
この分析が正しければ、よほどのことがなければ、日本は北朝鮮から攻撃されないはずです。
北朝鮮の立場で考えれば、目的を達するためには、資本主義化して自由貿易を開始すればよいのではないか、と思います。
民主主義化するには、体制の転換を必要とするでしょうから、それは難しいかもしれませんが、資本主義化するには、中国の例が示すように、体制の転換を必要としません。北朝鮮の労働力は ( 中国などアジアの中でも ) 安いので、中国同様に、北朝鮮も経済発展するのではないかと思います。
いまや、ソ連 ( ロシア ) も中国も資本主義化してきているのですから、北朝鮮が資本主義化することに、なんの問題もないでしょう。
もっとも、資本主義化すれば民主化せざるを得なくなり、体制の維持が不可能になる可能性はありますから、中国の状況がどうなるのかを ( 北朝鮮が ) 観察したうえで、北朝鮮は資本主義化するのかもしれません。
追い詰められて存亡の危機に立たされたら、北朝鮮の体制は何をしでかすかわからない、どんな恐ろしい破壊行為に出るかわからないと日本人が恐れるのは無理もない。しかし、それを認めたうえで、ただちにこう付け加える必要があるだろう。世界のメディアでよく描き出されているように、北朝鮮の体制が無分別で自滅行為に走りやすいと考える根拠はない、と。
北朝鮮の体制も、すべての体制と同じく生き延びたいと思っている。したがって、挑発されないかぎり、日本なり他の国なりを攻撃するのではないかと恐れる理由はないのである。そのような攻撃は、自らの消滅への引き金を引くことになるからだ。
北朝鮮が威嚇の動きをしたり、核兵器開発計画があることを公然と認めたりするのは、彼の国が強請りを商売にしているからだ。必要だが得られないカネや品物がほしいのであり、それらを手に入れる従来の方法は機能しなくなっているからだ。
ソ連がまだ存在していた間は、モスクワと北京の間に、ピョンヤンの忠誠を得ようとする一種の競争があったため、中国とロシアからさまざまな援助が与えられていた。それはアメリカからの攻撃の可能性を阻む一種の保障にもなっていた。
金正日と彼のまわりの将軍たちが脅迫によって得ようとしているものは、アメリカが彼らを攻撃しないという保障、なんらかの不可侵条約なのだ。
この体制がそのような保障を得ることになぜこれほど固執しているのかを理解するためには、北朝鮮が、核爆弾による攻撃の脅威に絶えずさらされてきた、世界でただ一つの国であることを思い出す必要がある。
朝鮮戦争のあと、米軍は、ピョンヤンを空襲すると見せかけて北朝鮮の体制を恐れさせたし、それ以後ずっと、韓国の広大な米軍基地にピョンヤンに向けた核搭載ミサイルを配備してきた。
北朝鮮の体制はたしかに非道なものであり、おそらく「悪」という言葉に値するものだろう。しかし、われわれは同時に、その体制がもっとも欲しがっているのは、アメリカが北朝鮮を武力攻撃したり、他の方法でその体制の転覆を試みたりしないという保障であることを認める必要がある。
イラクの「体制転換」の後、北朝鮮の支配者たちにとって、アメリカ政府――イラン・イラクとともに北朝鮮を「悪の枢軸」の一角とした大統領が率いる政府――からのそうした約束に固執する理由が、それだけ大きくなっているのである。
北朝鮮は、アメリカから攻撃されない、という保障を得ようとしている。その目的を達するため、そしてカネや品物を手に入れるために、他国 ( 日本など ) を威嚇している。したがって、挑発されないかぎり、北朝鮮の側から攻撃を開始することはありえない、と書かれています。
説得力があります。
この分析が正しければ、よほどのことがなければ、日本は北朝鮮から攻撃されないはずです。
北朝鮮の立場で考えれば、目的を達するためには、資本主義化して自由貿易を開始すればよいのではないか、と思います。
民主主義化するには、体制の転換を必要とするでしょうから、それは難しいかもしれませんが、資本主義化するには、中国の例が示すように、体制の転換を必要としません。北朝鮮の労働力は ( 中国などアジアの中でも ) 安いので、中国同様に、北朝鮮も経済発展するのではないかと思います。
いまや、ソ連 ( ロシア ) も中国も資本主義化してきているのですから、北朝鮮が資本主義化することに、なんの問題もないでしょう。
もっとも、資本主義化すれば民主化せざるを得なくなり、体制の維持が不可能になる可能性はありますから、中国の状況がどうなるのかを ( 北朝鮮が ) 観察したうえで、北朝鮮は資本主義化するのかもしれません。