バースディという名のボノボ(ピグミーチンパンジー)に言語習得実験を行う霊長類研究センター助手の田中真。研究プロジェクトの恩師・安達は1年前に自殺。そして、プロジェクトの同僚であり恋人の大学院生由紀は田中がプロポーズした夜に投身自殺。田中は由紀の自殺を目撃したはずのバースディから目撃証言をつかもうと必死に問いかける。
ほぼ全編、バースディの動作、言語学習などを表す文字で埋め尽くされていて、なかなか話が進展しない。登場人物も少なくミステリーと呼べるかどうかも微妙・・・荻原さんの小説に登場する生き生きとした人物像が好きなのだが、この小説は動物が主人公なのでその辺が物足りなかった。田中と由紀の関係性も詳しく描かれていなし、由紀が発見された朝の田中の行動、その翌日に出勤(前夜飲み過ぎたとはいえ)する田中の神経が私には理解できなかった。
と、言っても、そこは荻原作品。
ラスト4頁では泣いてしまいました。
まっすぐ帰宅して酒も飲まず読書した金曜日の夜でした(笑)。