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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

コンスタンティノープルの陥落ー塩野七生

2020年11月29日 | 読書

評価4

1453年5月29日、コンスタンティノープルはマホメッド2世率いるトルコ軍の猛攻によって陥落、1123年間に渡って栄華を誇ったビザンチン帝国が崩壊したのだった。12人の人物によってこの事実を語らせることによって物語に厚みをもたらしている。塩野節炸裂!

東西教会統一を目指すイシオドスと反対派ゲオルギオスの考え方の違いが面白い。登場人物が生き生きとしていてかなり読みやすい。ちなみに、表紙左手突端の高い塔が「ガラタの塔」、右手突端が「聖ソフィア大聖堂」中ほどが「皇宮」と「メソティキオン城壁」、手前の赤い天幕がマホメッド2世の天幕、と思われます。

登場人物を記しておきます。いや~また行きたい所が一つ増えちゃったなぁ~(笑)

・マホメッド2世
・コンスタンティヌス11世
・トレヴィザン(ヴェネツィア艦隊司令官)
・ニコロ(ヴェネツィア艦隊付の青年医師)
・テダルティ(フィレンツェ商人)
・ミハイロヴィッチ(トルコ側のセルビア軍人)
・イシオドス(東西教会の統一を推進する枢機卿)
・ゲオルギオス(教会合同に反対するギリシア正教の修道士)
・ロメリーノ(ジェノヴァ居留区の代官)
・フランゼス(コンスタンティヌスの臣下)
・トルサン(モハメッド2世の小姓)
・ウベルティーノ(ゲオルギオスの弟子の学生)

消滅 VANISHINGPOINT(上)ー恩田陸

2020年11月29日 | 読書

評価4

時は20XX年、場所は海外から帰国した人でごった返す日本の空港到着ロビー。外では超大型台風が接近中。そんな中、男性6人、女性3人、子ども1人、犬1匹が別室に連行された。取り調べ担当のヒューマノイドが口を開いた。「この中いるテロリストを探し出してもらいたい。」

「ドミノ」を彷彿とさせるスピード感に本が手から離れない(笑)!登場人物の多さに戸惑いながらもメモ片手に一気読み!しかし、恩田陸さんの作風は幅広い。どんな推理が展開され、誰がテロリストで、結末はどうなるのか?全く予想ができない。ドキドキしながら下巻へ突入!

ニッポン人としての誇りはいずこへ

2020年11月27日 | ノンジャンル
なんだかんだ言ったって政治家、閣僚、首相、都道府県知事だって、自分のことしか考えていないんでしょう!?
これでは、自分の生まれ育ったニッポンを誇りに思えるはずがないぢゃないかっ!だから五輪とかワールドカップになるとニッポン人は異常に燃えるのだろう。その五輪も開催なしでいいと思う。

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)再読ー塩野七生

2020年11月26日 | 読書

評価4

下巻は3度目の破門(1239年)から1250年のフリードリッヒの死を経て、孫のスペインアラゴン王妃コスタンツァによるシチリア島奪還まで。いやはや、皇帝とローマ法王の諍いが半世紀に渡って延々と続くさまは常軌を逸しているようにしか思えないが、これが中世のいうものなのだろう。お互い凄いエネルギーだ!

まあ~ フリードリッヒも公会議に向かう高位聖職者たちをとらえたり(1241年メロリア海戦)と信じられない行動はしたが、法王側もリヨン公会議(1245年)に名を借りた異端裁判を開催したり、フリードリッヒと息子のエンツォ殺害の陰謀をめぐらしたりとかなり陰険でしつこい。

結局は1291年、パレスチナの地にある海港都市アッコンの陥落による十字軍国家の崩壊で皇帝派vs法王派で明け暮れた13世紀後半も終わりを告げ、ヨーロッパはルネッサンス時代へと向かうのであった。

再読でかなり十字軍の後半時代と神聖ローマ帝国、ローマ法王庁に詳しくなったし、当時ヴェネツィアがけっこう重要な役割を果たしていたので「海の都の物語」を読んでいたことがとても役に立った。ほんとに、塩野七生さんの本は面白い!

犬のしっぽを撫でながらー小川洋子

2020年11月23日 | 読書

評価4

「博士の愛した数式」や数学にまつわる話、「書く」ということについて、アンネ・フランクへの旅について、犬や阪神や家族との思い出についてのエッセイ集。あいかわらずの虎ファンの様子に笑い、家族との思い出に自分のことを重ねて考えてみる。

自分の思い出探しに外へ出てみよう!

がん 生と死の謎に挑むー立花隆

2020年11月21日 | 読書

評価5

2009年にNHKで放送されたNHKスペシャル「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」と一体をなす形で作られた本。がんとは何か?がん治療の実態に迫り、自らの膀胱がん手術の過程も明らかにした立花隆渾身の一冊!

がんを構成する遺伝子には人間が生きるために必要な根源的な遺伝子が存在しているという。ようするに、生物が生まれてから今日に至るまでその命はがんとともにあるということだ。いやはや驚くしかないし、なんともはや・・・と諦めの気持ちになるしかない。立花氏の言によれば、人類の2人に1人はがんに侵され、3人に1人はがんによって死をむかえるということであり、歳をとればとるほどがんが発症する確率が高いということなので、私も覚悟せねばなるまい。

少し古い本のようなので、現状は当時と変わっているのだろうが、抗がん剤の話はかなりためになったし、「時々にしても死について考えておくことは必要だな~」と思った次第である。