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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

雁ー森鴎外

2021年03月30日 | 読書

評価5

再読(前回2017年5月4日)。
不忍の池のすぐ傍・無縁坂に住む高利貸の妾・お玉は、日々見かける医学生・岡田に恋心を抱く。「今日こそは声をかけよう」と決心したお玉は岡田を待つが、池で捕えた雁を抱え友人2人とやってくる岡田をただ見送るだけだった。運命のはかなさを伝える名作。

物語の展開を記すと次の通りとなる。
お玉の境遇。お玉の旦那になった末造の人となりと女房・お常との諍い。岡田を待つようになったお玉の心境の変化。紅雀を蛇が襲う出来事でのお玉と岡田の出会い。旦那の出張を見越して女中のお梅も里に帰し、いよいよ岡田との接近を心に決めたお玉。友人に誘われて一人での散歩を止めて不忍の池へ行き、偶然投げた小石が雁を直撃し思わず雁鍋を食すことになる岡田。友人と連れ立つ岡田に声をかけることができないお玉。翌日岡田はドイツへの留学に旅立つ。

巻末にある明治42年の不忍の池界隈の地図で当時の岡田や末造の散歩道をたどりながら読み進み、すっかり「雁」の世界に浸ることができた。紅雀と蛇の場面が実に生々しく滴る血の色が目に飛び込んで来るよう。これこそ名作!

お玉の父親が雇った女中に関する出来事で「くすっ」と笑える箇所があるので記しておきます。

『とうとう四日目の朝飯の給事をさせている時、汁椀の中へ拇指を突っ込んだのを見て、「もう給仕はしなくても好いから、あっっちへ行っていておくれ」といってしまった。』

【追伸】
巻頭の一文。
「古い話である。僕は偶然それが明治13年の出来事だということを記憶している。」おーっ!明治13年、わが母校が誕生した年ではないかっ!!!

山女日記ー湊かなえ 

2021年03月28日 | 読書

評価4

再読(前回2019年2月17日)。
イヤミスの女王が描く山ガールの物語。登場するのは、妙高山、火打山、槍ヶ岳、利尻山、白馬岳、金時山、トンガリロ、カラフェス。実は湊さんの趣味は登山!悩みを抱える女性たちが山に登ることで生き返る物語。あなたも山に行きたくなりますよきっと(笑)!

それぞれの山毎に8つの短編で構成されているが、「妙高山」の律子と由美が「火打山」に顔を出したり、「利尻山」の希美の姉が「白馬岳」の語り手になったり、「火打山」の美津子と神崎さん、希美の友人で帽子デザイナーの立花柚月が「トンガリロ」に登場したりと、各人のその後がわかる組み立てがとても楽しい。

「妙高山」が良かった。「トンガリロlは話がいろんな場面に飛んで少し読みずらい。

最近、甲子園で名前を聞かない高校。

2021年03月27日 | 高校野球
北から(岩手は除く)
校名が変わっているかもしれません
わだくしの独断ですので文句は受け付けません(笑)

・苫小牧東・函館有斗
・弘前実業・東奥義塾・弘前
・気仙沼
・酒田東
・水戸商業・取手二・鉾田一
・小山
・前橋・桐生
・大宮工業・上尾
・岩倉・日大桜ケ丘
・横浜商業
・糸魚川商工
・新湊
・丸子実業


魔女の1ダースー米原万里

2021年03月25日 | 読書

評価5

再読(前回2018年4月17日)。
通訳の目で見た東西文化、国民性、常識と非常識の違いを著者独特の切り口に下ネタを加えて披露する抱腹絶倒!拍手喝采!間違いなしの知的エッセイ。何度読んでも面白い!

太平洋戦争後の日本分割論、オウム真理教事件に及び腰だった大手マスコミへの言及、米国によるイラク攻撃への辛辣な物言いなど、鋭い分析力に「うわぁ~凄いな」と唸ってしまう。

「オウム事件の追及をしたのが文春を代表とする週刊誌だった」
とのくだりは、現在の政権与党・官僚追及の状況と何ら変わっておらず暗澹たる気持ちに陥ってしまった。

だから、ワシはテレビも見ず、新聞も取っていないんだ!
と、声を大にして言える根拠を米原さんありがとー(笑)!