評価
40歳になるごく普通のサラリーマン杉田平介は36歳の妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美との三人家族。その家族に突然不幸が訪れる。直子と藻奈美を乗せたバスが崖から転落して直子が死亡、藻奈美も予断を許さない状況が続き、意識を取り戻すがその体に宿っていたのは母・直子の意識だった。この日から直子の心を持った藻奈美が25歳で結婚式を挙げるまでの家族の苦悩と葛藤を描いた物語。
藻奈美が高校1年の時、父・平介がボーイフレンドとの仲を引き裂くシーンがおぞましい。藻奈美の心(妻・直子)が自分から離れて行くように思えた平介が電話盗聴までして藻奈美の日常を監視し始める場面が恐ろしく、どこまでひどくなって行くのだろうと半分ドキドキして読み進んだのだが、あっさり物語は直子が登場するシーンが徐々に薄れ始め本来の藻奈美の心が戻って来ることとなり、一挙に結婚式のラストへ・・・う~む、この辺が私には物足りなかった。
実は心は直子のままなのだが、「父として生きよう」と決心した平介に寄り添うために直子が消滅したように見せかけた=【秘密】という設定のようなのだが、その鍵となっている結婚指輪の注文の仕方に納得がいかない。本当に平介に秘密がばれないようにしたいのなら、知り合いではないお店に指輪を注文すると私は思うのだが・・・この辺が正直腑に落ちない。
ま~そ~は言ってもラスト数ページ泣かせてもらいました。