いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。
今回を持ちまして、本年度のブログ更新は最終とさせていただきます
一年間、お付き合いを頂きまして有難うございました。
不動産に無関係の方からは、少し内容が分かりにくいという貴重なご意見も頂戴しておりますが
今のところ、流れがありますので、同業者様向けになってしまうかもしれませんが、このまま
続けていきたいと思います。
コメントでもご意見を又お待ちしておりますので、宜しくお願い申し上げます。
さて、クリエイトは、12月28日より1月4日までお休みを頂きます。
又、新年新たに再出発をしたいと思いますので、宜しくお願い申し上げます。
世襲 第二部 「 偽善 」
第二話
約束をすっぽかされた数日間、先方からは全く連絡が無かった。
又、私としても、現実問題としてあり得ないであろう隣地の主人からの申し出に対し
一応話を伺いに行きましょう・・というスタンスであった為、あえて連絡はしなかった。
もういいのかな?
そんな風に考え始めていた矢先、ふいに私の携帯がなった。
♪♪♪~♪♪~ 「 はい、クリエイト西本です。」
「 あ~この間はすみません、ちょっと同席する人の都合が今日まで確認取れなかったもので・・・」
電話の相手は約束をすっぽかした隣地の主人であった。
ちなみに、上記の発言内容の中に、約束を無断ですっぽかして、直後にフォローもしない事に対する
説明らしきものはない。
まさに、当人の都合のみである。
声のトーンもまるっきり悪びれてはおらず、当然という調子であった事はいうまでもない。
一瞬、そうとは気づいていないであろう、先方の失礼な態度に対するクレームを言ってやろうかとも
考えたが、これから面会する相手にわざわざ電話で喧嘩をふっかける必要もない。
そこはぐっとこらえて相手の話の続きを待った。
隣地の主人 「 それでですね。ちょっと擁壁問題に詳しい人が来てくれるんで、明日の○時に来てくれませんか?」
私「 いいですよ、では伺います。 」
余計な事は言わず、返答だけを返した。
翌日、次にすっぽかした場合は、二度と電話を取らない心づもりで、隣地の主人の事務所を訪ねた。
長年、隣の物件の管理を続けてきたA氏も念の為、同伴しての事である。
「 あ~こんにちは~ どうも御足労いただきまして^^ 」と怪しげな笑みを浮かべる隣地の主人は
なぜか機嫌が良さそうであったが、私とA氏は意に介さず、 「では問題の擁壁を見てみましょう」
と壁に近づいて行った。
この時の隣地の主人は、社長然とした立派なスーツを着こなし、悪意のかけらも見せない善良そうな
物腰である。
隣地側から、問題の壁を見上げた私は境界と思われるポイントを探し、端から端まで見て回る
つもりだったのだが、結論から言えばその必要はなかった。
なぜなら、壁の基礎がある地点は、明らかに 越境 していたからだ!
どう見ても、壁の隣地側のツラを「 ここが境界ですよ 」とは言えない。
私は冷や汗が流れるのを感じた・・・・
A氏は分かっているのか分かっていないのか、「 あ~超えてますね 」と口調は軽い。
その事が分かった時、ふいに後ろに人の気配を感じた。
振り向いた私の眼には、同業者もしくは建築関係者と感じられる男性の姿が入ってきた。
しかし、十年以上この業界にいる私ですらも、お会いした事は無く、見かけた事はない人である為
軽く頭を下げた程度の挨拶を交わし、隣地の主人に誘われるままに、とりあえず事務所の中に入ることにした。
場所が変わり、応接室のソファーに座った私とA氏に、隣地の主人は重厚そうな本棚から二冊のアルバムを
取り出し、私とA氏の前に置いた。
しかしその時、隣地の主人は、私には( 初めまして^^ )と出した名刺を、A氏には出さず、(どうも^^)とだけ
挨拶を交わした。
この事から、A氏と隣地の主人は過去に名刺交換をしている事が推測できた。
同じく、A氏も(あ~その節はどうも^^)と挨拶を返した事からも同じ事が推測できる。
確かにA氏は言っていた・・・・
「 まこっちゃん、僕半年前に隣地の主人と会って、お隣同士で何の協議事項もなく、問題もなく仲良くやってる
って聞いてるで 」 と。
その後、アルバムを見ながら当時の擁壁の工事風景の写真など数点を拝見し、よくも保存していたものだと
感心しながらも、越境の問題についてどこを落とし所にするか、私の頭は別チャンネルでフル回転していた。
ただ、実は、私も返す刀は用意してあった。
その日、隣地の主人と会うまでの期間に、私は問題の壁と類似の壁が立ち並ぶ、崖が多いこのエリアの
擁壁を全て調査して回ってあったのだ。
外からしか見ていなかったが、越境の可能性を捨て切れていなかった私は、ならば何故、隣地の敷地に
数十センチ入り込んだ所に壁があるのか?という問いに対する答えを探し続けていたのである。
高さの違う土地(しかも3mも)の境界に低い側と高い側のそれぞれ所有者がブロック塀を作る事はあり得ない。
この様な場合は、高い側が擁壁を所有していて、高い側の境界線に壁のツラが来る事がほとんどである。
この事はあくまでも一般的な話であるが、しかし重要なポイントが一つある。
それは、土地の高低差が宅地造成を始める時からあるという事だ。
この様な場合は、分譲業者や旧住宅供給公社などは高い側の敷地に壁を収めるように造成工事を行う。
しかし、この一点において、本件の場合は明らかに一般的なケースではないと考えられた。
なぜなら、隣地を囲んで隣接する他の全ての土地は、同じ高さだったのだ!
つまり、隣地だけが、どんと低い位置にまで、自らの意思で掘り下げたとしか考えられないのである。
続く・・・・・
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