社長日記

日々の出来事や、感じることなど、思いつくままに・・

世襲 第一部 「 崖 」 第九話

2013-11-25 11:00:05 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

暴風の為、物件撮影もままならず、先にブログを書いておこうと思います。

 

 

 

先週の意見交換会、やはり静的OR動的ホームページの話題が持ち上がりました。

静的と動的はユーザーからの使い勝手という点で大きな違いがあり、物件エリアが

幅広く、沿線の数が多いエリアでは圧倒的に動的ホームページの方が利用しやすい事は

間違いありません。

 

しかし、SEO対策上、提供する私どもから見ればひとつ大きな欠点があります。

それは、静的ホームページはホームページ自体の検索順位を上げる対策を取りやすい事に

対して、動的ページの方は、物件単体の検索順位の方が優先されてしまうという現状です。

勿論、そこからトップページへの誘導が図れる事は間違いないのですが、単体の物件情報を

ピンポイントでヒットするお客様の数の総数と、広く物件を探し求めて、気に入るホームページ

を探しに来るお客様の数とでは、後者の方が圧倒的に多いと予想されます。

ここで、競争過多気味のホームページ商戦において、よりパイの小さいマーケットにはまってしまう

可能性があるわけです。

これでは、集客数にこだわるスタンスの私にとってはインターネットを利用する本来の目的を

失ってしまうわけです。

しかし、これからのトレンドが動的ホームページで有る事は間違いなく、制作会社及びSEO対策会社

は必ず、乗り越えてくる事が予想されます。

この時を今は待ちたいと思う今日この頃です・・・

 

 

   世襲 第1部 「 崖 」 

   

       第九話

 

A氏の話とは全く違う展開となった、○○の物件の北側残地(数十坪)の処理について、私は色々悩んだ。

しかし、悩んだ所でこれを誰かに買ってもらわない事には残る200坪を超える商談もフイになる事は

間違いなかった。

 

正直なところ、A氏に対して「 話が違うじゃないですか 」的な電話を入れるという無駄な行為が頭を

よぎりもしたが、時間的な問題もあり、再度はぐらかされた先日の方にダメモトで面会を申し込むことにした。

意外にも、私の思う優れた経営者らしく、相手はすんなりと初対面の私との面会を受け入れてくれた。

 

とその時、A氏より私の電話がなった。

 

プルルルル

 

A氏「 まこっちゃん、どやった^^?もう契約できそうかな~^^ 」

 

こめかみでプチッと音がした・・・・

 

私 「 Aさん、相手は全くといった感触ですよ。Aさん自分の希望してる理想を

勝手に現実化してますよ。 」

 

Aさん「 え?何?買うってゆうてるやろ?その人 」

 

私 「 ゆうてませんよ!その言葉耳にしました!? 」

 

Aさん 「 ・・・・・・・、いや話した感じでは間違いないと思ったんやけどなぁ 」

 

私 「 駆け引きせずにいっぱしの経営者がその土地買うわ~なんてゆうわけないじゃないですか。

 しかも、Aさんの言う相場より高い単価ですよ?相手は一方的にAさんがまくしたてた話しに

あいづち打っただけだよ^^って言ってますよ。あぁ~もう!! 」

 

Aさん 「 なるほどなぁ、まぁ頼むわ、南側のでかい話もあかん様になってしまうからな・・・」

 

勝手なものである。

希望的観測とは良くいったもので、A氏においては、しばしば理想と現実が入り混じるこの手の

癖が見受けられた。

 

私 「 今日面会の約束を取り付けましたんで、これがこの話の天王山です」

 

私は、今日の面会が全てを決めることになるという趣旨の事をA氏に伝え、電話をきった。

 

 

数時間後・・・・・・・・

 

 

面会をとりつけたお客の事務所に私はいた。

この時の内心は今でも忘れない。

緊張はしないが、相手がどんな変化球を投げてくるかわからないままバッターボックスに立っている

気分である。

しかし、私の戦略は既に決まっていた。

 

 

自分の成功を実現するためには、相手の成功をサポートする事である

 

 

この土地を購入する事によっていかに目の前のお客にメリットがあるか?

逆に地続きとなるこの土地を、他人に買われた時のデメリットはどんなものなのか?

プラスマイナスの材料をピックアップし、私がこの仲介に関わることで、お客の既に所有している

土地に繋がるこの土地をどう利用するかでその不動産価値がどれだけ向上するか?という点を

あらかじめ訪問前に準備していた。

 

 

 

商談の内容は省略する。

 

 

 

 

結論、一時間ほどの面会で相手は「 よし、買います 」といった。

 

 

 

 

足掛け二年の住宅用地としては広大すぎるかつ、高額すぎるこの物件を処理する為の

全ての条件がそろった瞬間だった・・・・・・・・・

 

 

~ ~ ~

今回でこの物件が成約に至った経緯を終了しようと思います。

そして次回より、タイトルが何故 「 崖 」なのか分かる内容へと突入していきます。

この件を経験して、私は不動産屋を立ち上げて十年間、今までにないリスクを背負う危機に

直面し、また、不動産という高額な商取引が行われる際に描かれる人間模様、様々な人の

欲とうそ、善意等というものを学びました。

関わっている最中は、強い人間不信にもなり、初めてかもしれませんが休日に一人で他府県に

出かけたりもした記憶があります。

 

言葉では表せないストレスと向き合って、消化する手段に悩みもしましたが、やはりそんな私を

助けてくれたのは、先輩業者さんのアドバイスであり 「 人 」であった様に思います。

私は自分の「 つらい状況を笑い話に転換して他人に話す 」という強さをあまり持っていません。

それは、危機的状況にある事が恥と思ってしまう、チンケなプライドがそうさせるのだと思うのですが(笑)

 

しかし、この時程、先輩業者さんをはじめ、話を聞いてくれる友人など「 人 」がいかに大切

かを感じた事はなかった様に感じる昨今です。

 

 

 

 

                                           続く・・・・・・

 

 

 

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世襲 第一部 第八話

2013-11-15 10:23:49 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

 

今日は、連載の前に、いつもこのブログを見て頂いている同業者様に

感謝の意も踏まえ、面白い話を書きたいと思います。

本気でHPビジネスへの参入を検討されている方にはぜひ参考にして頂きたく

私も今後の参考のためにご意見を聞きたく思います。

 

この話はいつも懇意にさせて頂いている、茨木市のM社長と吹田のH社長に伺った話の中で

とても強い興味をもった話です。

 

現在、世にあふれるホームページの数々。

思ったよりも安価で仕入れたものの、効果があがらない・・・

今まで利用していたホームページの効用の限界を感じる・・・・・

今まで導入していなかったが、本格的に導入したい・・・・・

この様な悩みを抱えていらっしゃる同業者様も多いのでは?(私もですけど!)

 

私がホームページを導入した時代は、和歌山ではネット活用での成功事例は皆無でした。

「 ウェブに不動産情報を陳列して売る 」

これ自体が否定的にとらえられ、導入した当初はなぜか同業者様の一部からは敬遠されたり

否定的なご意見を頂戴する事がとても多かった記憶があります。

監査もすぐに入りましたし(笑)

しかし今、当時から約7年程の間にビジネスシーンは激変し、HPを導入していない業者様

の方がむしろレアと言える世の中になりました。

 

そして、それは確実に「 進化 」を求められる様になり、今は既に遅きに失していると言えます。

単にホームページを導入するという時期はとうに過ぎた訳です。

そんな情勢の中で、ホームページを更に活用して行く為に理解して検討しなくてはいけない

事案がひとつあります。

 

それは「 静的ホームページを導入するのか?」 又は 「 動的ホームページを導入するのか?」

という事です。

意見交換会の皆様は百も承知の事ですので、この程度の事を記載して19日に梅田でお会いするのは

少々恥ずかしいですがw

 

では、この違い、みなさんわかりますかね?

 

簡潔に説明しますと、静的ホームページは外的要因によって情報ソースが変わらないという事です。

クリエイトのホームページがまさにそうです。

北部土地や、南部戸建などあらかじめ分類されたコーナーがあり、そこへユーザーが任意で選択して

入っていき、更にその中で陳列された情報の中から必要な情報を自分で探していくという仕組みです。

 

対して、動的ホームページとは、JRのホームページや楽天などの様に、ユーザーが

出発○○駅の○○部分を選択して、到着駅○○駅の○○を選択して→ 検索をおす事により、所要時間と

乗り換え経路等の必要な情報が自動的に集められ、画面に現れるというものです。

これは外的要因(ユーザーの任意選択)により膨大なデータの中から集約した情報だけをアウトプット

してくる仕組みなんですね。

 

このどちらの仕組みが、販売活動に対してより有効なのか?という観点を無視して、ライバルの多い

ホームページ業界に安易に参入する事は、ハッキリ言って経費の無駄と思います。

またSEOがどの様に作用してどの情報がどの様に検索され、販売につながるのかも慎重な検討が

必要と言えます。

 

私の中では既に回答が出ているのですが、それについては又次回書いていこうと思います。

 

 

     世襲 第1部 「 崖 」

 

      第八話

 

 A氏と進めてきた一つの案件はようやく八合目まで来た。

およそ、300坪近くはあろうかという一つの土地を、9割購入して頂けるお客様の方は既に話がついている。

売り主の希望では、分割はしたくない所を百歩譲って、同時に売却してしまえるのであれば分割に応じても良い。

との確答を得る事が出来た今、残りの一割に手を挙げたお客様との折衝は全て私が担当する事になったのである。

 

A氏との打ち合わせも終わり、私はあらかじめ聞いてあった一割の購入希望のお客様の連絡先へ電話をかけた。

 

 

プルルル

「 はい、○○○です。」

電話の相手はそのお客が経営している某会社であった。

 

私 「 私、クリエイトの西本と申します。代表の○○様はおてすきでしょうか? 」

 

相手 「 はぁ?クリエイト?なんの御用ですか? 」

 

いつものことながら、クリエイトですと名乗ってえらいさにすっと電話を繋いでもらえる事はない。

なんで不動産という文言を入れなかったのだろうと今でも悔やまれる・・・

 

私「 セールスではありません。○○の土地の件で・・とお伝え頂ければと思います。 」

私はいつも単刀直入に売り込みではない事を伝える。

毎回の事なので結構わずらわしい事ではあるが。

しばしのメロディを聞かされた後、どうやら電話はつないでもらえた。

 

お客「 あ、○○です。○○の土地の件だそうで、どういったお話ですか? 」

 

私「 クリエイトの西本と申します。既に耳にされているとは思いますが・・・・・・○△■ 」

 

お客「 あ~その話ね、いやぁ私興味があるとは言いましたけど、買うとは言ってませんよ。

   値段も一方的に伝えられただけだし、何ともお答えできませんよ笑 」

 

私「 え?!そうなんですか?購入前提でのお話と聞いていたのですが・・・・・ 」

 

とても意外な事だった。

A氏は既に相手の腹は決まっているはずだと私に話し、その後の詰めだけ宜しくという感じだったのだ。

そうですか、と電話を切りはしたものの、A氏の予測の甘さと話のずさんさにいらだちを覚えた。

 

 

うそやろ?・・・・全然やんこれ・・・・どうすんの?・・・・

 

 

電話を切ってマイルドセブンに火を付けた私は、しばし自分を落ち着かせる時間が必要だった。

不動産を購入する意思が決まっていない人に、色々説得して買ってもらうという事は簡単な事ではない。

価格の交渉ならまだしも、買う事自体を迷っている人は、売ろうとしている人の話に乗る事自体に対して

否定的だからだ。

 

このままこの話のカタがつかなければ、当然9割の購入客の話もフイになる。

売主は同時でないとNGだとハッキリ言ってきているのだから。

 

くそ、Aさん何やねん。

全く商談進んでへんやん・・・・・・これ一からやん。

また、勝手にええ風に相手の話解釈したんやな・・・・

 

先行きの暗さと今後の展開の難しさに10分程頭を悩ました私は、とりあえずソファにマットを敷き、昼寝した。

マットを敷かずにソファに寝ると腰が痛い。

繊細な私はそこだけはマニュアル通りに行動し、いったんスリープモードに入ることにしたのだった。

 

 

その時の夢の中ではなぜか麻雀をやっていて、ひげの濃い男がチョンボをしていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

                      続く・・・・

 

 

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世襲 第一部 第七話

2013-11-11 19:14:12 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

 

先般の和歌山の不動産業者様との情報交換会にて、私のブログを見て頂けているという

お話をお伺いでき、大変うれしく思いました。

同業者さんだから分かる事、業者さんではないから?と思った点など、ご意見をお気軽に

頂けたら参考になりますので、ぜひ、宜しくお願い申し上げます。

 

 

世襲 第一部 「 崖 」

 

     第七話 

 

A氏は私に様々な難問を突きつけて来た。

私とA氏は何度となくぶつかり、互いに不快感を感じたり、又顔を寄せ合って長く相談したり

もした。

正直顔も見たくないとまで思った事も数回ではない。

 

しかし、私の頭の中の「 別チャンネル 」では、これこそが人間関係であり、信頼を互いに

得るために必要なプロセスである、という事ははっきりと把握していた。

多くの人は争いは好まない。

ぶつかり合う事も、極力避けて通り過ぎれば、ストレスもなく嫌いあう事もないが、その反面

深い信頼関係と絆で繋がる事はないと私は思う。

別の人格なのだから。

 

関わる以上、相手を全て受け入れ忍耐を通し続ける事ができるのであれば、その相手とぶつかり

あう必要はハッキリ言ってない。

しかし、私には出来ない事は分かっていたし、A氏もそれは出来ない方で有る事もわかっていた。

これまで、散々ぶつかりあってはきたが、この方との何かしらの「 ご縁 」を感じていた私は

相手を中傷したり、人格を否定するような事は当然しないが、主義主張の戦いは遠慮なく行ってきた。

これが原因でけんか別れになれば、いずれそうなることであるし、この案件を二人で成就する事は

ないだろうと考えていた。

その上で、乗り越えた時こそ、A氏もプロの業者である私の意見にも耳を傾ける事ができ、私も

A氏の意見の中に、業者だからこそ見過ごしてしまう簡素な理屈を見いだせる事になるだろうと

私は考えていた。

これは、十年前に、私がたった一人で不動産屋を立ち上げ、様々な先輩業者様や、お客様との折衝の中で

身を持って経験してきた「 事実 」だった。

 

 

 

うまい言い方、器用な立ち居振る舞いは、本心がそうでなければ結果的には通用しないものだと思う。

 

 

 

又、私ども不動産屋に最も求められる事は、「 結果 」で有る事に違いない。

その為に必要な物は、この案件の場合は何なのか?と考えた時に、答えは一つであった。

 

 

 

 

「 私とA氏とのタッグ 」

 

 

 

 

 

これこそが答えだと思っていた。

先のお客様をご紹介して頂いた同業者様へ丁重なお詫びを入れることにし、残地の数十坪を

買ってくれる人を同時に探すという難業に取り組み事に決めた時、A氏と私は本当の意味で

次のステップへこの案件を推し進める事ができる関係になったと思う。

 

 

実際にそれを行い、半年前にあいさつ回りしたご近所に再度アタックを行う事から始めた。

しばしの時が過ぎた頃、大きすぎる話の全貌が煮詰まり始めようとした時、ひとつの動きがあった。

声をかけて回った人々の中に、ちょうどその残地分を購入したいという返事を得たのだ。

 

 

足掛け二年・・・・・・A氏と私はそのゴールが見え始めた事を喜んだ事はいうまでもない。

 

 

その時のA氏は、売り主さんにやっと良い報告が出来ると本当に喜んでいる風に感じられ

私も長い長い上り坂の八合目に到着したような気でいた。

しかし、この時はまだ、その価格も先方の諸条件も全く煮詰まってはいなかった。

A氏と私はその事について話し合い、その方との交渉は全面的に私が行う事になったのだ。

 

 

今までのA氏と私とのやり取りの中では、A氏が完全にノータッチで私だけが独断で何かを行う事は全くなく

必ず、A氏が先に単独で動いて事後報告を受けたり、又は二人で行ってきた。

 しかし遂に・・・・

 

 

 

 

A氏 「 まこっちゃん、この方との交渉は全てお願いします。 」

 

 

 

 

 

この言葉を聞いた時、初めてA氏が私を心底から信頼してくれたのだと感じた・・・・

 

 

 

 

                                  続く・・・・・

 

 

 

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世襲 第一部 第六話

2013-11-07 18:17:19 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

 

私には、自分の人生を少し変えてくれたかな?という本が何冊かあります。

読んでいる時や、読み終えた後が一番記憶に新しく、ランキングも上位に

なりますので、どれが一番なんて事は分からない訳で、又、商売に役立つと

感じたり、単にモチベーションを上げる事に役立ったり、悩みの解消であったり

と実際は、読んだ事による効果のジャンルは様々な様に思います。

 

ただ、本と言うのは人類が文字を発明してから、情報伝達や記録、または戦国武将

の様に、どの様に記録に残るか?自体がその生き方に強く影響を及ぼす等の事に

使用され、現代まで延々と続く人類の最長文化の産物と言えます。

何千年の記録と情報は、常に人間の悩みを解決する為に存在すると言えると

思うのですが、裏を返すと本で解決しない悩みは人間にはない様にも感じる今日

この頃です。

 

 

 世襲 第一部 「 崖 」 

 

      第六話

 

 

「 一日だけの猶予 」

 

私はこの事をとても甘く認識していた事を痛感した。

その事を私に伝えたA氏は、実にその一日の間に、今申し込みをしているお客さんではない

半年以上も前に破談となったお客様に「 決断を迫る連絡 」をいれていたのだ。

 

A氏の話の内容はおおよそこの様なものだった。

 

・全体を一括で購入しようとしているお客さんが現在いる事を伝えた。

・今返事を頂けなければ、恐らくそのお客さんに物件は買われてしまうだろうという事を伝えた。

・そのお客さんの希望価格は満足のいく金額ではない為、価格○○円で購入できるか?と聞いた。

 (現在の商談中の金額よりも上の価格)

・返事は一両日中に頂けなければならないと伝えた。

 

一見すれば、この物件を売ろうとする私にとっては、どちらのお客さんでもいいじゃないかと

思われるかもしれない。

しかし、これまでの話の流れでは、正式に先に申し込みを行っている方を待たせたままのこの動きは

とても納得がいかず、又、A氏が連絡を入れているお客さんは面積が今のままでは大きすぎるという

理由で前回破談となっているわけだから、やはり分割はできない状態の今の状況で同じ話を

持っていっても見込みが薄く、この動きの為に正式に申し込んで頂いているお客さんの心証を

害する事の方が怖かった。

こちらのお客さんは決心がついていると聞いていたからだ。

 

私がそのお客さんを連れてきてくれている同業者さんにこの話をしなければ、A氏の話は漏れ伝わる

事はないと思われるだろう。

私の予想通り、首尾よくA氏のお客さんがやはりお断りを入れてくれば何の問題もない。

だが、「 わかりました。Aさんの言う価格で買いますよ 」 とA氏のお客がなった時は一大事である。

その同業者さんからは、申込への回答を濁している間にそんな動きをしていたのか!と思われてしまう。

 

 

 

 

 

 

しかし、結果的にはそうなったのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

A氏「 まこっちゃん、言いにくいんやけどな、実は昨日一日だけ時間くれってゆうたやろ?

   あの後、かくかくしかじかで、買うって半年前のお客さん言いだしたんよ。 」

 

 

申し訳なさそうな言葉とは裏腹にA氏の声のトーンは弾んでいた。

しかも、A氏の話によれば、買うと言いだしたのは言いだした物の、半年前と希望面積に変わりは

なかったのだ。

結論、数十坪の残地が出るとの話しだ。

 

私「 Aさん、それって前と全く変わっていないじゃないですか・・・・、売り主さんは分割しないんでしょ?」

 

A氏 「 そうやねん、でも一回隣の人ととかにもこの残り面積いりませんか?て聞きにいけへん?」

 

私 「 可能性は十分ありますけど・・・これからその動きなんであれば、今のお客さんでいいじゃないですか。

先方はこの面積を一括で買うからこそ、この希望価格なんですから、新たな動きの成否が読めない以上

こちらで話をすべきですよ」

 

A氏 「 うーん。そらそうやねんけどなぁ。なんかその価格が納得でけへんのよ。任された以上

売り主が他人から聞いても、それくらいの価格やったらなぁて言われる価格で契約しとかんと

僕も格好つかんと思ってなぁ・・・」

 

 

A氏の話も分からないでもなかったが、現状渡しで一人のお客さんに買ってもらうのと、分割して

二人のお客さんに買ってもらうのとでは、その後の大変さが比較にならない事は私にはわかっていた。

不動産取引は契約後も大変な事が起こる可能性も決して低くはない。

慎重に物件調査を行い、安全な取引の為の書類を準備を毎回行っていても、不測の事態は常に

起こる可能性があるのだ。

そして、この物件を8割と2割に分割してそれぞれの契約を行った上で起こる不測の事態の責任は

全て私が負うのだ。

 

又、物件の状態を見ても、プロの業者で有ればその後の大変さというのはある程度予測できる。

この物件は、さほど荒れてもいなく一人の所有者が所有するシンプルな物件ではあるが

古い過去には「 丘 」で有ったことから、隣近所と地盤レベル(地面の高さ)に差があり、その為に

すぐ隣の土地とは3m近くも高低差があった。

 

 

 

 

 

 

 

そう、隣の土地との間に  「 崖 」 があったのである・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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世襲 第一部 第五話

2013-11-04 16:47:36 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

 

本日は少し時間が空きましたので、掲載中の「 世襲 」第一部 崖 第五話を記載しようと思います。

 

 

 世襲 第一部 「 崖 」 

 

      第五話

 

とある朝、A氏からの一本の電話で事態は急転した。

 

プルルル

 

A氏 「 まこっちゃん。朗報やで! 」

 

私 「 え?何の話ですか・・・・?」

 

A氏 「 ちょっと前にあの物件の話、宙に浮いたやろ?あれ、もったいないと思ってな。

    実は前に手を挙げたお客さんの方に、声かけてん。 ほんなら、ワンチャンスくれ言うてきたわ^^」

 

私 「 はぁ。。ちょ、ちょっと待って下さいよ。こっちのお客さん宙ぶらりんですよ。

    ちゃんとお断りもせずに、他へ声かけたんですか?! 」

 

A氏 「 え?あかんかった?いや、値段の整合性取る為にはもうひと組のお客さんの反応も

    必要やと思ってね。そのお客さんにだけ、価格見直しの意図を伝えても、まこっちゃんの

    こないだの話やないけど、とても納得してくれへんやろ?^^ 」

 

私 「 先に相談して下さいよ!こないだのお客さんに対して失礼ですよ・・・・」

 

A氏 「 そうかなぁ・・・向こうも今は返事できないっていう形で半年ほど前に分かれてるし

     今回こんな話が舞い込んでる事を伝えた上で、再度検討して貰うのも悪くないんちゃう?」

 

私 「いや、理解は出来ますけど、間にいる私や、業者さんの面目まるつぶれになってしまいますよ・・」

 

A氏「 まこっちゃん、そやけどな、前回坪単価○○で打診したら、相手は△△で返してきたやろ?

    こっちの意向は伝えたにも関わらず、先方からのじゃぁ△△では?という問いには答えな

   あかんのかな?僕は、そういう値下げの交渉をやりましょうとは言ってないで」

 

 

このA氏の言い分に、無理はなかった。

確かに、売り主の代理として、販売価格は○○でなら売却を検討しても良いというこちら側の意向は

伝えた上での先方よりの、だせる金額は△△です・・という回答で有った事は事実である。

ただ、これまでのやりとりの中で、二つだけ売り主と買主との間で動く私達業者でないと分からない

感性がA氏の話には欠けていた。

 

その一つ目は、売り主と買主は「 五分と五分 」 であるという点だ。

この事が、ぼんやりとでも意識に有れば、発言や動きに相手への「 配慮 」が生まれる。

○○円でなら売却を検討しても良い、というスタンスは自ずと生まれはしないし、仮に売却意思が

明確にない物件に対しての、買い取り交渉であったとしても相手からの価格交渉に対して

返答の仕方というものがある。

私は売り主サイドの業者として、売却意思が売り主にあったかどうかを把握している。

あったからこそ、私が動いており、半年前にも同様の価格交渉があったわけである。

しかし、A氏と私とのやりとりの中では、数回にわたって「 売るよ と言ってるわけではないのだから 」

というA氏の発言が私の耳に入る事となった。

A氏としては、販売時に表舞台で動いているわけではないからこそ、そう考え発言できたのだろう。

しかし、それは明らかに建て前であるし、それを相手方に伝えることによって「売っても良い」という高飛車な態度

を交渉相手に示す事は言うまでもなく、「 ナンセンスな行為 」である。

誰も得をしない事は歴然としていた。

 

二つ目は、まっすぐな申込みを行った相手への返答を返さず、それを残したまま新たな買い客を探す行為

自体が、一見してアリに見えたとしても、実はそうでなく、その動きの結果は、マナー違反と取られる事態に

発展するかも知れない、というアンテナがない、という事である。

新たなお客が現れなければ交渉を続け、最終的な判断をするだけなのだからそれでいいのかも知れない。

しかし、現れた場合にどちらを選択するのか?という将来的な問題に対する危機感をを明らかにロストしている。

新たなお客様が現れた場合は、お客様の買い取り提示額で判断するしかなくなるからである。

 

 

既に、申込みを行っている人がいるのを分かった上で、新たなお客様へ話を持っていってる訳なのだから

相手が同価格を提示してきても「実は先客がいまして・・・」という断り理由は消滅してしかるべきなのである。

そうなった場合に、新たなお客に対して投げかける問いは一つに絞られる。

 

 

 

「 先客よりも高い価格で買ってくれませんか ? 」

 

 

 

これしかない。

 

 

 

 

これは、価格のつりあげ行為であり、同日に複数申込みが同条件で入った場合ならいざ知らず

そうでなければ、先に買い取り意思を示した相手に対する、明らかな裏切り行為である。

なぜなら、先に手を挙げた方がなのだ。

 

世の中の不動産取引でこんな事が日常茶飯事に行われ始めれば、誰も一番先に

「 その土地を買います 」とは言えなくなる。

つまり、市場は停滞し混乱する事は必至なのである。

私たち不動産業者は、自分たちが働く不動産業界を守っていく為や、健全な市場を守っていく

道義的責任がある。

先のA氏とのやりとりの中で、私が発言した 「 面目丸つぶれ 」とはこの事を指すのである。

 

 

A氏にはその事を理解してもらえる様、長い時間をかけて、先にこちらをお断りしましょうと話し

Aさんの方のお客様が固いお話ではなくても、オークションじみた事をするのだけは回避する事にした。

相談の結果、A氏はこの話を理解してくれ、先に知り合いの業者さんの方へお断りの連絡を入れることに

一度は同意してくれた。

但し、一日だけは時間をくれ・・・との条件付きではあったが・・・・

後の事となるが、A氏が望んだこの一日の猶予が、私が危惧していた事態を招く結果となる。

 

 

 

 

長いやりとりがようやく終わり、ポケットからマイルドセブンを取りだした時

西の空を染めるオレンジ色がA氏と私の影を長くのばしていた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

                                          続く・・・・・

 

 

 

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世襲 第一部 第四話

2013-11-02 14:35:54 | Weblog

いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。

朝晩、めっきり寒くなり始めましたので、ご体調にはくれぐれもご留意くださいませ。

 

 

さて、本日は連載中の「 世襲 」 第一部 (崖)第四話を記載致します。

素人の文章ですので、内容が分かりづらい点があったりするかと思いますが、引き続きご覧いただけ

ましたら幸いです。

 

 

世襲 第一部 「 崖 」 

 

     第四話

 

半年ほど前、いったん破談となったとある物件の土地について、とある親切な業者様からの

ご紹介により新たなチャンスがやってくる事となった。

 

A氏による価格の見直し(前回よりも価格を上げる)事について、私はこれまでにない抵抗を示した。

 

 

根拠はある。

 

 

日本全国の地価(国税庁発表による)の中で、和歌山市においては前年度よりもその資産価値が

上昇したとみられるところは皆無である。

あくまで国による見立てではあるのだが、時勢というものが反映されている事に違いはない。

つまり、不動産の価値は前年度に比べ、10%に近い下落を毎年続けているのである。

そんな中、真剣に検討したいという情報を得たとたんに、価格を見直す、更に価格を上げると

いう行為は道義的にあってはならない事の様に私には思えた。

 

 

しかし、A氏は、半年前のそもそもの価格設定が低いのではないかという点、近隣の取引事例

を振り返ってもやはり少々安いという点を挙げ、価格設定の見直しを私に強く主張してきた。

最近、コンビニで売り出した挽きたてのコーヒーを片手に、私たちは車内で話し合う事にした。

 

 

私「 Aさん、おっしゃる事は理解できますがね、一度このお客様の方に、半年前にこの価格で

  売り主さんのOKが取れてるという点を伝えた以上、そこから価格を上げるなんて、お客様

 から見れば、悪質な行為と思われますよ。僕にはそれはできません。 」

 

 

A氏「 まこっちゃん、それはそうやろなぁ。僕がお客さんやとしてもそれは絶対受け入れられへんわ」

 

 

私 「ですよね・・・・言えませんよ、そんな事。この価格で真剣に検討したいとおっしゃってるんで

   売り主さんに一度連絡入れて下さいよ。 」

 

 

A氏 「 う~ん。まぁ分かる事は分かるんやけど、もったいないなぁ・・・。なんとか出来ないかな・・・ 」

 

 

私 「 絶対にできません。僕自身、その業者さんから今後不審な目で見られるのも嫌ですし

   その業者さんがそのお客さんからも不審な目で見られる可能性もありますよ。 」

 

 

A氏「 それはそうやな・・・、仕方ないか、今晩売り主さんに電話入れるわ・・・・」

 

 

 

簡潔に記載はしたが、おおよそはこの様なやり取りを数時間続け、A氏はしぶしぶ私の話を理解

し、先に向けて動き出す約束をしてくれた。

 

 

念のため、記載しておくがA氏は性の悪い人物ではない。

あくまで、不動産取引について素人である事と、後から振り返ってみれば、資産価値を厳正に

追求したに他ならない。

不動産の価格は表示価格に対して、実際の取引する際はその通りの取引ではない事も多い。

それが多くの場合は値下げした結果取引に至っている事実がほとんどで、表示価格よりも

上の価格で取引される事などは「 全くない 」という事実を知らないだけなのである。

又、関東に居住する売り主さんから厚い信頼を受けその方の不動産を管理しており、その

信頼に応える為に頑張っているという事実も否めなかった。

 

 

そんなやりとりがあった数日後、A氏より再び私に連絡が入った。

 

 

A氏 「 まこっちゃん、こないだの話しな、売り主さんに連絡したんよ。ほんで、結論から言うと

    僕に一任するという事になったんよね。僕にしても逆にかなり困ったなぁと思ってんねん。

   かなりの金額の決定やれてゆわれてもなぁ。逆においそれと返事できない様になってしまって」

 

言っている事は理解できた。

あなたに任せるなんて事はできれば言われたくない。

そういう場合に限って、任せた人は後で苦情を言う事も多いからだ。

 

私 「 そうですか。それでも決めなきゃいけないですよね。相手は正式に申し込んできましたんで。

    決断できないならむしろハッキリお断りする必要がありますよ。 」

 

A氏 「 そうやな。いったんこの話は断ろうか・・・・返事できへんしなぁ・・・・でももったいないなぁ・・・」

 

 

一旦はそのやりとりを経て、A氏との連絡は中断し、私はワンクッション入れる必要を感じた事から

お客様をご紹介してくれた業者さんに電話を入れることにした。

大筋の事情を話し、代理人のA氏が売り主より販売価格について一任された事実とその重圧から

すぐさま返答できない状態である事を伝えた。

又、前回の価格を見直したい意向がその根底にある事も、むしろハッキリと伝えておくことにした。

 

 

普通で有れば、「 そんな事ありえないでしょ!」とクレームを入れられても仕方がない。

私もその覚悟はした上での連絡で有ったが、その業者さんは終始私の話を静かに聞いてくれ

最後に「 では状況に変化があったら教えてください。買主さんにはこの話は一応伝えておきます 」

と言った。

 

 

すぐさまこの話は無理ですね・・・となる事を予想していた私ではあったが、先方の大人な対応に

ひとまず安堵した事を今でも記憶している。

しかし、私は宙ぶらりんの状態がどんな事象についても嫌いなタチである。

 

 

この話はやはり早めにつける必要がある

 

 

そんな重苦しい心境を隠しきれず、電話を切った後、マイルドセブンに火を付けた・・・・・・

 

 

 

 

 

                  続く・・・・・・

 

 

 

 

 

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