いつもこのブログを見て頂いて有難うございます
ワタクシ、珍しく風邪を引きました
雨の日にゴルフなんかすると、ろくなことないですね~
さて、いよいよ連載最終話です
ながらく、お待ちいただいた方には大変申し訳ございませんm(__)m
リアルタイムで進行しておりましたので何卒ご容赦の程、お願い申し上げます
「 道 」 第二部
最終話
私が最終的にキシガワ氏へファックスした、土地の譲渡の条件を記載した文書への返答は
とても迅速なものだった
プルルル
「はい西本です」
キシガワ氏「 あ~どうも、ファックスの内容みました。常識的な内容でこれなら小林氏も何の異存もないかと思います」
「そうですか。ではそれで承諾を得られればこれで進めてください。ただ、登記を移転する前に、条件に記載してある
お互いの境界がどこなのか?を確かめる作業は行いたいので、立会の日程を調整してください 」
キシガワ氏「 わかりました!では決まり次第連絡を入れさせて頂きます 」
非常に謙虚で、丁寧な対応である
私は不動産業を日々営む中で、時折思う事がある
それは、複数人が同席する場所での、関わった人間が時に行う「 劇場型のふるまい 」である
不動産仲介は売り手側と書いて側に分かれる事が多い
つまり、一つの不動産契約が行われる場合、その多くのパターンとしては
まず売主がいる
そして売主側の不動産業者がいる
次に買主がいる
そして買主側の不動産業者がいる
私が今記載しているのは、それぞれの業者間でのやりとりの事である
何度も取引をしていて旧知の間柄であったり、そもそも誠実なお人柄で、初対面であってもやり取りを行うにも何の支障もない方も大勢いる
しかし、時には自分のクライアントがいる前でだけは人格が変わってしまい、何故か目上の立場から意見を言い出したり
今まで何度もやり取りを重ねている中で全く問題視していなかった個所を大勢の前で突然言い出したり・・・などなど
若くして自営業の代表者であった私は、年齢的には上の方が多い業界の中で何度もこういう経験をしてきた
全く筋の通っている内容をこちらが話しても、なぜかキャリアの長さや、年長者である事を引き合いに出され
話の内容ではなく「 言い方 」にスポットがあたってしまうのである
さて、話を本題に戻すと・・・・
やがてキシガワ氏から連絡があり、境界を確かめる為の立会いの日程が伝えられた
一度目に伝えられた時間は私は都合が悪く、約30分前に改めて設定し直しを依頼すると、少しキシガワ氏の声のトーンは
変わったような気がした
そして待ち合わせ当日
私はその後決まった時間と1分の誤差もなく現場に到着した
暑い日の事でもあり、既に到着していたキシガワ氏と、その場所の隣に住んでいる小林氏がタオルを肩にかけ
私の方を見ている
「 おはようございます 」
私の方から挨拶をかわすと、キシガワ氏が突如私にむけて人差し指をむけた
「 あんたなあ!約束の時間30分前やろ!!何考えてんねん! 」
今までのキシガワ氏からすれば、フリーザ並みの変身であった
へぇ^^・・・・・・・笑
「 そうでしたか^^私は約束の時間だと思ってきましたんで、1分の狂いもないんですけども 」
「どうなってんねん、あんたのせいでわしは、〇〇ちゃん(小林氏の事)に待ってもらったんや!」
「 電話くれれば、私、歩いて5分の所にいましたのに^^ この時間だと思ってきてますけど、私が間違えている
可能性もありますし、30分も遅れているならば、そんなに怒る前に電話してくださいよ^^ 」
「もうええ!、とにかく暑いしもう始めよ 」と叫び、キシガワ氏は境界ポイントのあたりへ歩き始めた
一言断っておくが、私はこの方と話す必要はない
私の中では関係者ではないのだ
小林氏より、どうやら自分の家の駐車場が他人地である・・と言う相談を受けた不動産屋さんなのである
そして私はその土地の所有者なのである
小林氏がキシガワ氏を通じて申し入れてきた土地の譲渡にそもそも応じる必要もなく
気分が乗らないんで話を聞きたくありませんでも一向に構わないのだ
そんな私が開口一番、キシガワ氏に怒鳴られ、境界確認の為にそのポイントまで、さあ来いと言わんばかりの応対を
受けているのである
いい仕事をする為には判断能力というのは大事である
何を目的として私を敵とするキシガワ氏なのかはさっぱり見当もつかないが、一方の小林氏は何のいらだちも感じさせず
ただ、暑い中すみませんと私に頭を下げていた
「 じゃあ、みてまわりましょうか^^、僕が今回小林さんの駐車場(厳密には私名義の土地)に関して譲渡に応じるのは
この周りの環境を改善したいのと、譲渡の結果、さらに境界ポイントが違うとなれば、今回と同じことが将来起こりうると
思ったからなんですよ。お互いの為に立ち会っていた方が良いと思うんです 」
「そら、西本さんの言う通りや、わしもそうしてもらった方が将来心配ないわ」と小林氏
そんな会話を交わし、仁王立ちのキシガワ氏には敢えて目線もくれずに私は立会確認を進め始めた
基本的には全て小林氏の指摘したポイントでOKを出し、作業が10分ほどで終わった後、どうぞと言われるまま小林氏のお家に入った
始まりがキシガワ氏の劇場型と思われたこの一件、小林氏の新劇は実はまだ終わっていなかった
玄関先で私と小林氏とキシガワ氏が腰かけ、今後の進め方について話し始めると、キシガワ氏がおもむろに口を開いた
「 西本さん、あんた、これ測量士呼んで登記してくれなあかんで 」
「はい?」
「そらそうやろ、境界の立会を依頼したんはあんたや!登記せんかったら意味ないやろ!」
ごもっとも^^
しかし、私には初めからそのつもりはない。
私はこの譲渡にそもそも応じる必要がないのだ。
当然、譲渡に関して何らの費用も支払う気もない。
もし、境界ポイントを法的にきっちりと固めたいのであれば、どうぞ、印鑑は押してあげますよ^^というのが私の立場である
「 登記はしませんよ^^この取引に応じる条件として将来に向かって一度立ち会いましょうとは言いましたが、実測して
登記をするとなれば話は全然別ですよ。それならそれでこの土地を無償ではなく金銭を支払ってくださいよ。そのお金で
登記してあげますよ^^」
「それやったら、〇〇ちゃん(小林氏)困るやろ!あんたが言い出したんや!」
実に見事な豹変ぶりである^^
ちなみに、私はどれほど親しくても、商談の場で関係者の誰かの事をちゃん付けで呼ぶ人は好きではない。
そんなアピールいらんねんと思いつつ、私は言った
「 ではこの取引をやめましょう^^ 駐車場については賃貸契約をしてくれれば構いませんから^^ 」
「西本さん、それは困る 」小林氏が口を開いた
そもそもではあるが、私はこの人たちを困らせに来たわけではない。
過去のいい加減な不動産屋の取引仲介の結果、お金を払ったか払っていないかもわからず
所有権も変わっていないような事件の整理の為、私は自分名義の土地を金銭を受け取らず小林氏に提供しようとしているのである。
ここでプロの不動産屋の私が関わった事は、大きく見れば小林氏にとっても実に幸いな事なのだ
そんな事くらいはキシガワ氏もわかっているはずである
しかし、これが劇場型のややこしい所である
何かのゴールの為に、小林氏の為に戦う自身をキシガワ氏は小林氏に印象付けなければならないのだ
じゃあ劇場に参加しよか^^
私はとどのつまり、席を立って帰る腹を固め、この三文芝居に参加する気になった
続く・・・
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