いつもこのブログを見て頂いて有難うございます。
雨ですね。
今日からしばらくは続きそうです。
さて、本日は新連載 MY HOME への道 をお届けしようと思います。
このお話は100年に一度の大不況の最中、新築一戸建ての購入を目論んだ
とある30代半ばの自営業者にまつわるノンフィクションです。
第21話
~ 先住民 ~
(前回より 続く )
色んな事があり、棟梁I氏に対しての振る舞いに男は迷いを感じていた時、その日
現場に朝早くから入って、ブロックをひたすら積み上げ続けていた職人さんから
呼び止められた男は、職人さんに導かれ、隣地との境界ブロックの作業をしている
箇所まで歩いていった。
一瞬振り返った男の目には、超スロ~ではあるが、若作りの設計士に促され
仕事を始めた棟梁I氏の姿が映った。
とりあえず、境界の方で何が起こったのか?を確かめるべく職人さんと向かった先には
以前、境界の越境問題でやりとりを行った隣家の主人がいた。
職人さん「 実は、ブロックの一段目を積んでいたんですけど、お隣さんのお手製
フェンスの基礎が地中で境界を越えているんで、こちら側の一段目が一ヶ所
積めないんですわ。
ちょっとだけなんで、削ってたらお隣のご主人に作業を止められまして」
男 「 またかよ。自分で境界までフェンスを下げるって言ったんだから、下げて
もらわんと困るわ。
越えてるからどうのこうのじゃなくて、それが原因でブロックを積めないなんて
あったらあかん話や!
○○さん!」
男はお手製フェンスの向うで様子を伺う隣家の主人に声をかけた。
隣の主人 「 なんや 」
男 「 ここのフェンスの基礎、見ての通りこっちへ飛び出してるんでブロック工事
出来ないんですわ。フェンスに差しさわりの無い様に削る道具はあるんで
削らせてもらっていいですかね?」
隣の主人 「 おう!一切の埃(ホコリ)たてずにやれるんやったらやれや。
絶対に埃(ホコリ)をこっちへ飛ばすな。」
男 「ちょっと待ってください。原因はこちらには無いんだから、ホコリを飛ばさずに
基礎コンクリートを削るなんて事も物理的に無理なんで、そこまで言うなら
ご自分で削ってください。
道具も貸しますし、ホコリをこっちへ飛ばしてもらっても構いません。 」
隣地の主人 「そんなもん知るか!わしは前の持ち主と境界を越えてもええと約束
してたんや!
そこへお前が勝手に引っ越してきたんやろうが!
一切ホコリ出さんとそっちで削れ! 」
※これはノンフィクションのやりとりである
そこへ、何やら騒ぎを聞きつけた二軒隣のおばあさんがやってきた。
お婆さん 「どうしたん?」
男 「 いや、ブロック工事の途中なんですけど、お隣のこのフェンスの基礎が
こっちへ飛び出してるんで工事できないんですよ。 」
隣地の主人 「 なぁ 婆さん。こいつの所、工事で迷惑掛けまくりくさって、こんな事
ウチへゆうてくるんや。」
お婆さん 「 そやけど、確かにコレ境界越えてるわなぁ~。」
男 「 ええ、前の持ち主と約束したとか言うんやけど、今はウチが所有してるし
こっちが費用出して境界のけじめになるブロックやるんやから、このタイミング
できっちりした方がいいと思うんですわ。
そやけど、この超えてる部分の取り除きの作業させてくれないんですよ」
隣地の主人は、お婆さんが味方しないと分かると、その場を立ち去ろうとした。
男 「 ちょっと待ってください。数分で終わりますし、多少のホコリが飛んでも
掃除しますんで作業を続けてもいいですかね。」
隣の主人「 だから、ホコリは許さん。一切ホコリをださんとやれ」
男 「それは嫌がらせですよ、何でそういう事を言うんですか?」
隣の主人 「 おまえ、前にわしに境界越えてるから、金払えってゆうたやろうが!
三〇年も前から住んでる人間にそんな事ゆうたらあかんわ。
わしは、いつまでも喧嘩したるわ! 」
※この時の模様は、シリーズ⑫に記載
男 「そんな事は言ってません、良く思い出してください。
その時はあなたも、そうしてくれるか、悪いなぁ、と言ってましたよね。」
隣地の主人 「知るかそんなもん。とにかくそういう事や」
男はこの相手とのやりとりをここで打ち切る決心をした。
建築が始まってからというもの、事あるごとに業者さんに文句を言っていたこの隣地の主人
に対し、男は不信感を強く感じていたが、この日、全てを忘れると共に、もう向き合わない
決心をしたのである。
ブロック職人さんに、ブロックを設置できない部分のブロックカットをお願いし
出来るだけ見えている所は真っ直ぐ施工するようにお願いして男は棟梁I氏と
若作りの設計士がウッドデッキを施工しているはずの庭に戻った。
しかし小一時間は経ったであろうという実感の男の目に飛び込んだのは、進捗を見ているはず
のウッドデッキではなく、先程とあまり様子の変わらない状態の棟梁I氏と一人で
作業を続ける若作りの設計士であった。
遂に堪忍袋の緒が切れた男は、突如叫ぶ。
男 「
もうやめ!片付けよう!今日は止め! 」
今、当時の状況を振り返って見ると、男は既に機嫌が悪いし、作業中の若作りの設計士
の横に、棟梁は座り込んではいたが、棟梁I氏と設計士は二人で作業をしていたのかもしれない。
怪訝な表情で振り返った設計士と棟梁は、しぶしぶ道具を片付け始めた。
男もその片づけを手伝いながらも、既に15時を回っており、男と若作りの設計士の今日一日が
まるっきり無駄に終わってしまった事への怒りが棟梁I氏へ向けられていた。
荷物を運ぶ棟梁I氏に、怒り覚めやらぬ男は声をかけた。
「 I君。ちょっと話があるんやけど、ウッドデッキの作業、もう別の大工さんにふってくれへん?! 」
続く・・・・
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