いつもこのブログを見て頂いて有難うございます
寒くなりましたね~
今年は12月に一生に一回の経験になるかもしれない予定が入りそうなので
と~っても楽しみにしています♪
なにかって?
それはお楽しみ
となると「 なんやねん 」となる
ヒント
「 打ち上げ 」
もうわかりましたよね~
「 責務 」 第二十二話 ~ 最終話 ~
どうやら梅田氏は私の提案を受け入れ、永代供養に係る費用を、売却益の中から折半で負担する事に同意した
数日後・・・・
プルル
「 クリエイト西本です 」
「 東京の目黒です。この間の件で高野寺の住職さんと連絡が取れまして、費用の方も確認が取れました 」
聞けばその費用は中々の物であった
「 そうですか。では、私はその作業が終わるのを待って解体工事を進めますので、日程が決まれば教えてください 」
目黒「 ・・・・そこで、一つお願いがあるのですが・・・ 」
イヤやて
「 ・・・なんでしょう・・・・ 」
目黒「 実は色々考えたのですが、魂抜きと永代供養の日には、私は立ち会わない事にしようと思いまして 」
「え・・・ 」
目黒「 そこで、西本さんから住職に電話を入れて頂いて日程を打ち合わせて頂きたいんです 」
「 ・・・・それは構いませんが・・・立ち会われないんですか? 」
目黒「 はい・・・もうご位牌もそのまま住職に持ち帰って頂いてお寺で供養してもらいますので 」
「 ・・そうですか・・・わかりました・・・ 」
東京からわざわざ来るのはさぞや大変であろう
しかし、私には理解できない
私は言われたまま住職に電話を入れてみる事にした
プルルル
「 空海です 」
「クリエイトの西本と申します。以前に梅田さんの仏壇の件で電話を入れた者なのですが・・・」
空海「 あ~、はい、あの後目黒さんから電話が入りまして、依頼は承諾しました」
前回とは異なり、非常にスムーズに話は進み、住職が古家まで来る日の日程が決まった
そして当日
約束の時間の10分前には現場についた私は鍵を開け始め、中の窓を全て開け放ち始めた
昭和の香りの残るこの物件には縁側があり、南側の縁側の雨戸をあけると、何故か子供の頃のなつかしい感じがよみがえった
縁側からのぞいてみると、今まさにヘルメットを脱ごうとする袈裟衣の男性が
原付の前に立っているのが視界に飛び込んできた
坊さんと原チャリ
ミスマッチゆえに何故か印象が強く、よく目にする気がするのは私だけであろうか
縁側から顔を出した私と目が合ったお坊さんは、こちらにあまり感情の宿らない表情をむけた様に見えた
どうも
高野寺の住職の第一声であった
西本です
愛想のない挨拶を交わし、住職はスス・・と茶席を思わせる振る舞いで仏壇の間に進み、何やらふろしきを広げ始める
家の鍵を預かる私は当然これから行われる儀式に立ち会う事となり、まっぴる間にそう音量が大きくない読経が響くという
TV等の映像で見れば、やや薄気味悪くも感じる場にとどまる事になった
仏壇の前に座る住職は、おもむろに閉じた仏壇の扉を開け始める
仏壇は物である
間違いなく意思を持たない物質である
住職の後ろから仏壇がゆっくりと開いていくのを見ていた私は、なぜか改めて、そう自分に言い聞かせるほどに
圧 を感じさせられた
ほどなくして、仏壇の前で読経を始める住職
その後ろに座る私
ちなみに私は親族ではない
8畳の和室に二人だけが佇んだまま、読経は進んでいった
住職「 では、私はこれで失礼します 」
丁寧に布でくるまれたご位牌を持つ住職はそう言った
そしてシートが上に開いた原チャリに全てを収めた住職は、姿勢の良い状態で原チャリを操り帰って行った
すべての作業を終えた家の中に私は再び立ち戻り、全ての窓を閉めた
これで数日後には予定されている解体工事が当然の様に始まっていく事となる
小さなため息をついた私は、一段落ついた安心感からか、少し体が軽く感じたような気がした
最後に玄関のドアを閉め、私は車を停めている駐車場へ向けて歩き始める
10m程家から離れた時
ふと何かに呼び止められたような気がして私は振り返った
目をやったその先には
やはり全ての雨戸が閉じられた家しかなかった
家は意思を持たない物質である
全ての役目を終え、解体工事を待つだけになった家を振り返りつつ、なぜかもう一度、自分にそう言い聞かせた
責務 ~ 完 ~
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http://www.create-mn.com/ (10月28日更新!)