宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

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その3・ ホーキング トラップ

2023-02-09 04:01:08 | 日記

さてもう一つの「BHがホーキング放射で消え去る事が出来ない」という理由を説明する事にしましょう。

BHはホーキング放射で最後は消えてしまう、と主張する方々はBHを消し去る事になるそのBHに最後に飛び込んだ仮想粒子の事と、そのBHがその事によって最終的に放出する事になるホーキング放射の事を真面目に考えた事が無い、と断言できます。

何故かと言えばその理由は次の通りです。

まずはそのホーキング放射で消える事になるBH中心に座標原点を設定します。(注1)

そうするとそのBHの運動量はゼロになります。

さてそこで対生成した仮想粒子の一方がBHに飛び込んでそのBHを消し去りました。

他方でBHに飛び込んだ仮想粒子とペアで出現したもう一方の仮想粒子は実粒子化しBHから速度Vで離れていきます。

そうしてこのBHから離れていく実粒子がホーキング放射として認識されます。

さてこれが一般的に想定されているホーキング放射によるBH消滅のプロセスです。



ほほう、そうですか。

このBH消滅プロセスの最初の状況は静止しているBHと、粒子、反粒子からなる仮想粒子ペアの誕生です。

この時に発生した仮想粒子ペアの運動量は合計するとゼロになっています。

その理由は「仮想粒子ペアが誕生した事で宇宙全体の運動量が増える事はないから」です。(注2)

そうであれば誕生した仮想粒子はお互いに同じ速度で反対方向に飛び去ります。

従ってその時には全体の運動量(=BHの運動量と仮想粒子ペアの運動量を足し合わせたもの)はBH座標系でみてゼロです。

さてそれでBHが消えた後、実粒子化したホーキング放射がBHが在った場所から速度Vで離れていきます。

そうであればその時には全体の運動量はゼロではなくて、速度Vで離れていく実粒子化したホーキング放射が持っている分だけ増えている事になります。

つまりは最初に合計した運動量はゼロであったものが、ホーキング放射でBHが消滅し、BHが一つのホーキング放射に姿を変えた後は全体の運動量はゼロではなくなっているのです。



さてそうであればこれは明らかに運動量保存則に違反しています。

従ってこのような運動量保存則違反のプロセスは起きる事が出来ない、つまり「このような条件ではホーキング放射は起らない」ので、従って「BHはホーキング放射で消えさる事は出来ない」という事になります。



さて以上の事は以下に参照する加速器実験における粒子崩壊の理解から出てくる結論でもあります。

高エネルギー加速器セミナー: http://kek.soken.ac.jp/pn/wp-content/uploads/kasokuki_seminar_2010_Kojima-1.pdf :の9ページ目に『1体崩壊:あり得ない』という説明があります。

これは粒子の崩壊についての説明ですが、BHがホーキング放射で消える、というのはまさにこれと同じことを言っています。

つまり「質量MのBHが崩壊し、ホーキング放射で質量mの粒子に変わった」とそのように「BHがホーキング放射で消えさるというプロセスを見る事が可能」なのですが、そのような崩壊形式は禁止されている、とこの記事では述べているのです。(注3)

さて粒子の崩壊についてはこのような『1体崩壊:あり得ない』と主張する物理やさん達が同様の解釈が可能であるBH消滅については「ありうる」とすることは「論理矛盾である」と指摘する事ができます。



さてそれではどのような崩壊形式であれば成立可能なのでしょうか?

それは10ページ目にある「2体崩壊から可能」となるのでした。

この場合質量Mの粒子は質量m1とm2の2つに崩壊しそれぞれ反対方向に速度V1とV2で飛び去ります。

これをBHの場合にあてはめますと、質量MのBHが質量m1のホーキング放射を右側に速度V1でだし、質量MのBHは質量m2に変化し(=減少し)速度V2で左側に運動しはじめる、となります。

これはつまり「禁止されている1体崩壊」ではホーキング放射分だけ運動量が増えてしまい、それが理由でホーキング放射が出来ないのでした。

しかしながらこれが2体崩壊になりますと、その増えたホーキング放射の運動量増加分は、質量がホーキング放射で軽くなったBHがホーキング放射と逆方向に動く事で逆方向の運動量を持ち、それによってホーキング放射が持つ事になる運動量を打ち消す事が可能となります。

これでこの崩壊形式では運動量保存則を満足させることが出来るのです。

これはつまり、「ホーキング放射のもつ運動量を打ち消す存在としてのBHはホーキング放射が起こる為には必要である」という事になるのです。



さてこの崩壊形式、あるいはホーキング放射形式が最少のものであり、この場合はエネルギー保存則と運動量保存則が同時に満たされます。

以上の事によって「ホーキング放射をどれほど放出しようが、その事でBHは消え去る事はできない」という事がこの議論の結論となります。



注1:座標軸原点の取り方については、より現実に即した設定の仕方があります。

ただしそれについてはページを改める事と致します。

注2:仮想粒子であるから運動量保存則を破ってもよい、という主張が聞こえます。

短時間であればそれは可能である、という主張ですね。

しかしながらホーキング放射の場合は仮想粒子が実粒子化しますので「短時間ではなく以後ずうっと存在し続ける事になる」のです。

したがって「運動量保存則は厳密に適用される」事になります。

さてその事を逆に解釈しますと「全てのペアで生成している仮想粒子は運動量保存則を満たす形で発生している」という事になります。

何故かと言いますと「どの仮想粒子ペアがホーキング放射を作り出すかはそのペアが生成した時点では不明であるから」です。

つまり前もって「お前たちはホーキング放射に変わるから運動量保存則をまもれ」とか「お前たちはホーキング放射とは関係ないから運動量保存則は守らなくて良い」と言う様に仮想粒子ペアが生成する時に指定する事は不可能であるのです。

しかしながら「ホーキング放射を出す事になる仮想粒子ペアは厳密に運動量保存則を満足させている事が必要である」のです。

そうであれば「対生成している仮想粒子ペアは全て前もって、運動量保存則を満たすように発生している事が必要になる」という事になります。

ちなみに運動量を考える場合には座標設定が必要になります。

そうしてこの場合の座標は基準慣性系(=客観的に存在している静止系)である、と言うのが当方の主張となります。

注3:「BHがホーキング放射を出して消え去る事が可能である」とすると、その最後の姿は静止していたBHが一つのホーキング放射に姿を変えた、と見る事が出来る事は上記で述べました。

この一連のプロセスが量子力学に従うものであるとすると、これは時間反転が可能であるプロセスとなります。

さてそういうわけでこれを時間を逆に動かします。

そうすると、所定の放射(素粒子であれ光であれ)がある時、理由もなく静止してその姿をBHに変えた、となります。

さてこのような現象はないと断言できます。

したがって「静止していたBHが一つのホーキング放射に姿を変える」と言う様な事も起りえない、という事がこの時間反転の視点からも分かるのであります。


ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/OT1hh

 

 

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