まつなが畑のはたけ日記

農ある生活をするため奈良御所市金剛山の麓に農地を借りスタート
素人農業の何気もない日々の日記

値段

2010年08月28日 04時47分00秒 | Weblog
物の値段を考える。。

我が農園は早くも端境期。
セットの野菜が少なくなる。そして単純に値引きをするという事も今後の継続を考えれば難しい時期にもなってきた。
そこでまずは小売計算する。
すると2000円のセットなのだが2000円以上は入っている。しかし品質はそう良くない。
実質は2000円以下だろう。

セットを作っていて小売計算すれば倍以上する値段のセットを作る時もある。トマトを沢山入れれば結構跳ね上がる。
ただ今年はそう長くなかったし・・・。

ある流通業者に安すぎるとビックリされたことがあったが確かにそこのセットと比べれば常に倍以上入った状態が続いていた。



話は少し変わるがガーナのカカオ。
今月号のDAYS JAPAN。
我が家でチョコレートを買う時はフェアトレードの一つ500円もするもの。年に一度買うか買わないかの最高級品である。改めて現地の情報を読む。遠い国の事実は繰り返し読む事が必要だと思う。

ガーナのカカオ農園で働く子供たち。
貧しさから学校へ行けない子供たちをさらい、安い労働力として売り払う人身売買。子供達が零細な農園で休み無く働く。10歳に満たない子供も10~30キロの荷物を運ぶ。
彼らが収穫したカカオを日本のお菓子メーカーは大量に輸入する。農家の収入はカカオ一袋約8900円が一年に1,2袋というのも珍しくないと言う。
こうして出来た板チョコ幾らだろうか。

また話は変わるが・・
近所のおじさんとの話で専業農家が作るナスは一週間に一度農薬を撒くという。
恐らく自分達は見た目の悪いナスでも農薬をあまりかけないナスを食べるのだろう。
ここら辺で作っている人たちも皆、農薬を少なくして作る。

白菜もいつも言うが出来るまで20回の農薬散布がある。
スーパーに並ぶ野菜は確かに農薬漬け。

でもこれ農家を批判的に思う事が段々無くなってきて都会と言う場所、そこに住む人たちがいるからそういう野菜があるという事だけと思うようになってきた。

その野菜がイヤなら畑の近くに住めば良いと思う。
きっと畑の近くに消費者がいればそんなに農薬を撒く事もしないだろう。


チョコレートにしても野菜の農薬にしてもそれは自分たちの生活の結果である。
私たちの両親が作ってきたこの社会、私の父親は今も大企業のもと働いているがこの社会がこのままでは良いとはどうしても思えない。その世代がそうであったならば私たちの世代はまた違う形を模索する。

もし私の父親がお菓子メーカーのサラリーマンだったとして、ガーナの現状を知っても会社を変えようとか退職しようとは恐らく思わないだろう。いや、多くの人が生活を変えたり、仕事を辞めたりすることはないだろう。
ガーナの悲劇はこうして生まれる。

都会に住むということ、日本に住むという事だけで悲劇は生み出されているということを私たちは知らなければいけない。
私達が生活する上で便利だとか都合が良い物と感じるものの多くは悲劇の結果と知る事。



都会で有機野菜を買うという事。
その高い野菜、誰が買うのだろう。

都会の人たち(消費者)が今の野菜の在り方、値段を決めているなら、有機野菜が高くて当然である。
言ってみれば有機野菜と言うのは良いとこ取りで自分達が作り上げている野菜が納得いかないから、自分はお金があるから農薬が掛かっていないのを食べよう。

都会の健康志向と言うのは自分達が汚しておいて、自分にはお金と時間があるからその汚れを排除します。という感じに思う。

もちろん田舎も都会暮らしと生活がなんら変わらない人は多いけど都会と言う場所がその生活を作り上げている事実。

その便利な社会、物の溢れた社会から身を引き田舎でシンプルな暮らしに移行できる人がどれだけいるかでこの世の中の在り方は大きく変わるだろう。


まつなが畑ではこういう事実を踏まえた上で価格を考える。
野菜の値段を決める時、有機野菜は高くて当然なのだが野菜が食べ物であって欲しいという願い。
時間とお金がある人の嗜好品ではなく。。
このセットから少しでも生活が変わればという願い。
次の世代、子供たちへの期待。

事実と思いの間でお金の価値と言うものが右往左往する。


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