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将棋の日記

NHK杯の優勝

2009-03-22 16:04:24 | 棋譜解説(トーナメント戦)
今日はNHK杯の決勝戦が放送されました。
羽生四冠と森内九段より優勝を争います。
振り駒の結果、森内九段となりました。

先手:森内九段(前名人)
後手:羽生四冠(名人・棋聖・王座・王将)

戦形:相振り飛車

解説は渡辺竜王

対局者と解説者が永世称号保持者と豪華なメンバーとなりました。
森内九段(18世名人)
羽生四冠(19世名人)
渡辺竜王(初代永世竜王)

羽生四冠、渡辺竜王ファンである私は、最高のメンバーです。
渡辺竜王の解説は、自分の意見を持って発言するので、聞いていて気持ちが良かったです。
ただ、渡辺竜王は純粋な居飛車党なので、相振り飛車は指さないので、途中には、これは指さないでしょうという手が指されたり。


これで、相振り飛車と確定しました。
ここまでは、ノータイムで指されています。
お互いに、この戦形になればと考えていたのでしょう!

森内九段は、今期のNHK杯より対糸谷五段戦の時も相振り飛車でした。
もしかしたら、縁起を担いだかもしれません。

羽生四冠は、タイトル戦より久保八段などと相振り飛車を経験しているので、その蓄積で指している感じでした。


後手は2筋から仕掛けました。
勝てば成立する仕掛け、負ければ無理な仕掛けとなる仕掛けです。

先手は、矢倉⇒銀冠に組み替えました。
後手は、金無双です。


▲3九玉⇒▲4八玉とした局面です。
▲4八玉は、顔面受けです。 2通りの攻めを受けています。

▲3九玉形の場合
・△2六銀、▲同銀、△5九角 (飛・銀の両取り)
・△3六銀、▲同銀、△同歩、▲2三歩成、△7九角、▲5八飛、△6九銀、▲9八飛、△5七角成
つまり、▲4八玉は、△5九角と△5七角成を受けた、顔面受けなのです。


▲3二銀、△4四銀と進んだ局面です。
部分的には▲3二銀より△2一飛が死んでいる局面です。
※△6一飛とすれば助かりますが、これだと後手からの攻めは途切れてしまって、はっきり先手優勢です。

ここで、後手は駒を捌きます。
銀損ですが、△4四銀が捌きのための捨て駒の手筋です。
▲2一銀成、△3三銀は、飛・角の交換になり、▲2一成銀が遊んでいる感じなります。
よって本譜は以下のようになりました。
▲4四角成、△2四飛と銀損しながら飛車を捌きました。

△2四飛の局面の形勢判断の4つの要素の駒の損得、駒の効率、玉の固さ、手番を考えてみましょう!
駒の損得:先手の銀得です。
駒の効率:先手は▲6八飛が遊んでいるけど、後手は△2四飛より捌きました。
玉の固さ:先手の陣形はバラバラ、後手は金無双よりしっかりしています。
手番:△2四飛の時は先手

先手の森内九段、駒の損得○:駒の効率×:玉の固さ×:手番〇
後手の羽生四冠、駒の損得×:駒の効率〇:玉の固さ〇:手番×
かなり、おおざっぱですが、2:2なので微差ながら先手有利という感じでしょうか?


前図の△2四飛、▲2六馬、△同飛と進んだ局面です。
後手は飛・角交換となり、飛車が捌けた状態となりました。

▲同金直は、△2八歩があります。 よって▲同金左と指しました。


△4七金、▲5九玉、△5七銀成より先手玉が危ない形になりました。
先手の玉は大丈夫でしょうか?


前図より数手進んだ局面です。
▲9八玉よりギリギリ残している感じです。

ここで後手は、攻めがないので受けに回ります。
△5一金(△3三角の利き)より受けます。


△9三歩を△9四歩とした局面です。
この終盤の絶妙手の詰めろ逃れの手でした。

△9三歩形の場合
①▲6二金、△同銀、▲8二金、△6一玉、▲5二金まで
②▲6二金、△同玉、▲6一金として2通りの変化
変化1:△同玉、▲6三竜、△6二歩、▲7二金、△5一玉、▲5二歩、△4二玉、▲4三歩成まで
変化2:△7二玉、▲7一金打、△8二玉、▲5二竜まで (▲5五角が利いているため6二の地点に合い駒が出来ない!)

②の変化2の時に△9三玉より詰まないので、△9四歩が詰めろ逃れの1手でした。

<初級者向けの解説>
1)△9四歩より△9三玉の局面では、▲7三角成が▲8二竜、△8四玉、▲8三竜までの詰めろですが、角がいなくなったので、△7七成銀の1手詰みです。
2)△9四歩、▲6二金、△同玉(後手に金が持ち駒となる)、▲5三金、△7一玉、▲2一飛成、△5一歩(△1五角の利き)となり、後手玉に詰めろがかからず、次の△7七金、▲同角、△同成銀が受からず後手の勝ちです。

===== 2009/03/23 05:30 追記 =====

詰みは苦手なので、ソフトより詰みの有無を確認しました。
渡辺竜王のブログより△9四歩には詰みがあったとこの事。

確かに、▲6二金、△同玉、▲6一金ならば詰みます。
変化が2通りです。
変化1:△同玉、▲6三竜、△6二歩、▲2一飛成、△5一合、▲7二金まで
変化2:△7二玉、▲5二竜、△6二桂、▲同金、△8二玉、▲7三角成、△同玉、▲6三竜、△8二玉、▲7二竜、△9三玉、▲8二銀、△8四玉、▲7五金、△同歩、▲同竜まで

しかし、▲6二金、△8二玉ならばソフトによると詰みません。
変化が3通りです。
変化1:▲7三角成
変化1-①:△7三桂、▲7二金打、△9三玉より不詰み
変化1-②:△9二玉、▲8二金、△9三玉、▲8二金、△9三玉、▲8三馬まで
変化1-③:△9三玉、▲8四銀、△同歩、▲8三金まで
変化1-④:△同玉、▲6三竜、△8二玉、▲7二竜、△9三玉、▲8二銀、△8四玉、▲7五金、△同歩、▲同竜まで

変化2:▲7二金
変化2-①:△9二玉より不詰み
変化2-②:△9三玉より不詰み

変化3:▲7二金打
変化3-①:△9二玉、▲8二金打、△9三玉、▲8三金、△同玉、▲7三金、△9二玉、▲8三銀、△9三玉、▲8二銀不成、△9二玉、▲8一銀不成、△9三玉、▲8三金、△同玉、▲6三竜、△8四玉、▲7三竜まで
変化3-②:△9三玉より不詰み

まとめると
▲6二金、△8二玉
変化1-①:▲7三角成、△7三桂、▲7二金打、△9三玉より不詰み
変化2-①:▲7二金、△9二玉より不詰み
変化2-②:▲7二金、△9三玉より不詰み
変化3-②:▲7二金打、△9三玉より不詰み
▲7三角成、▲7二金、▲7二金打は先手の選択権なので、△7三成銀を防ぐ手があれば先手の勝ちです。

後手玉の詰みはないと思いますけど、どうすれば先手の勝ち筋になるのでしょうか?
私の棋力では理解が出来ません。

===== ここまで =====


投了図です。
先手は受けがなく。
先手に金駒が1枚あれば詰むのですが、ないので後手玉が詰まない形です。
よって、攻防とも見込みがなくなったので、先手の森内九段が投了しました。

羽生四冠が勝ちました。

NHK杯の結果
優勝:羽生四冠
準優勝:森内九段

羽生四冠、渡辺竜王ファンなので、羽生四冠の優勝で終わり嬉しい限りです。
両対局者には、名局を残して頂き感謝しています。

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2 コメント

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優勝決定戦 (パオーン)
2009-03-22 23:01:50
今日は羽生四冠vs森内九段という
最高の組み合わせのため久しぶりに
NHK杯を見ました。(途中からですが・・・)
詰むや詰まざるやで
最後まで緊迫した棋譜で面白かったです。
渡辺竜王の解説もわかりやすくて
良かったです。
プロの将棋はためになりますねぇ~。
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Re:優勝決定戦 (LogicalInSpace)
2009-03-22 23:16:07
パオーンさん、こんばんは。
豪華な顔ぶれです。
ためになっても難解すぎて・・・。(苦笑)
でも、楽しめました。
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