JR福知山線脱線事故、「悲しみ」「安全追求」の2年
事故現場のマンション(後方)を通過する電車の中で、弔意を表す乗務員たち=25日午前7時34分、兵庫県尼崎市で
107人が死亡、562人が重軽傷を負った兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故から2年を迎えた25日、同市総合文化センターで遺族や負傷者ら1466人が出席して追悼慰霊式が営まれた。戦後有数の惨事となった同事故を機に鉄道の安全対策は進展したが、JR西日本ではこの2年間もミスやトラブルが頻発。
式典の参列者や献花のため現場を訪れた市民らは、犠牲者の冥福(めいふく)を祈るとともに、事故の記憶を風化させず安全を追求し続ける決意を新たにした。
午前9時に始まった式には犠牲者92人の遺族491人と、負傷者とその関係者294人が参列。白い花が供えられた祭壇にろうそくがともり、事故発生の午前9時18分、全員で黙とうした。
政府代表の冬柴国土交通相は「事故を風化させることなく、二度と繰り返さないよう全力で公共交通の安全対策に取り組む」と決意を述べ、JR西の山崎正夫社長は「安全を最優先する企業風土を作りあげることが、多くの犠牲に報いる唯一の道」と誓った。
遺族代表で、弟の善弘さん(当時20歳)を失った神戸市の下浦雅弘さん(25)は、「二度と事故を起こさない会社に生まれ変わるのだと肝に銘じてほしい」とした父、邦弘さん(58)の言葉を代読し、夫の原口浩志さん(当時45歳)が犠牲になった妻の佳代さん(47)は「事故を忘れず伝えていくことが私たちの使命」と述べた。
事故現場にも雨の中、早朝から大勢の市民が献花に訪れ、同線沿線の駅に設けられた記帳所でも、乗客らが犠牲者の冥福を祈って記帳した。
◆JR西、トラブルなお続発
JR西は事故翌月の2005年5月、40項目の安全性向上計画を策定。自動列車停止装置(ATS)整備のほか、ゆとりのある列車ダイヤへの改正などの再発防止策を進めている。
しかし、昨年以降、工事ミスに伴う長時間停電、作業員の置き忘れた工事用台車に電車が衝突するなどトラブルが続発。社員の安全意識の向上など、なお多くの課題を抱えている。
国交省航空・鉄道事故調査委員会が昨年12月に公表した事実調査報告書でも、事故の背景要因として同社の安全管理体制の不備や厳しい労務管理を指摘。今夏にも最終報告がまとまるが、同社の企業体質と事故原因をどのように関連づけるのかが注目される。
兵庫県警は、この最終報告書の内容を踏まえ、当時のJR西幹部から本格的に聴取するなど詰めの捜査に入る方針だ。
一方、被害者に対する補償は、負傷者の約3分の2と示談が成立したが、遺族との交渉は進展していないとみられる。
(2007年4月25日 読売新聞より転載。画像も含む)
列車事故で大破したJR福知山線の列車(2005年4月25日(月) 午前9時55分、兵庫県尼崎市で、本社ヘリから・読売新聞より抜粋)
今日で、JR福知山線脱線事故から2年が経過しました。107人が死亡、562人が重軽傷を負ったというひどい有様です。現場に負傷者の悲鳴やうめき声が散々響いていたことでしたし、大変そうです…
事故発生時刻の午前9時18分、黙祷をした。その時間に事故現場を通過した電車は汽笛を鳴らしました。今日はJRにとって追悼の一日となりました。
J事故にどう立ち向かって欲しいし、会社がより生まれ変わってほしいです。
今後、事故を風化させないようにしたいです。
この事故の教訓を生かして、忘れないようにしてください。
〔兵庫県尼崎市久々知3丁目 北緯34度44分28.77秒 東経135度25分35.19秒 〕