<第81回アカデミー賞授賞式>◇22日(日本時間23日)◇米カリフォルニア州ロサンゼルス・コダックシアター
第81回米アカデミー賞で日本映画初の外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の滝田洋二郎監督(53)は、オスカー像を掲げ喜びを爆発させた。昨年亡くなった向井寛監督に師事し、ピンク映画から始まった監督人生は、世界で認められるところまで来た。短編アニメ賞を加藤久仁生監督(31)「つみきのいえ」も日本作品初受賞。日本作品のオスカー同時受賞は54年ぶりとなった。
「おくりびと」の英語題、「Departures」が呼ばれると、滝田監督は席を飛び出し、足早にステージに上がった。実は日本を出発した21日朝、入浴中に持病の腰痛が悪化し、スムーズに歩けないほどだった。ロサンゼルス到着後もシンポジウムやパーティーが続き、ゆっくり休む時間はなかった。しかし、受賞の喜びが腰の痛みを忘れさせた。
オスカー像を右手に持ち、スタッフやアカデミー会員に礼を述べ「ベリー・ベリー・ハッピー」と喜んだ。しかし、決意の言葉も忘れなかった。「This is a new departure for me.We will be back(これが私の新しい出発です。私たちはまた戻って来ます)」。
国内外合わせて51冠に導いた滝田監督の映画人生は、故向井寛監督による獅子プロに入社したところから始まった。同社の大きな事業の1つでもあるピンク映画でデビューした。ストーリー性が高く、丁寧に作った作品が評判になった。細やかな感情と、繊細な映像は今も変わらない。「おくりびと」の冒頭の雪景色シーンだけで2カ月もかけた。
受賞後の会見では「夢のよう。アカデミーに来れることさえ信じられなかったのに、こんなに素晴らしいプレゼントをいただきました。映画の神様が立ち止まって、僕たちのところにたまたま落し物をしたという感じで、今日のアカデミーをいただきました。素晴らしい日本の技術が世界に認めてもらったと思っています。本当に誇りです」と胸を張った。会場近くのホテルで授賞式を見守った千多枝夫人も「長い間の日本の方の夢がかなった」と涙ぐんだ。
現地では「おくりびと」の受賞を「大番狂わせ」と報じたメディアもあったが、作品を見た関係者の評判は一番高かった。滝田監督はサイン攻めに遭い、会見には50人以上の報道陣が集まった。帰国までの短い滞在で、殺到した取材を受ける。
すでに、気持ちは新作にも向いている。もらったばかりのオスカー像は、スタッフ全員に回して喜びを分かち合うとしたが、滝田監督は「僕はこれを枕に、明日から新しい映画の夢を見ます」。「We will be back」という日を目指している。
第81回米アカデミー賞で日本映画初の外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の滝田洋二郎監督(53)は、オスカー像を掲げ喜びを爆発させた。昨年亡くなった向井寛監督に師事し、ピンク映画から始まった監督人生は、世界で認められるところまで来た。短編アニメ賞を加藤久仁生監督(31)「つみきのいえ」も日本作品初受賞。日本作品のオスカー同時受賞は54年ぶりとなった。
「おくりびと」の英語題、「Departures」が呼ばれると、滝田監督は席を飛び出し、足早にステージに上がった。実は日本を出発した21日朝、入浴中に持病の腰痛が悪化し、スムーズに歩けないほどだった。ロサンゼルス到着後もシンポジウムやパーティーが続き、ゆっくり休む時間はなかった。しかし、受賞の喜びが腰の痛みを忘れさせた。
オスカー像を右手に持ち、スタッフやアカデミー会員に礼を述べ「ベリー・ベリー・ハッピー」と喜んだ。しかし、決意の言葉も忘れなかった。「This is a new departure for me.We will be back(これが私の新しい出発です。私たちはまた戻って来ます)」。
国内外合わせて51冠に導いた滝田監督の映画人生は、故向井寛監督による獅子プロに入社したところから始まった。同社の大きな事業の1つでもあるピンク映画でデビューした。ストーリー性が高く、丁寧に作った作品が評判になった。細やかな感情と、繊細な映像は今も変わらない。「おくりびと」の冒頭の雪景色シーンだけで2カ月もかけた。
受賞後の会見では「夢のよう。アカデミーに来れることさえ信じられなかったのに、こんなに素晴らしいプレゼントをいただきました。映画の神様が立ち止まって、僕たちのところにたまたま落し物をしたという感じで、今日のアカデミーをいただきました。素晴らしい日本の技術が世界に認めてもらったと思っています。本当に誇りです」と胸を張った。会場近くのホテルで授賞式を見守った千多枝夫人も「長い間の日本の方の夢がかなった」と涙ぐんだ。
現地では「おくりびと」の受賞を「大番狂わせ」と報じたメディアもあったが、作品を見た関係者の評判は一番高かった。滝田監督はサイン攻めに遭い、会見には50人以上の報道陣が集まった。帰国までの短い滞在で、殺到した取材を受ける。
すでに、気持ちは新作にも向いている。もらったばかりのオスカー像は、スタッフ全員に回して喜びを分かち合うとしたが、滝田監督は「僕はこれを枕に、明日から新しい映画の夢を見ます」。「We will be back」という日を目指している。