マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

スーパーおばあちゃん・塔本シスコ

2016-05-09 | book
「塔本シスコ」さんを紹介したいと思います。
1913年(大正2)生れ、熊本の貧しい半農半漁の家に生れ、
尋常小学校4年で家計を助けるために退学し労働を続け、
20歳で結婚、2人の子供を産み育て、
やっと一息つけるかと思った矢先、
夫が事故死、自らも脳溢血で倒れます。
半身まひが残る中、
石を掘ることに挑んでいます。
一方、絵描きを志していた息子賢一は、
就職のために大阪に出ていきます。
そして結婚し、美術教室をしながら暮らしていました。
その息子が久し振りに帰省した時に見たものは、
自分が一生懸命描いたキャンバスの絵を掻き取って描いた
母シスコの絵だったのです。
息子の賢一は驚くと同時に、
母シスコの大きな絵を描きたいという事実に圧倒され
大阪の自宅(団地)に呼びよせるのです。
その団地の4畳半の部屋で、シスコは頭の中に浮かぶもの、見えるもの
ありとあらゆるものを絵にしていきます。
大きな絵を描く時はキャンバスを団地の壁に立てかけて描いたそうです。

(学校の帰りに大きな蛇に追いかけられた)

(晩白柚、ザボン、ザクロ、マンゴーなど)
花も木も猫も鳥も虫も人も全て同等の命あるものとして、
シスコの感じるままに描かれ輝いています。
81歳の時に大規模な個展が開かれ、ここからアクセル全開、
貧血や認知症になっても、その情熱は衰えず、
92歳で亡くなるまで、
チラシやダンボールやカレンダーやあらゆるものに、絵を描き続けたそうです。

(4年生の時の遠足の思い出、ノウリに焼きついて忘れ難く、74歳で絵に仕上げる)
花も木も猫も鳥も虫も人も全て同等の命あるものとして描くシスコの絵に圧倒されます。

(秋の庭)

(野外彫刻展を見に行く、の一部)
〔シスコは本名、サンフランシスコ行きを夢見ていた父親が名付けたそうです。〕
『塔本シスコ・絵の手帖』
コロナ・ブックス、平凡社 2015年

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日、自転車で走っていると、ちらとこちらを見る視線を感じました。
道路脇のお地蔵さんでした。
シスコの描く顔に見えました。
それでこの記事を書こうと思ったのです。








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3 コメント

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カタルパ かれんな花 (山近 茂)
2016-05-10 15:56:03
見るのもいやな毎日の『熊日』
第二社会面に咲き始めたカタルパの白いかれんな花の写真とともに、清涼剤のような記事。
京都で同志社を創設した新島襄が、大江義塾を運営する徳富蘇峰を励ますため、米国から種を取り寄せ贈った。
蘇峰が、益城町杉堂にある母久子の実家で生まれた縁から、徳富記念館は今年、同町教育委員会にカタルパの苗木を贈る予定だった。
館長さんは、「落ち着いたら苗木を贈り、復興を応援したい」

は~、それにしても、すごい雨と雷。
地震に雷、次は火事かな?
親父はどぎゃんでん、よかばってん。
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看護の日 (山近 茂)
2016-05-12 08:32:30
きょう5月12日は、フローレンス・ナイチンゲールの誕生日。「看護の日」です。

4週間前のきょう、津奈木町での会議。
お茶を飲んで、さぁ帰ろうというときに、出席者6~7人のスマホ・ケータイが、いっせいに警告音!
「なんや、なんや?」地震速報でした。
聞くところによると、熊本市・益城町の大きな避難所では、いまでも速報が「地鳴り」のように鳴り響くのだそうです。
あさってで、前震からひと月が経ちます。
返信する
制度がなければ作ればいい (山近 茂)
2016-05-12 11:51:37
たびたびのコメントで失礼しますm(_ _)m
熊本のスーパーおばあちゃんをご紹介いただきましたので、京都のスーパー弁護士を紹介。
水俣病京都訴訟でお世話になった尾藤廣喜弁護士。
京都大学法学部卒業後、当時の厚生省に入省。
バリバリのキャリア官僚だったのですが、いまでは生活保護のエキスパート弁護士。
ある透析患者さんのケースから、「高額療養費」の制度を創設されました。
なければ作る!この発想に、私たちも多くのことを学ばされました。
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