マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

「杉浦明平」の本を読む

2017-07-20 | book
1930年当時、わたしの父は5歳でした。
治安維持法が強化され、
思想弾圧が強まり、
出版物の検閲は激しさを増し、
自分が考えていることを発表するのは難しくなっていました。

若い杉浦明平が何を書いても、検閲で闇に葬られていました。
しかし、杉浦は
1939年から終戦までに書いた悲痛な叫びや、
憤怒の思いを書き留めたものの一部を、
ひそかに隠しもっていました。
下記の本はそれをまとめたものです。
「この本を出版した今の思いは、原稿を書いた時とかなりずれているところもあるが、
あえて訂正していない」という意のことが後書きに書いてあります。
(日記もありますが、別の本になっています。)

1『暗い夜の記念に』
杉浦明平 著 1997年、風媒社

そんな暗い時代に直面した、文化人と言われる人たちには、
小説家も、評論家も、詩人も、絵描きも、哲学者も、科学者も、音楽家も、
巧みに権力を忖度して(顔色を窺って)
生き延びる者や、
華麗なる転身をして、
侵略戦争の賛美者となるものも多くいました。
スパイになり果てる者もいたそうです。
しかし、
口をつぐみ、
地位を捨て、
じっと耐える道を選んだ人もいます。
また、絶望して自ら死を選んだ人もいました。
小林多喜二のように、残酷な拷問で殺された人もいます。
牢で病死した人は数知れません。

これからどう生きるべきか、
一人一人が考えなければならない時代が再び来ようとしています。

杉浦明平(1913~2001)
ルネッサンス研究の著書が多くありますが、
「ピノッキオの冒険」や「チッポリーノの冒険」「クオレ」などの翻訳も多く、
私が子供のころ読んだ本の翻訳をしていたのも、
杉浦明平だったのかもしれません。

戦後は郷里(渥美半島)で共産党の町会議員を長く務めました。
その頃の人間観察に基づく記録文学、小説も書いていますが、
それが、とてもおもしろい!!!(2と3)

2『泥芝居』福武文庫、1986

3『ノリソダ騒動記』講談社文芸文庫 1998

4『カワハギの肝』光文社文庫1986
5『養蜂記』中公文庫 1995
(以上5冊、杉浦明平を続けて読みました。
うち2冊は図書館、3冊は古本屋で見つけて買って、
読みました。古本屋はいいな~)




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2 コメント

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山之口貘 (山近 茂)
2017-07-20 10:12:27
きのう(7/19)が沖縄出身の詩人・山之口貘の忌日でした。享年59歳。
小林多喜二の29歳を越えるときもつらかったけど、還暦を迎えて『自分はなにしてんだ…』と自問する日も多いこのごろ。
さて、前回コメントの辛子の問いかけには、なんとお答えすればよいのでしょう?
確かに、福岡には辛子明太子がありますし、鹿児島には辛子マヨネーズもあります。
やはり九州は暑いから、が答えなのでしょうか。
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ブックオフ (山近 茂)
2017-07-20 13:56:36
水俣のブックオフは、ことし3月に閉店。残念(T_T)
立ち読み自由で、「罪滅ぼし」に1冊だけ文庫本を買いました。
カウンターで、店員さんの驚きのひとこと。
「読み終わったら、また持ってきてくださいね」
なんと!「貸本屋さん」だったのか…。
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