マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

詩人「竹内浩三」

2021-05-04 | book
5月3日憲法記念日、中日新聞の一面は「詩人・竹内浩三」でした。



竹内浩三は100年前に伊勢に生まれて、
フィリピン・ルソン島で戦死しました。23歳でした。

竹内浩三の少年時代、周りは軍国少年ばかり、
反戦厭戦の「文」や「詩」や「まんが」は、宮沢賢治の本をくりぬいて隠していたそうです。

伊勢の実家は空襲で焼かれ、
姉の所に送られていた詩が残されました。

詩はとてもやさしい言葉で書かれていて、心の中に真っすぐに入ってきます。
若いきらきらした精神を感じます。
楽しいこと面白いことが大好きで、
やりたいことが山ほどあって・・・
そんな青年たちに、鉄砲を持たせ、人殺しに行け、お国のために死んで来い、と命じる国家の何と残酷なことか、

私はこちらへ越してくるまで、この詩人のことを知りませんでした。
図書館や新聞などで、この詩人のことを知り、すぐに2冊の本を購入しました。
その2冊を紹介します。



『骨のうたう ”芸術の子”竹内浩三』
  小林察 著 

  藤原書店  2015

『竹内浩三集』
  竹内浩三 文と絵

  よしだみどり  編
  藤原書店  2006
 (この本は、竹内浩三の詩とたくさんの自筆のマンガで構成されています。)






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骨のうたう

戦死やあわれ
兵隊の死ぬるや あわれ
遠い他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や

白い箱にて 他国をながめる
音もなく なんにもなく
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨は骨 骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらい
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
がらがらどんどんと事務と常識が流れ
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった

ああ 戦死やあわれ
兵士の死ぬるや あわれ
こらえきれないさびしさや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や

 
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4 コメント

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Unknown (花てぼ)
2021-05-05 19:37:22
「骨のうたう」という詩にとても魅かれました。
この詩をわたしの方でも紹介したいと思います。
マリヤンカさんのこのペ-ジ丸ごと転載してもいいでしょうか?
憲法記念日 (リュウ)
2021-05-06 05:46:04
お早うございます。
ゴールデンウィークに浮かれて?
コロナ緊急事態宣言に気を取られて、
憲法の大切さを忘れているような気がします。
有難うございました。
Unknown (マリヤンカ)
2021-05-06 09:02:22
花てぼ さま
ありがとうございます。
このブログのページでよかったら、使ってください。
私のブログの転載は問題ありません。
多くの人に「竹内浩三」のことを知ってもらいたいと思います。
憲法 (マリヤンカ)
2021-05-06 09:17:54
リュウ さま
ありがとうございます。
深く考えもせず、議論もせず、自分の都合のいいように憲法を書き換えようとする人たちが目指す世界は
いったいどんな世界なのでしょう?
憲法には、人が生きるのはなぜなのか、
皆が幸せに生きるためにどうすればいいのか、希望や夢がこめられていると思います。

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