うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

かずこ語録?(追記あり)

2024年01月19日 | カズコさんの事

私のスマホが鳴る時なんて、

だいたい、かずこだ。

 

おはようございます。

固定電話の子機を手に、

「これ熱が測れん。壊れた。」

と言うほどに、かずこのアルツハイマーはいよいよ進行してきた。

脇に挟むには、それなりの困難があるだろうに、

電話機を懸命に脇で抱え込もうとする姿は、実に面白い。

そして、深刻だ。

そのくせ、どういうプロセスを辿ってかは知らないが、

私のスマホにだけは、その子機から電話を掛けてくる。

 

「わし、もう離婚するで役所に連れてってくれんか?」

まただ。

かずこは、また父さんと喧嘩にもならない喧嘩をしていた。

離婚という響きは、小学生の頃から聞き慣れている。

喧嘩も、今に始まったことじゃない。

ただ、そんなことで、わざわざ電話して来るようになったのは、

かずこの認知症が進行してきた頃からだ。

かずこにとって「離婚する」は、SOSなのだろう。

昔から、きっとそうだ。

かずこには学が無い。

それ以上に、学問に全く関心が無いのだ。

そのおかげで、語彙力が極めて乏しい。

だから、自分を分かってほしい、助けて欲しい、許して欲しい。

そんな気持ちを、まるっとまとめて「離婚する」と表現する。

そのくせ、かずこには誰も知らない言葉を持っている。

それは無二の輝きを持つ言葉だ。

私は、かずこの言葉に、時々ハッとさせられる。

 

「役所に行きたいの?

あたし、まだ仕事中だから無理だよ。」

電話口で伝えると、かずこは返事もせず電話を切った。

こりゃ相当に荒れてるなぁっと思い、私は職場を早引きして

実家へ向かった。

「おーい、かずこさん?何を怒っとるんや?

コーヒー飲みに行くかい?」

実家へ入るなり声を掛けると、かずこは笑顔で、

「行く!」

と即答した。

これは拍子抜けだったが、ラッキーだった。

かずこを車に乗せ、さっそく喫茶店を目指す。

「あたしさ、今日は仕事サボりたいなぁって思ってたとこなの。」

かずこに吐露すると、かずこは

「お前、仕事って何しとる?

バカみたいに座っとるだけやろ?

バカみたいに、ずーっと座っとらんと、ちゃんと生きなあかん。」

と言った。

たしかに、私は馬鹿面で座っている。

気を付けなければ、職場で無意識に鼻をほじっている。

とはいっても、

「いや、仕事せんと、生きていけんやん?」

仕事をしなければ生きてはいけない。

けれど、かずこは引かない。

「生きるというのは、仕事でどうにかなるもんやない。

生きるというのは、自分を立たせることや。

自分一人で、立っとるということや。

お前はお前で、自分のことは自分で決めなあかん。

自分の思うように立っとらなあかん。

わしはどこでだって、思うように立てるんや!」

 

かずこは、どこでだって、自分であり続ける。

そう宣言をした。

どこから来るのだ、その自信?

深いのか浅いのか、分かっているようで分かっていないのか、

とにかく、かずこの言葉は時々ハッとさせられる。

かずこにかこつけて、さも大変そうな面持ちで、

「早退します」

と言った時の自分が過る。

「さぁ、次は久々にパチンコ行くか?」

その後、私とかずこは、パチンコ屋でフィーバーするのだった。

 

おい、おたま!

君の足も、立ってるね。

しかし、その足を立たせている意味は、どこにあるの?

 

なぜ、その足をあげているの?

 

足あげなくても、よくない?

 

おたま「おらの自由だ!」

なるほど・・・深いのか浅いのか?