あと、もう少しだ。
チャー坊、あと、もう少しだからね。
私は、そう声を掛けた。
おはようございます。
チャー坊は、そろそろ準備を始めた。
あと、もう少しで逝ってしまう。
逝かせてやらないと。
いやでも、また復活してくれるかもしれないじゃないか。
そんな思いが交錯している。
だから私は、今日も昨日と変わらず、
チャー坊の内耳に縊り付いて剥がれない汚れを拭いてやるのだ。
何年分か分からない、漆みたいな頑固な汚れだ。
それを綺麗にするには、とっても時間が掛かるんだ。
いつか・・・いつかピカピカの綺麗な耳になりますように。
そう願いながら耳を拭いていると、チャー坊は気持ちよさそうに顔を上げる。
まだ、反応がある。
いいぞ、チャー坊!
流石だ、チャー坊!
だけど、もう、強制給餌はしない。
チャー坊、もう少しだからね。