月曜日、
連休明けに「張り切って」仕事へ行けるような、
そんな健全な精神、あたしは持ち合わせていない。
おはようございます。
この際、地球が滅亡してしまえばいいのにとさえ、思う。
あたしは、
地球を犠牲にしてでも仕事を休みたいと思うくらい、
大規模な野望を持つ、ちっぽけな人間だ。
「地球滅亡!地球滅亡!」
通勤途中、ブツブツ呟きながら運転していたら、少しは心が落ち着いた。
宇宙イチの悪の総統の気分が、痛いほど分かった。
無理かも・・・
悪の総統だって、そんな予感が過っていた。
正義は強く、眩しいくらい美しい。
まるで、月曜日の空みたいに青くて目がくらむ。
でも今更引けない。引いてたまるか。こうなった意地だ!
「地球滅亡!ちきゅっ・・・あら?」
「ハトさん?」
長閑な道の真ん中で、鳩が何やらついばんでいる。
私の車に気付いているのか、いないのか。
「いや~ん、危ないよぉ。轢かれちゃったらどうすんのぉーーーー?」
野鳥は正義だ。
強くて美しい。
ちっぽけな悪の総統、鳩に野望を砕かれた瞬間だった。
一旦つるんとなった心持で会社へ入れば、
隣りのデスクの熟女さんが、旅の話を始めた。
「もうね、ほんと、楽しかったよ~」
連休を大いに充実させた様子に、私の心がまた、けば立ちはじめた。
楽しい土産話に、
そうですかい、そうですかい、そりゃ良かったでやんすねと、
誰口調なのかも見当が付かないながら、
皮肉を含んだ相槌を打つのが、連休明けの本来の私だ。
楽しそうに土産話をしている最中に
「おいらは、楽しい思い出なんざ一個もないでやんす」と
いつ割り込んでいやろうか狙っていると、
「おかっぱちゃんには、これ買って来た」
と渡されたのが、これだ。
私は咄嗟に
「やだ~ん」と叫んで、土産を抱きしめた。
南紀白浜のアドベンチャーワールドのお土産だ。
この施設は、ジャイアントパンダが7頭暮らしている、夢の国だ。
いや、もはや正義の聖地だ。
その後も、土産話を聞きながら、悪の心はすっかり洗われた。
「熟女さん、ありがとう!地球、ありがとう!パンダ、最高!!」
さすが、ちっぽけな悪人は、こんなものだと
我ながら呆れちゃうわけだけれど、おたまは何をしているのだろう?
おたま?
なにやら、企んでいる目だな?
なんだ?
おぉ、なにか、やらかすつもりか?
あっ、ごろーんと戻ってきた・・・。
そっか、分かった!
「おたまちゃん、かっこいいね~」
と、言って欲しかったのだな?!