うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

抜糸の話

2021年08月28日 | カズコさんの事

我が家のメス猫達は、

全頭、抜糸ありの避妊手術を受けた経験がある。

 

おはようございます。

その中で、もっとも手こずったのは、実はうんこだった。

うんこは、手術後もお構いなしで飛び回ったせいで、

なんと、縫い合わせた腹膜がはじけた。

そのおかげで、再手術をしたのだった。

しかも、獣医さんが

「こんなこと、初めてで・・・勉強になります。」

と言って、再手術はタダだった。

当時、私が暮らす市町でも指折りの腕のいい獣医さんをもってしても、

想定外の事が起きてしまったらしかった。

 

「今度はしっかりと縫わせていただきました!」ということで、

2度目の縫合ははじけることなく、無事抜糸の日にちを迎えた。

が、抜糸も大変だった。

 

うんこを診察台に残し、待ち合い室で待っていると、

「皮手袋をーーー」とか、「きゃー」とか、「うぎゃー」とか、

もはや人の声なのか獣の声なのか判別できぬ、大騒ぎだった。

 

10分は掛っただろうか。

ようやく診察室から出てきた獣医は、

二の腕まで覆われた頑丈な革製の手袋を装着したまま、

引き攣った笑顔で、

「やっと、終わりました。6人がかりで・・・」

と言った。

その時、私は呆気にとられ、ついお礼もお詫びも忘れた。

 

当のうんこは、診察室へ迎えに行った私の顔を見るなり、

躾のできた犬みたいに、しゃんと座り直して、

「かあさん、うんちゃん頑張ったよ」と言わんばかりの満面の笑顔だったものだから、

私も汗だくの看護師さん達も、笑ってしまった。

「うんちゃん、頑張ったもんね」と看護師さんに言われ、

ついさっきまで、牙を剥ていた矛先の、その看護師さんにも

甘えた表情を見せつけて、更に笑いを誘った。

 

その病院とは、

子猫の頃、感染症で死の淵を彷徨ったうんこを、

救ってくれた人達だった。

獣医は、

「あのうんちゃんが、こんなに元気に育ってくれて、

本当に良かったですね。元気過ぎて困っちゃうくらいにね。

うんちゃんめ!」

と言って、うんこの鼻を優しく突いた。

 

木曜日の朝、そんな昔を思い出したわけは、

カズコさんの抜糸の日だったからだ。

大人しく抜糸させてくれるだろうか?

手術の日みたいに、また混乱して暴れたりしないだろうか?

と危惧していたが、

カズコは手術したこと自体を、とっくにすっかり忘れていた。

この時ばかりは、認知症ありがとうっと心で叫んだ。

 

そのおかげでか、すんなりと抜糸も終え、

硬膜下血腫の治療は、いったん終了と相成りました。

 

ご心配頂きました皆様、まことにありがとうございました。

ついでに、浮かばれない遺物を見てやってください。

 

急遽、かずこの手術と入院が決まり、

その夜、私は急いで、日めくりカレンダーを作った。

カズコさんは、

家でも、毎朝、日めくりカレンダーを捲るのが日課だったからだ。

入院予定は、8~9日間ということで、

 

日々、かずこが入院で混乱しないよう、言葉を添えた。

 

願いを込めて作ってみたが、

入院3日目であえなく退院する際、

カズコはこれを病室のゴミ箱に捨てていたという現実。

 

いいさ、いいさ。

想定内さ!

カズコは、そういう人さ、昔から。

 

おたまだって、我が家のおたまだって、

耐えているしな。

自分のご飯をあやに食べられていたって

 

こんな顔で、耐えているんだもんな。