何度も伝えておいたのに。
何度も何度も、言ったのにさ。
お年寄りには、なかなか伝わらないんだ。
おはようございます。
「母さん?このコロナはね、高齢者には特に危険なウィルスだから、
ちゃんとマスクを着けて出掛けなきゃ、死ぬぞ!」
とまで脅していた。
ところが、一昨日のこと、
母さんが、スーパーでレジに並んでいたら、前の客から
「近くに寄るな!バカヤローが!下がれ!!」
と唐突に怒鳴られたそうだ。
「母さん、マスク着けてなかっただろ?」
ただでさえ、
ソーシャルなんちゃらで、距離を取ろうという昨今、
マスクを着けていないとなると、怒鳴るような人間も出てくるだろう。
「だってよぉ、マスクあると、苦しいんや」
母さんは、不織布マスクが、どうにも苦しく感じてしまうらしい。
「これなら、どう?」
と私が作った布マスクを着けてもらうと、
「これなら、苦しないわぁ」
だそうだ。肌触りが優しいからかな?
「よし、カズコさんに似合う、おっしゃれなマスク作ってやるな」
という事で、再び、
いろんな布で作った。
肩凝った。
高齢者に、社会の動きを敏感に感じ取れだなんて、無理だ。
もう、そんな認識力は有していない。
それに、咳も出ない健康な人がマスクを着けていない事も、
レジに適度な距離で並ぶことも、
違法でもなければ、ちょっと前なら、マナー違反でもない。
今でも、あくまで自粛、自己責任に委ねられている。
今回のことで、考えさせられた。
そもそも、何が悪いのか?
マスクを着けていないカズコか?
ただ、近くに立った事が悪いのか?
怒鳴るのは、どうなんだ?
あの時、私が偶然立ち会っていたら、私はどう言っただろう?
母さんを責めたのか?
怒鳴った男を責めたのか?
周囲に「ご迷惑おかけして、すみません」と謝ればいいのか?
自分の真ん中が揺らぐ。
真ん中の本質をグラグラと揺さぶられる。
コロナだけのせいではない。
コロナをきっかけに、人間の本質があぶり出され考えさせられる。
人間社会の何が正しいかなんて、薄っぺらいもんだ。
時勢に応じて、正義の中心軸さえ変わってしまう。
だから私は、この世をジャッジはしない。
ただ、愛だけは失いたくない。
だから、私は母さんに、おっしゃれなマスクを贈るんだ。
我が家にも、愛が溢れている。
ちょっと異常な愛なのだが。
あや「なに、見てんのよぉ」
いや、べつに・・・
あや「のんちゃんを虐めんじゃないわよぉ」
いや、そんな事しねーし。
あや「のんちゃん?寝るの?」
あや「騒ぐんじゃないわよぉ」
その声の方が、うるさいと思うのですが・・・。