カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Tommy Wonder's The Card In The Ring Box by Van Dokkum & STEVENS MAGIC EMPORIUM

2023-05-04 14:51:00 | カップ&ボール以外

 前回、透明なボックスから観客のサインしたカードが出現するDavid Regal氏のClarity Boxを紹介しました。その続きとして、いくつか家にあるカードインボックスネタを紹介します。

 以前、Tommy Wonder氏公認のカップとしてVan Dokkum氏が作ったTommy Wonder Two Cups Setを紹介しましたが、そのVan Dokkum氏が作成(プロデュース)したTommy Wonder氏のカードマジック手順である「The Card in The Ringbox」で使うリングボックス、「Tommy Wonder's The Card In The Ring Box」です。「The Card in The Ringbox」という手順は「THE BOOK OF WONDER」のVOLUME Iに書かれています。そこにはこのボックスの詳細なサイズなども書かれているのですが、その仕様に従ってVan Dokkum氏が何年もかけて探した木工職人さんに作ってもらった箱がこの商品です。私が持っているのはCocoboloバージョンです(37個作られたようです)。Tommy Wonder氏公認の(Estate)商品です。Stevens Magicさんとのコラボっぽいですよね。StevensさんのHPWalnut製の商品HPが残っていたので示します。

Card In Ring Box - Tommy Wonder (Van Dokkum) - Walnut with wide Rock Hard Maple inlay

Important: Refer to Product Photo that shows actual product being offered. Other images are previous editions.  This is the Walnut with thick Rock Hard Maple str...

Stevens Magic Emporium

 

よく引用させて頂いているMartin’s Magic Collectionのページには私が持っているのと恐らく同じと思われる商品が出てましたので、ページを示します。購入時期をすっかり忘れてしまっていたのですが、2015年となってますね。

Card in Ring Box by Tommy Wonder, Auke Van Dokkum

 Tommy Wonder氏はアンビシャスカードの手順の最後に観客のカードがこのリングボックスから出てくるという手順を行っています。本ではVol.1DVDではVol.3で解説されています。実演動画も示します。

The Books of Wonder by Tommy Wonder Volume I

The Books of Wonder by Tommy Wonder

トミー・ワンダーの名作・傑作が詰まった作品集。

マジックショップ フレンチドロップ

 


ビジョンズ・オブ・ワンダー 3

ビジョンズ・オブ・ワンダー 日本語字幕版

マジック界の伝説、トミー・ワンダー。待望の日本語字幕付きリリース!

マジックショップ フレンチドロップ

 


実演動画


 トミー・ワンダー氏はこのリングボックス自体やその扱いにかなりいろいろな工夫や考えを込めています。上記動画が気に入った方は是非字幕付きビジョンズ・オブ・ワンダーの3巻で解説をご覧になると良いかと思います。リングボックスについて、本に詳細なサイズやその他情報はあるのですが、手順をやりたい!となっても、なかなか自分で作成するのは難しいですよね。Van Dokkum氏は既に亡くなっているので、この商品を得るのは難しいと思いますが、以前紹介した、トミーワンダー氏のカップの袋を発売しているJM CraftTommy Wonder Classic CollectionとしていろいろTommy Wonder氏の使っていた道具をリリースしている中に、このトミー・ワンダー氏のリングボックスを再現したリングボックスがあり、現在も購入できます(高いですけどね(;^ω^))。前の袋の出来を考えると結構精巧にできていると思われます。日本でもいくつかのお店で扱われていますが、マジックオフレコさんのページを示します。

Tommy Wonder Classic Collection Ring Box by JM Craft

Tommy Wonder Classic Collection Ring Box by JM Craft - Trick - マジックショップ オフレコ

マジック用品・手品・本・雑貨輸入卸・卸売販売のマジックショップオフレコ・海外直輸入のマジックアイテムを最新作をよりすぐって取り揃えており、通販、通信販売、専門で...

マジックショップ オフレコ

 


 ところで、日本で職人的商品を出しているショップさんと言えば、GINさんですよね。GINさんでも忠実なサイズのトミー・ワンダー氏のボックスを作って販売されてます。ただし、素材は純粋な木ではなく、木の粉を含んだ樹脂を使って成形されているようです。残念ながら今は売り切れで購入できませんが、JM Craftよりかなりお値打ちですし、8つ折りの解説(トミー・ワンダー氏のボックスは小さいことも特徴で、8つ折りのサインカードが出てきます)もありますので、気になる方は再入荷連絡希望の設定をしておくと良いかと思います(私もしております(笑))

トミーワンダーのリングボックス

トミーワンダーのリングボックス-マジックショップGIN

※この道具の製造と発売に関し、GINではトミーワンダー氏の御遺族に連絡を取り、承諾をいただいております。トミーワンダー氏のアンビシャスカードルーティンのラスト...

マジックショップGIN

 


 最後に、前回の記事で、カード・イン・ボックスの歴史的なことを少し書きました。実は前回文字数がギリギリで短めに書いたので、もう少し長いバージョンを書きます。被ってるところも多いかと思いますがお許しください。

 カード・イン・ボックスについて私の知ってる範囲で恐縮ですが示しておきます。このマジックを有名にしたのはやはり、フレッドカップス氏だと思われます。私はフレッドカップス氏を現役で見た世代では無いのですが、こうやってブログで調べながら有名な商品を紹介していると名作には氏が絡んでいることが多いことに気が付きます1958年、ドイツのマジシャンBruno Henni(ブルーノ・ヘニング)氏がフレッド・カップス氏に指輪ケースの中から折りたたまれた観客のカードがに見せました。フレッド・カップス氏はとても気に入り、このマジックをするようになりました。これがこの観客がサインしたカードが箱の中から出てくるというマジックの記録がある始まりだとされています。ただし、フレッドカップス氏はもちろん、ブルーノ氏もこれが自分のオリジナルだと記録を残していないので、自分たちが初めてだという確証は無かったのかもしれません。トミー・ワンダー氏のDVDのカードインボックスの手順の解説の中で、マックス・メイビン氏が「このカードインボックスのオリジナルはわかってないんだよね」ということを言っています。「ブラコは自分じゃないと言っているんだよな」「誰か知ってる?」と周りの人に訪ねるようなやり取りがあります。ここでスクリプト・マヌーヴァさんの訳で「ブラコ」とはっているのは「ブルーノ」のことだと思っています一般的にブルーノが最初とされているのですが、マックス氏がそう言うと、「ん?違うの?」と思ってしまいますよね。本当はどうなんでしょう。もしご存知の方がいらっしゃいましたらコメントお願いします...

 ボックスのカードについてですが、カップス氏はカードを単に指輪ケースに貼り付けていただけでした。しかし、スコッティ―・ヨーク氏はこのマジックの演技と解説をフレッド・カップス氏から受けたときに、ある工夫をして、ケース内で動けるようにするというアイディアを思いつきました。この方法により、カードが動くだけでなく、振ったら音もします。これでかなりリアリティが出ました。スコッティ・ヨーク氏は氏のレクチャーでこれを解説しました(下記ページ、及び、ジェイミー・イアン・スミス氏の本を参考)。

Cards | Card In Box (Conjuring Credits)

 そして、このスコッティ・ヨーク氏の改良も含めた指輪ボックスをトミー・ワンダー氏は自分にあったサイズのものを作成し、カードマジック(アンビシャスカード)の手順の中に組み込んだのです。ダローのアンビシャスカードとはまた違った素敵さがありますよね。