室生山上公園芸術の森から、北緯34度32分の「太陽の道」の延長上にある室生寺へ進路をとった。
直線距離にすれば1kmほどにも満たない。
室生寺の横を流れる川の対岸には民家が建ち並び、そのうちの何軒かは食事処の看板をあげている。
駐車場を決めかねていると、ある女性に橋のたもとの無料駐車場をすすめられた。
そこは彼女が営む甘味処の駐車スペースだった。
よければ、あとで店に立ち寄ってくれればいいの一言。
オープンのテーブル席に貼り出されたメニューを即座に確認したが、どれも好ましく手頃価格だ。
押し付けるでもなく、寛大な店主の善意に甘えることにした。
寺への橋を渡る。
その日は、入山料が半額になるという受付の言葉に耳を疑った。
聞くところによると、東日本大震災からの復興を祈願し、仙台市博物館に室生寺の仏たちが数多く出陳中とのことだった。
似たような状況に出くわしたこともあるが、この対応は初めてに思う。
これも仏の道なのかしら。
不在の仏像は写真パネルが代役を果たしていた。
本堂をすぎ五重塔までくると、数組のグループが更なる上の奥の院から楽しそうに下ってきた。
自らの頑張りを誰かに伝えたいオーラを感じる。
現に数人は、700段(実のところは400段足らずらしい)の石段を上れば素晴らしいものが見られるから行くべきだと興奮気味に話す。
それを聞かずとも上を目指すつもりでいたが。
京都伏見の豊国廊(豊臣秀吉の墓)の500段以上の石段が、脳裏に浮かんだ。
今のように歩き慣れていない頃だったからか、随分としんどい思いをして上った。
途中で何度も小休止をした記憶が。。。
段数差の性もあろうが、ここでは身体への負担をほとんど感じなかった。
数年前からの、散歩に毛が生えたような積み重ねとはいえ、足腰も多少は鍛えられている証拠だろう。
境内を一巡りし、店(名前を知らずじまいだったことに後で気づいた)へ戻った。
そうめん、かき氷、ところてん、タイ焼き、ビールと品数は少ないが夏メニューとしては十分だ。
ところてんの気分~。
私は糖蜜でいただいた。
川風が吹き抜ける特等席で、ひんやり喉越しを嬉しむ。
ツクツクボウシが晩夏を奏でている。
景色に秋が重なり始めた、そんなある日の午後のこと。
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